核心解説
この問題は、
内分泌系 (Endocrine System) におけるホルモン分泌の調節様式(フィードバック調節)を問うています。特に「上位中枢からの刺激がホルモン分泌を促進する」というキーワードが重要です。これは、神経系と内分泌系が連携する
ニューロ内分泌調節 (Neuroendocrine Regulation) の典型的な例です。視床下部 (Hypothalamus) が神経刺激を受け、ホルモン(放出ホルモン)を分泌し、下垂体前葉 (Anterior Pituitary) を介して標的器官を調節する一連の流れを理解することが鍵となります。
正解の根拠 (Answer Rationale)
最重要! 問題文の「上位中枢からの刺激がホルモン分泌を促進する」という記述は、神経細胞が内分泌器官として機能する調節様式を指します。選択肢②の
ニューロ内分泌調節 は、まさにこのメカニズムです。例えば、ストレスにより視床下部が
副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン (CRH) を分泌し、下垂体からの
副腎皮質刺激ホルモン (ACTH) 分泌を促進する経路が代表的です。これは「神経入力 → ホルモン分泌」という上位中枢からの促進的な指令が起点となっています。
誤答の分析 (Distractor Analysis)
①
混同注意! ネガティブフィードバック (Negative Feedback) は、血中のホルモン濃度が上昇すると、その分泌を抑制する最も一般的な調節機構です。上位中枢からの促進ではなく、むしろ「抑制」が特徴であり、問題文の条件に合いません。
③
混同注意! パラクリン調節 (Paracrine Regulation) は、分泌されたホルモンが局所的に隣接する細胞に作用する調節様式です。上位中枢は関与しません。
④
混同注意! オートクリン調節 (Autocrine Regulation) は、分泌されたホルモンが自分自身の細胞に作用する調節様式です。これも上位中枢は関与しません。
⑤
混同注意! ポジティブフィードバック (Positive Feedback) は、あるホルモンの分泌がさらにその分泌を促進する機構です。分娩時の
オキシトシン (Oxytocin) 分泌が典型例ですが、これも上位中枢からの「直接的な促進」というよりは、体内の状態変化に応じた正の連鎖反応です。問題文の「上位中枢からの刺激」を起点とする点がニューロ内分泌調節とは異なります。
関連概念の整理 (Related Concepts)
この問題を理解するには、以下の4つの調節様式を明確に区別できるようにしましょう。
| 調節様式 | 作用範囲 | 特徴 | 代表例 |
| ニューロ内分泌調節 | 遠隔 | 神経細胞がホルモンを分泌。上位中枢からの指令が起点。 | 視床下部-下垂体-標的器官系 |
| 内分泌調節(体液性) | 遠隔 | 内分泌器官が血中にホルモンを分泌。ネガティブフィードバックで制御。 | 甲状腺ホルモン、インスリン |
| パラクリン調節 | 局所(隣接細胞) | ホルモンが隣接細胞に拡散して作用。 | 消化管ホルモン(ソマトスタチン) |
| オートクリン調節 | 局所(自己細胞) | 分泌したホルモンが自分自身の受容体に結合。 | サイトカイン(一部) |
概念整理:
ニューロ内分泌調節 は「神経系の情報伝達」と「内分泌系のホルモン分泌」が融合した調節様式です。視床下部が「神経分泌細胞 (Neurosecretory Cell)」として機能する点が核心です。
一目で比較!:
混同注意! ネガティブフィードバックは「結果(ホルモン濃度)が原因(分泌)を抑制する」、ポジティブフィードバックは「結果が原因を促進する」、ニューロ内分泌調節は「神経の指令が原因となりホルモン分泌を開始する」という点で、
「刺激の起点がどこか」 で区別しましょう。
看護過程ポイント: 看護師は、ホルモン分泌調節の理解をもとに、患者の症状と検査値を結びつけるアセスメントが重要です。例えば、
クッシング症候群 (Cushing's Syndrome) の患者で、ストレスや感染を契機に症状が悪化するのは、上位中枢からのニューロ内分泌調節が亢進するためです。バイタルサインや精神状態の変化を観察しましょう。
暗記のコツ: 「ニューロ内分泌」=「Neuro(神経)」+「Endocrine(内分泌)」と分解して覚えましょう。神経細胞が「内分泌腺」の役割をすること、そしてその代表例が「視床下部-下垂体-標的器官系」であることをセットで暗記すると確実です。
国試頻出ポイント: ネガティブフィードバック、ポジティブフィードバック、ニューロ内分泌調節の3つは頻出です。それぞれの定義と代表的なホルモンの例(例:ニューロ内分泌 → ACTH、ADH、オキシトシン)を覚えておきましょう。
出題パターン注意!: 単純な名称問題から、「ストレス時にコルチゾール分泌が亢進する調節様式は?」といった具体的な生理現象と結びつけた応用問題に発展します。神経と内分泌の連携という視点を常に持つことが重要です。