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排泄機能障害のある患者の看護
75歳の女性。膀胱癌に対し膀胱全摘除術と回腸導管造設術が行われた。術後4日目、回腸導管ストーマから排泄される尿量が1日あたり300mLと少なく、ストーマ周囲の皮膚が尿で濡れている。アセスメントとして最も適切なのはどれか。
-
1
回腸導管の吻合部狭窄
-
2
ストーマの壊死
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3
ストーマ周囲の皮膚びらん
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4
尿路感染症の発症
-
5
腎後性腎不全の可能性
✓ 正解
解説
回腸導管造設術後は、尿管と回腸の吻合部狭窄や尿路内の閉塞により尿量が減少し、腎後性腎不全をきたすリスクがある。尿量減少の原因としてまず閉塞を疑い、超音波検査などで水腎症の有無を評価する必要がある。皮膚が濡れていることは、ストーマ装具の適合不良や尿の漏れを示唆する。
同じテーマの次の問題70歳の男性。大腸癌による人工肛門(ストーマ)造設術後3日目。ストーマの色が暗紫色で、周囲の皮膚に発赤とびらんが認められる。この患者への看護師の対応として最も適切なのはどれか。この問題が収録された問題集成人看護学KRW 12,900
核心解説
この問題は、膀胱全摘除術 (Total Cystectomy) と 回腸導管造設術 (Ileal Conduit) 後の、尿量減少という重要な臨床所見のアセスメントを問うています。回腸導管は、尿路変更術の一種で、尿管を切り離し、切除した回腸の一部を導管として利用し、尿を体外へ誘導する方法です。術後4日目で1日300mLという乏尿は、重大な合併症のサインです。最も優先して疑うべきは、尿路の閉塞による 腎後性腎不全 (Postrenal Kidney Failure) です。最重要! 回腸導管は蠕動運動を持たないため、尿は重力でストーマへ流れます。このため、吻合部の狭窄や、粘液栓、結石などによる閉塞が起こると、尿管や腎盂に圧がかかり、急速に腎機能が低下します。また、ストーマ周囲の皮膚が濡れていることは、ストーマ装具の不適合や尿の漏れを示唆しており、装具の見直しが必要ですが、尿量減少の直接的な原因ではありません。
正解の根拠 (Answer Rationale)
回腸導管術後、尿量が著明に減少した場合、まず 尿路閉塞 (Urinary Tract Obstruction) による 腎後性腎不全 を疑います。閉塞の原因として、①尿管と回腸導管の吻合部狭窄、②粘液による導管内閉塞、③導管の捻れや圧迫、④尿路結石などが考えられます。アセスメントとしては、まず 超音波検査 で水腎症 (Hydronephrosis) の有無を評価し、血液検査で 血清クレアチニン (Cre) とBUNの上昇 を確認します。閉塞が確認されれば、導管洗浄や、場合によっては再手術が必要となります。
誤答の分析 (Distractor Analysis)
① 混同注意! 回腸導管の吻合部狭窄は、尿路閉塞の原因の一つです。選択肢⑤の「腎後性腎不全」は病態(結果)であり、狭窄はその原因です。問題文は「アセスメントとして最も適切なもの」を問うています。具体的な原因ではなく、その結果として起こりうる「腎後性腎不全の可能性」をアセスメントすることが、より包括的で優先度が高い看護判断です。
② ストーマの壊死は、術後早期に発症することが多く、ストーマの色調が暗赤色~黒色に変化し、疼痛や悪臭を伴います。尿量減少の直接的な原因とはなりにくいです。
③ ストーマ周囲の皮膚びらんは、皮膚が濡れている状態から続発する可能性がありますが、これ自体が尿量減少の原因ではありません。
④ 尿路感染症は発熱や混濁尿、悪臭などを伴いますが、術後4日目で尿量が300mL/日という乏尿をきたすほどの重篤な感染症は一般的ではありません。閉塞を先に疑うべきです。
関連概念の整理 (Related Concepts)
- 回腸導管 (Ileal Conduit) と 代用膀胱 (Neobladder) の違い:代用膀胱は蓄尿機能があるため、自己導尿や腹圧排尿が必要ですが、回腸導管は常に尿が排せつされるパウチ式です。
- 腎不全の分類:腎前性(脱水・出血)、腎性(急性尿細管壊死)、腎後性(閉塞)の鑑別が重要です。
- 乏尿の定義:1日尿量400mL未満。300mLは明らかな乏尿であり、緊急対応が必要です。
概念整理: 回腸導管術後合併症 のアセスメント。尿量減少 → 腎後性腎不全 を第一に疑う。皮膚トラブルは二次的な問題。
一目で比較!: | 状態 | 主な原因 | 看護アセスメント |
|---|
| 尿量減少 | 閉塞 (狭窄/粘液栓) | 超音波検査, Cre/BUN上昇 |
| ストーマ変色 | 壊死 (血行障害) | 色調, ドレナージ不良, 疼痛 |
| 皮膚びらん | 装具不適合/尿漏れ | スキンケア, 装具の選択 |
| 感染症 | 上行性感染 | 発熱, 混濁尿, 悪臭 |
看護過程ポイント:
- アセスメント: バイタルサイン、尿量・色調・性状、ストーマの色調・浮腫、皮膚状態、腹部症状(疼痛、膨満)、検査データ(Cre、BUN、電解質)
- 看護診断: 「尿路閉塞に関連した腎機能低下のリスク状態」「ストーマ周囲の皮膚損傷」
- 計画・介入: 医師への報告(SBAR:S-乏尿, B-術後4日目, A-閉塞疑い, R-超音波と血液検査オーダー)、導管洗浄の準備、ストーマ装具の再評価とスキンケア
暗記のコツ: 「回腸導管はパイプ」と覚えましょう。パイプが詰まれば(閉塞)、流れが止まり(乏尿)、上流が逆流します(水腎症)。漏れ(皮膚びらん)は詰まりとは別問題。
国試頻出ポイント: 尿路変更術後の合併症アセスメントは頻出。特に「尿量減少→閉塞を疑う」という流れは、ほぼ毎年何らかの形で出題されています。原因と結果の関係を混同しないようにしましょう。
出題パターン注意!: 単純な知識問題として「尿量減少の原因は?」と問われるだけでなく、「事例問題で、患者の乏尿とストーマ漏れを見て、看護師がまず行うべきことは?」という状況設定問題に発展します。アセスメントと介入の優先順位を考えられるようにしておきましょう。
臨床実践ガイド
臨床シナリオ (Clinical Scenario): 75歳女性、膀胱癌で膀胱全摘・回腸導管造設術後4日目。夜勤帯、ストーマパウチを確認すると、1日の尿量が約250mLしかなく、パウチ周囲の皮膚が湿潤しています。患者は「おなかが張る感じがする」と訴えています。あなたはどのように行動しますか?
看護介入と判断戦略 (Nursing Intervention & Clinical Judgment):- 1観察 (Assessment)バイタルサイン(特に血圧低下、頻脈の有無)、腹部の視診・触診(膨満、圧痛)、ストーマの色調・浮腫、導管口の状態(粘液栓の有無)。
- 2アセスメント (Assessment)乏尿+腹部膨満+皮膚漏れ → 最重要! まず 尿路閉塞 を疑う。次に、装具の適合不良による漏れも同時に評価する。
- 3報告 (Report: SBAR)医師に「S:乏尿(250mL/日)と腹部膨満あり。B:膀胱全摘後4日目。A:回腸導管の閉塞による腎後性腎不全の可能性が高いと考えます。R:超音波検査と血液検査(Cre、BUN)のオーダーをお願いします。」
- 4介入 (Intervention)医師の指示のもと、導管洗浄(生理食塩液を用いて閉塞部位を開放)を試みる。皮膚が濡れている部位は、皮膚保護剤を塗布し、新しい適切なサイズのパウチに交換する。
- 5評価 (Evaluation)洗浄後、尿量が増加するか、腹部症状が改善するかを確認。改善がなければ、さらに詳細な画像検査を検討する。
患者安全・注意事項 (Patient Safety & Precautions): 導管洗浄は無菌操作で行う。強く押し込まず、自然に尿が流出するのを待つ。膀胱全摘後の患者は、腸管を使用しているため、腸閉塞(イレウス)にも注意する。 看護プロトコル: 術後の尿量は、1時間ごとに計測し、200mL/8時間未満の場合は医師へ報告する。ストーマの観察は、色調(淡赤色~赤色が正常)、浮腫、出血、周囲皮膚の発赤・びらんの有無を毎日チェックする。装具の交換は、ストーマセラピスト(WOCN)と連携する。
先輩看護師の一言: 「国試では『正解はどれ?』と聞かれますが、臨床では『患者さんに今何が起きている?』『次に何が起きそう?』を常に考えてください。乏尿を見たら『脱水?』『腎臓?』『詰まってる?』の3つを頭に浮かべましょう。特に回腸導管は『詰まり』が第一です。漏れてる皮膚も、実は詰まりが原因で内圧が上がって、装具がはがれやすくなっていることもありますよ!」
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