核心解説
この問題は、
血中カルシウム (Calcium) 濃度の調節に関わるホルモンを問うています。体内のカルシウム濃度は、非常に狭い範囲で厳密に調節されており、その主役は
副甲状腺ホルモン (PTH: Parathyroid Hormone) と
カルシトニン (Calcitonin) の2つです。この2つのホルモンは、血中カルシウム濃度に対して相反する作用を持ち、互いにバランスをとっています。
正解の根拠 (Answer Rationale)
最重要! 正解は
カルシトニン です。カルシトニンは
甲状腺傍濾胞細胞(C細胞)から分泌され、その主な作用は
骨吸収 (Bone Resorption) の抑制です。血中カルシウム濃度が上昇すると、それを感知したC細胞からカルシトニンが分泌され、骨からのカルシウム放出を抑えることで、血中カルシウム濃度を正常範囲に戻そうとします。つまり、カルシトニンは
カルシウム低下ホルモンです。
誤答の分析 (Distractor Analysis)
混同注意!
- ②番の
副甲状腺ホルモン (PTH)は、血中カルシウム濃度が
低下した際に分泌が促進され、骨吸収や腎でのカルシウム再吸収を促進することで、血中カルシウム濃度を上昇させます。つまり、カルシトニンとは逆の作用を持つホルモンです。
- ③番の
活性型ビタミンDは、腸管でのカルシウム吸収を促進する作用がありますが、その分泌はPTHによって調節される側面が強く、血中カルシウム上昇に直接反応して分泌が促進されるわけではありません。
- ①番の
成長ホルモン (GH)は、骨の成長を促進しますが、カルシウム代謝の直接的な調節ホルモンではありません。
- ④番の
アルドステロンは、副腎皮質から分泌され、ナトリウムとカリウムのバランスを調節する鉱質コルチコイドであり、カルシウム代謝には直接関与しません。
関連概念の整理 (Related Concepts)
カルシトニンとPTHの作用を対比して覚えましょう。PTHは「カルシウムを上げる」ホルモン、カルシトニンは「カルシウムを下げる」ホルモンです。また、カルシトニンは、
骨粗鬆症 (Osteoporosis) の治療薬としても使用されることがあることも押さえておきましょう。
概念整理: 血中カルシウム濃度調節ホルモン
| ホルモン | 分泌部位 | 分泌刺激 | 主な作用 | 血中Caへの影響 |
| 副甲状腺ホルモン (PTH) | 副甲状腺 | 血中Ca ↓ | 骨吸収促進 / 腎Ca再吸収促進 / 活性型ビタミンD産生促進 | 上昇 |
| カルシトニン | 甲状腺C細胞 | 血中Ca ↑ | 骨吸収抑制 | 低下 |
一目で比較!:
混同注意! 「Caが低い → PTHが出る → Caが上がる」「Caが高い → カルシトニンが出る → Caが下がる」というネガティブフィードバック機構をセットで覚えましょう。
看護過程ポイント: カルシウム異常の患者さんでは、
高カルシウム血症 (Hypercalcemia)では脱力感・便秘・不整脈、
低カルシウム血症 (Hypocalcemia)ではテタニー・しびれ・痙攣に注意が必要です。
暗記のコツ: 「カルシトニンはCaをトニン(止める)」と覚えましょう。血中Caが上がったら、Caを骨から出すのを「止める」ホルモンです。
国試頻出ポイント: PTHとカルシトニンの分泌調節機序は、ホルモンとその作用を問う頻出問題です。特に「分泌刺激」と「作用」の方向性を正しく理解しておくことが重要です。