核心解説
この問題は、成人の一次救命処置 (BLS) における胸骨圧迫と人工呼吸の比率に関する基本知識を問うものです。BLSの目的は、心停止患者に対して
脳と心臓への血流(冠灌流)を維持 しながら、最低限の換気を確保することです。国際的なガイドライン(AHA: American Heart Association / JRC: 日本蘇生協議会)では、成人のBLSにおける胸骨圧迫と人工呼吸の比は
30:2(胸骨圧迫30回に対し人工呼吸2回)と定められています。この比率は、胸骨圧迫の中断時間を最小限に抑え、冠灌流圧を維持するために最適化されています。
正解の根拠 (Answer Rationale)
⑤番の
胸骨圧迫30回に対し人工呼吸2回 が正解です。
最重要! 成人のBLSでは、救助者が1人の場合でも2人の場合でも、この30:2のサイクルを繰り返します。胸骨圧迫を優先し、中断を最小限にすることで、心拍出量 (Cardiac Output) と冠灌流 (Coronary Perfusion Pressure) を確保します。
誤答の分析 (Distractor Analysis)
混同注意!
①胸骨圧迫5回に対し人工呼吸1回: これは新生児の蘇生で用いられることがある比率です。成人には適用されません。
②胸骨圧迫30回に対し人工呼吸1回: 人工呼吸の回数が不足しています。十分な換気が得られず、酸素化が不十分になります。
③胸骨圧迫15回に対し人工呼吸1回: 過去のガイドライン(古い時代)で推奨されていたことがありますが、現在の成人BLS標準ではありません。
④胸骨圧迫15回に対し人工呼吸2回: これは小児のBLS(特に2人救助時)で推奨される比率の一つです。成人と小児で比率が異なる点は頻出事項です。
関連概念の整理 (Related Concepts)
BLSの手順は「C-A-B」(Chest compressions: 胸骨圧迫 → Airway: 気道確保 → Breathing: 人工呼吸)の順です。これは従来の「A-B-C」から変更され、胸骨圧迫の優先度が高くなっています。また、AED(自動体外式除細動器)の使用タイミングも重要で、胸骨圧迫の中断は10秒以内とすることが推奨されています。
概念整理: 成人BLSの胸骨圧迫:人工呼吸比は30:2。この比率は胸骨圧迫の中断を最小化し、冠灌流を維持するための国際標準です。新生児(3:1)、小児(15:2 or 30:2)と混同しないようにしましょう。
一目で比較!:
| 対象 | 胸骨圧迫:人工呼吸比 | 特徴 |
|---|
| 成人(院外・院内共通) | 30:2 | 救助者が1人でも2人でも同じ比率。胸骨圧迫中断最小化。 |
| 小児(1歳~思春期) | 15:2(2人救助時) 30:2(1人救助時) | 窒息など呼吸原性心停止が多いため、換気も重視。 |
| 新生児(分娩直後) | 3:1 | 呼吸原性が主体で、換気が最優先される。 |
看護過程ポイント: BLSは看護過程における「評価」と「介入」の最たる例です。まずは患者の反応(意識・呼吸)を評価(Assessment)し、心停止と判断したら直ちに胸骨圧迫を開始(Implementation)。その後、リーダーシップを発揮し、チームでの蘇生処置を評価・継続(Evaluation)します。記録(Documentation)は蘇生後に行い、時刻と介入内容を正確に残します。
暗記のコツ: 「30歳の成人(30:2)」と覚えましょう。小児は「15歳まで(15:2)」、新生児は「3歳まで(3:1)」と数字の語呂合わせで覚えると良いです。
国試頻出ポイント: この問題は、毎年必ずと言って良いほど出題される
High Yield テーマです。単純な比率の暗記に加え、「なぜ30:2なのか」という根拠(冠灌流維持、中断最小化)も問われます。また、小児や新生児との比較問題、AEDの使用手順と組み合わせた出題も頻繁に見られます。
出題パターン注意!: 単純な知識問題(「正しい組み合わせはどれか」)から、状況設定問題(「独居の高齢者を発見、意識なし呼吸なし。あなたは1人でBLSを開始する。正しい方法はどれか」)に発展することが多いです。常に「手順の優先順位」と「中断をいかに減らすか」を意識して学習しましょう。