50歳の男性。クローン病のため小腸部分切除術と空腸ストーマ造設術を受けた。術後5日目、ストーマからの排液量が1日あたり1… | MyMerci
排泄機能障害のある患者の看護
問題

50歳の男性。クローン病のため小腸部分切除術と空腸ストーマ造設術を受けた。術後5日目、ストーマからの排液量が1日あたり1500mLと多く、水様性である。この患者のアセスメントとして最も優先すべきリスクはどれか。

解説
空腸ストーマは水分や電解質の吸収が不十分であり、特に術後早期に大量の水様性排液が続くと、脱水、低ナトリウム血症、低カリウム血症などの電解質異常をきたしやすい。体液量と電解質バランスのアセスメントと補正が最優先となる。

詳細解説

核心解説 この問題は、クローン病 (Crohn’s Disease) 術後、特に空腸ストーマ (Jejunostomy) 造設後の患者における急性期合併症のリスク評価を問うています。空腸は小腸の中で最も口側に位置し、水分・電解質(特にナトリウム、カリウム、重炭酸イオン)の吸収が行われる主要な部位です。その空腸にストーマが造設されたということは、腸内容物が大腸に到達する前に体外へ排出されるため、水分と電解質の吸収が著しく阻害されます。術後5日目、1日1500mLもの大量の水様性排液が続くという状況は、体液量減少 (Hypovolemia)電解質異常 (Electrolyte Imbalance) を急速に進行させるリスクが極めて高いことを示しています。したがって、アセスメントの最優先事項は脱水と電解質異常です。 正解の根拠 (Answer Rationale)
最重要! 空腸ストーマからの排液は、胃液、胆汁、膵液が混ざった状態で体外に出るため、水分だけでなくナトリウム、カリウム、クロール、重炭酸などの電解質が豊富に含まれています。1日1500mLという排液量は、成人の1日の尿量(約1000~1500mL)と同等かそれ以上であり、体液喪失量が多く、補正が追いつかないと急速な脱水と電解質異常をきたす可能性があります。看護師はまず、バイタルサイン(血圧低下、頻脈、体温上昇)皮膚ツルゴール(皮膚の弾力性低下)口腔粘膜の乾燥尿量減少などの脱水徴候を評価し、さらに血清電解質値(Na, K, Cl, HCO3-)のモニタリングと、医師への報告・輸液療法の調整が最優先の看護介入となります。 誤答の分析 (Distractor Analysis)
混同注意! ①番の「高ナトリウム血症」は誤りです。空腸排液にはナトリウムが多く含まれるため、むしろ低ナトリウム血症 (Hyponatremia) をきたしやすいです。高ナトリウム血症は、口渇中枢の障害や過剰なナトリウム投与、水分摂取不足などが原因で起こりますが、本症例では該当しません。
③番の「便秘」は、大量の水様性下痢が続いている状況では全く逆の病態であり、適切なアセスメントではありません。
④番の「低血糖」は、クローン病の術後で栄養状態が不良な場合にリスクとなる可能性はありますが、本症例の最優先事項は、生命の危機に直結する可能性のある「脱水と電解質異常」です。
⑤番の「ストーマ狭窄」は、術後早期(5日目)ではまだ瘢痕収縮が起こる時期ではなく、また排液が大量に出ていることからも狭窄は否定されます。狭窄は術後数週間~数ヶ月後の晩期合併症です。 関連概念の整理 (Related Concepts)
空腸ストーマと回腸ストーマ(Ileostomy)の違いを理解することが重要です。回腸でも水分・電解質の吸収は行われますが、空腸の方が吸収能力が高いため、空腸ストーマの方がより高度な脱水・電解質異常をきたしやすいです。また、ストーマの種類(ループ式、単孔式、二連式)や部位によって排液性状や管理方法が異なることも押さえておきましょう。さらに、クローン病は炎症性腸疾患(Inflammatory Bowel Disease, IBD)の一つで、再燃と寛解を繰り返す慢性疾患であり、術後も栄養管理や薬物療法(生物学的製剤など)が継続されることも関連知識として重要です。
概念整理: 空腸ストーマ(Jejunostomy)は、水分・電解質吸収の主要部位である空腸に開口部を持つため、排液が大量で水様性であり、急速な脱水(Dehydration)と電解質異常(Electrolyte Imbalance)をきたしやすい。特に低ナトリウム血症(Hyponatremia)、低カリウム血症(Hypokalemia)のリスクが高い。
一目で比較!:
ストーマの種類排液性状主なリスク
空腸ストーマ (Jejunostomy)大量・水様性・電解質豊富脱水・電解質異常 (最優先)
回腸ストーマ (Ileostomy)軟らかいペースト状、やや多い水分・電解質喪失(空腸ほどではない)
結腸ストーマ (Colostomy)固形~半固形、排便コントロール可能便秘、狭窄、傍ストーマヘルニア

看護過程ポイント: アセスメント:1日排液量の正確な測定、バイタルサイン(血圧低下、脈拍増加、体温上昇の有無)、皮膚ツルゴール、口腔粘膜、尿量(30mL/h)、血清電解質値の正常化、体重減少の予防。
暗記のコツ: 「空腸は『空っぽ』=吸収する前に出ていく」と覚えましょう!空腸は栄養吸収のスタート地点。そこにストーマがあると、水も電解質も吸収されずに体外に出てしまうので、「脱水・電解質異常」が最優先リスクになります。
国試頻出ポイント: クローン病の術後管理、特にストーマ管理における合併症の優先順位は頻出です。単純な知識問題としてだけでなく、「ストーマ排液量が多い患者のバイタルサイン・検査値(低Na、低K)を読み解く」状況設定問題として出題される可能性が高いです。
出題パターン注意!: 「クローン病で空腸ストーマ造設術後、排液量が多く水様性」というキーワードから、自動的に「脱水・電解質異常」を選択できるようにしておきましょう。誤って「栄養障害」や「ストーマ狭窄」を選ばないように、病態生理の理解が鍵です。

臨床シナリオ

臨床実践ガイド 臨床シナリオ (Clinical Scenario)
あなたは消化器外科病棟の看護師です。50歳男性、クローン病で空腸ストーマ造設術後5日目。朝のラウンドで、ストーマパウチに大量の水様性排液が溜まっているのを発見。夜間の排液量は800mLでした。患者は「のどが渇く」と訴え、血圧は98/62mmHg(術前は130/80mmHg)、脈拍は102回/分、体温37.8℃と微熱があります。皮膚を摘まむとゆっくり戻ります。あなたはどのようにアセスメントし、対応しますか? 看護介入と判断戦略 (Nursing Intervention & Clinical Judgment)
最重要! まず、バイタルサイン(血圧低下、頻脈、微熱)と皮膚ツルゴール低下、口渇の訴えから、脱水 (Dehydration) の可能性が非常に高いとアセスメントします。直ちに以下の対応を開始します。
1. 観察とデータ収集: 正確な排液量(パウチ内の量 + パウチ交換時に計測)、尿量(必要に応じて尿道カテーテル留置の検討)、血清電解質(緊急採血オーダー)を確認。2. 医師への報告 (SBAR形式): 「Situation: クローン病術後5日目の空腸ストーマ患者で、夜間排液量800mL、現在血圧98/62、脈拍102、口渇あり、脱水兆候を認めます。Background: 空腸ストーマで大量の水様性排液が継続中。Assessment: 脱水と電解質異常を疑います。Recommendation: 輸液の増量と血清電解質測定の指示をお願いします。」3. 緊急介入: 医師の指示のもと、乳酸リンゲル液などの細胞外液補充液の投与を開始。経口摂取が可能であれば、経口補水液(ORS)の摂取を促す。ストーマパウチはこまめに交換し、排液による皮膚障害(スキンケア)を予防する。 患者安全・注意事項 (Patient Safety & Precautions)
急激な脱水は腎前性腎不全(Prerenal Azotemia)やショック(Hypovolemic Shock)に進行するリスクがあります。急な血圧低下(収縮期血圧

重要概念

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