核心解説
この問題は、
内分泌系 (Endocrine System) におけるホルモン分泌調節の基本メカニズム、特に「フィードバック調節」の種類と特徴を問うものです。体内のホルモン濃度を一定に保つために、視床下部-下垂体-標的器官という階層的なシステムが、互いに影響を及ぼし合いながら調節しています。この問題の核心は、
「標的器官からの信号が、上位中枢である視床下部と下垂体の両方に作用する」という点を正しく理解しているかどうかです。
正解の根拠 (Answer Rationale):
最重要! ③番 長環フィードバック (long-loop feedback) が正解です。
長環フィードバックとは、
標的器官(甲状腺、副腎皮質、性腺など)から分泌されたホルモン(例:サイロキシン、コルチゾール、エストロゲン)が、血流を介して上位中枢である
視床下部と下垂体の両方に作用し、それぞれのホルモン分泌(放出ホルモンと刺激ホルモン)を抑制(ネガティブフィードバック)する調節様式です。これにより、血中ホルモン濃度が適切な範囲に維持されます。
誤答の分析 (Distractor Analysis):
混同注意! 各選択肢の「作用の方向性」を整理して覚えましょう。
①番 ニューロ内分泌調節:神経刺激(例:ストレス)が視床下部に作用し、ホルモン分泌を促す経路です。フィードバックの様式ではなく、調節の出発点を指します。
②番 超短環フィードバック (ultrashort-loop feedback):視床下部から分泌されたホルモン(放出ホルモン)が、
自身の視床下部の分泌細胞に作用して、自己の分泌を調節するものです。非常に短いループです。
④番 パラクリン調節 (Paracrine Regulation):ホルモンが
隣接する細胞に拡散して作用する局所的な調節様式です。血流を介した全身的なフィードバックとは異なります。
⑤番 短環フィードバック (short-loop feedback):
下垂体前葉から分泌されたホルモン(例:TSH、ACTH)が、視床下部に作用して放出ホルモンの分泌を抑制するものです。「下垂体→視床下部」のループであり、「標的器官からの信号」ではないため、問題文の条件に合いません。
関連概念の整理 (Related Concepts):
| フィードバックの種類 | 作用の方向 | 具体例 |
|---|
| 超短環 | 視床下部ホルモン → 視床下部 | TRHが自身の分泌を抑制 |
| 短環 | 下垂体ホルモン → 視床下部 | TSHがTRHの分泌を抑制 |
| 長環 | 標的器官ホルモン → 視床下部+下垂体 | 甲状腺ホルモンがTRHとTSHの分泌を抑制 |
長環フィードバックは、最も一般的で主要なネガティブフィードバック機構です。
概念整理:
フィードバック調節は、ホルモン分泌の恒常性維持に不可欠です。ネガティブフィードバック(抑制)が基本ですが、出産時のオキシトシン分泌のようにポジティブフィードバック(促進)が働く例外もあります。
一目で比較!:
長環:「標的器官→上位中枢(視床下部+下垂体)」、
短環:「下垂体→視床下部」、
超短環:「視床下部→視床下部(自己調節)」
看護過程ポイント: ホルモン補充療法中の患者では、外因性ホルモンによる長環フィードバック抑制(例:ステロイド長期投与による副腎不全)を常にアセスメントする必要があります。
暗記のコツ: 作用の「距離」で覚えましょう!「標的器官(遠い)→上位中枢」で「長環」。「下垂体(近い)→視床下部」で「短環」。「自分自身(最も近い)」で「超短環」。
国試頻出ポイント: 各フィードバックの名称と具体例の組み合わせ、特に「甲状腺ホルモンによる長環フィードバック」「コルチゾールによる長環フィードバック」の作用点(視床下部と下垂体の両方)は国試の定番です。