ネガティブフィードバック調節の例として正しいのはどれか。 | MyMerci
内分泌系
問題

ネガティブフィードバック調節の例として正しいのはどれか。

解説
ネガティブフィードバックは、標的ホルモン (コルチゾール) の血中濃度が上昇すると上位中枢 (視床下部・下垂体) の分泌を抑制する機構である。1, 3, 4 はポジティブフィードバックの例である。5 はホルモン低下時に TSH が上昇するため逆の関係になる。

詳細解説

核心解説 この問題は、生体の恒常性 (Homeostasis) 維持における重要な調節機構であるネガティブフィードバック (Negative Feedback)ポジティブフィードバック (Positive Feedback)の違いを正しく理解しているかを問うものです。ネガティブフィードバックは、ある物質の濃度や作用が上昇したときに、その上昇を打ち消す方向に調節が働く仕組みです。一方、ポジティブフィードバックは、ある変化がさらに同じ方向への変化を促進する、いわゆる「雪だるま式」の調節機構です。 1. 核心概念の分析 (Key Concept): この問題の核心は、ネガティブフィードバック (Negative Feedback)の定義と、その代表的な例を、ホルモンの調節機構(視床下部-下垂体-標的器官系)から選択できるかどうかです。特に、標的ホルモンが上昇した際に、上位中枢(視床下部や下垂体)の分泌を抑制するのがネガティブフィードバックです。 2. 正解の根拠 (Answer Rationale): ③番の「血中コルチゾール濃度上昇が視床下部からの CRH (副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン) 分泌を抑制する」は、まさにネガティブフィードバックの典型例です。ストレスなどで副腎皮質からコルチゾール (Cortisol)が過剰に分泌されると、その過剰を感知した視床下部がCRHの分泌を抑制し、結果的に副腎皮質からのコルチゾール分泌が低下します。これにより、血中コルチゾール濃度が一定に保たれます。 3. 誤答の分析 (Distractor Analysis): - ①「乳汁分泌刺激がプロラクチン分泌を促進し、さらに乳汁分泌が促進される」: これはポジティブフィードバックの例です。乳児の吸啜刺激がプロラクチン分泌を促し、さらに乳汁産生が増えるという、変化を増幅させる方向に働いています。 - ②「分娩時のオキシトシン分泌増加が子宮収縮を促進し、さらにオキシトシン分泌が増加する」: これもポジティブフィードバックの代表例です。子宮収縮が強まると、それが刺激となってさらにオキシトシン分泌が促進され、収縮がより強くなります。分娩の進行に必須の機構です。 - ④「甲状腺ホルモン低下が TSH (甲状腺刺激ホルモン) 分泌を抑制する」: これは、標的ホルモン(甲状腺ホルモン)が低下している時に、それを促進するはずのTSHが抑制されるという混同注意!逆の関係になっています。正しくは「甲状腺ホルモン上昇がTSH分泌を抑制する」がネガティブフィードバックです。 - ⑤「排卵前のエストロゲン上昇が LH (黄体形成ホルモン) サージを誘発する」: これもポジティブフィードバックの例です。成熟した卵胞から分泌されるエストロゲンが高濃度になると、それが引き金となりLHが急激に大量放出(LHサージ)され、排卵が誘発されます。 4. 関連概念の整理 (Related Concepts): ネガティブフィードバックとポジティブフィードバックは、生体の調節機構の両輪です。恒常性維持にはネガティブフィードバックが主に関与し、ポジティブフィードバックは分娩や血液凝固、活動電位の発生など、一過性かつ決定的なイベントを完了させるために用いられます。また、ネガティブフィードバックには「長 loop フィードバック(標的ホルモン→上位中枢)」「短 loop フィードバック(下垂体ホルモン→視床下部)」「超短 loop フィードバック(自己調節)」の3種類があることも押さえておきましょう。 概念整理 - ネガティブフィードバック (Negative Feedback): 変化を打ち消す方向に働く調節。恒常性維持の基本。例:コルチゾール↑ → CRH↓、体温上昇 → 発汗・血管拡張。 - ポジティブフィードバック (Positive Feedback): 変化を増幅する方向に働く調節。一過性のイベント完了に必要。例:分娩時のオキシトシン分泌、排卵前のLHサージ、血液凝固カスケード。 一目で比較!
項目ネガティブフィードバックポジティブフィードバック
方向性変化を打ち消す(抑制)変化を増幅する(促進)
目的恒常性維持 (Homeostasis)生理的イベント完了
代表的ホルモンコルチゾール、甲状腺ホルモン、性ホルモン(基礎分泌)オキシトシン、LH(サージ)、エストロゲン(排卵前)
看護過程ポイント - アセスメント (Assessment): ホルモン補充療法中の患者では、外因性ホルモンによるネガティブフィードバックで内因性分泌が抑制される「薬剤性副腎不全」や「続発性甲状腺機能低下症」などのリスクをアセスメントする必要があります。 - 看護診断 (Nursing Diagnosis): ホルモン調節異常に関連する「非効果的健康維持」「危険性のある体液量不足(ADH異常分泌時)」などが考えられます。 国試頻出ポイント ネガティブフィードバックは、視床下部-下垂体-標的器官の軸(HPA軸、HPT軸、HPG軸)とセットで出題されることが非常に多いです。「コルチゾール上昇 → CRH・ACTH低下」「甲状腺ホルモン上昇 → TRH・TSH低下」のように、どこで抑制がかかるかを正確に覚えておきましょう。また、ネガティブフィードバックの破綻がクッシング症候群やアジソン病などの内分泌疾患の病態理解の鍵となります。 暗記のコツ 「ネガティブ = 否定 = ブレーキ」とイメージしましょう。エアコンの温度設定のように「設定温度より高くなったら冷やす、低くなったら温める」という仕組みです。ポジティブは「アクセル全開!」で、分娩が始まったらどんどん収縮が強まるイメージを持つと覚えやすいです。

臨床シナリオ

臨床実践ガイド - 臨床シナリオ (Clinical Scenario): 50代女性、クッシング症候群の疑いで精査入院。デキサメタゾン抑制試験が実施されました。この試験の原理は「外因性の強力な副腎皮質ステロイド(デキサメタゾン)を投与すると、ネガティブフィードバックにより視床下部-下垂体からのACTH分泌が抑制され、内因性コルチゾールが低下する」というものです。もしこの抑制がかからなければ、ACTH依存性クッシング症候群(下垂体性や異所性)が疑われます。看護師は、検査の目的と仕組みを理解した上で、決められた時間に正確に採血・採尿を行い、患者へのストレスを最小限にするケアを提供する必要があります。 - 看護介入と判断戦略 (Nursing Intervention & Clinical Judgment): デキサメタゾン投与後、患者のコルチゾール値が低下しない場合、医師に報告するのはもちろん、「この検査結果は、腫瘍などから自律的にACTHが分泌されていて、ネガティブフィードバックが働かない状態かもしれない」とアセスメントします。その後、追加の画像検査(MRIやCT)が計画される可能性が高く、そのための準備と患者説明が必要になります。 - 患者安全・注意事項 (Patient Safety & Precautions): ステロイド薬の長期使用や過剰分泌状態では、感染リスク上昇、高血糖、骨粗鬆症、消化性潰瘍などに注意が必要です。検査後の急なステロイド離脱は副腎クリーゼ(ショック症状)を招くため、指示された減量スケジュールを遵守し、バイタルサインの変動に注意します。 先輩看護師の一言 「フィードバック調節って最初は抽象的で難しいけど、エアコンの温度調節みたいなものだと思ってください!看護師は、患者さんの検査データ(コルチゾール、TSHなど)を見て『これは体がどう反応しているんだろう?』と考えることがとても大切です。国試の問題も、単に『ネガティブ・ポジティブ』を暗記するのではなく、『この現象は、体にとってどんな意味があるのか?』という視点で考えると、ぐっと理解が深まりますよ!」

重要概念

MyMerciで看護師国家試験を完全対策

過去問と詳しい解説を無料で。弱点を分析し、進捗を管理してより効率的に学習しましょう。

無料で始める

学習参考用です。実際の臨床は最新のガイドラインと所属機関のプロトコルに従ってください。