MyMerci › 過去問 › 診療に伴う技術
診療に伴う技術
問題
心肺蘇生法における胸骨圧迫のテンポ(1分間あたりの回数)として適切なのはどれか。
1
約80回
2
約60回
3
約120回
4
約150回
5
約100回
✓ 正解
解説
胸骨圧迫は1分間に100〜120回のテンポで行うことが推奨されている。これにより心拍出量を効果的に維持することができる。
詳細解説 核心解説
この問題は、心肺蘇生法 (Cardiopulmonary Resuscitation, CPR) における胸骨圧迫 (Chest Compression) の適切なテンポ(圧迫速度)を問うています。これは、一次救命処置 (BLS) の根幹をなす重要な知識であり、看護師国家試験では毎年出題される必須項目です。2020年米国心臓協会 (AHA) ガイドラインおよび2025年日本蘇生協議会 (JRC) ガイドラインにおいても、質の高いCPRの要素として「十分な速度(毎分100~120回)」が強調されています。
正解の根拠 (Answer Rationale)
最重要! 胸骨圧迫は、毎分 100~120回 のテンポで実施することが推奨されています。この速度は、心臓への静脈還流を確保しながら、圧迫によって脳や心臓などの重要臓器への十分な血流(心拍出量の約30%)を維持するために最適な範囲です。100回/分未満では心拍出量が不足し、120回/分を超えると圧迫が浅くなり、また胸壁の完全なリコイル(圧迫解除)が妨げられるため、効果的な循環補助が得られません。したがって、約100回 はこの範囲内であり適切です。
誤答の分析 (Distractor Analysis)
混同注意! 各選択肢は、過去のガイドラインや他の蘇生手技の数値と混同しやすいポイントです。
① 約80回 :かつて推奨されていた速度ですが、現在では遅すぎるため不適切です。
② 約60回 :これは人工呼吸の回数(1回/5~6秒)と混同しやすいですが、胸骨圧迫のテンポではありません。
③ 約120回 :範囲の上限ですが、単独の数値として「約120回」のみでは不十分で、ガイドラインは「100~120回」という範囲で示されています。選択肢③は上限のみのため不適切。
④ 約150回 :速すぎます。この速度では圧迫深度(約5~6cm)とリコイルの確保が難しく、心拍出量が低下するため禁忌です。
⑤ 約100回 :推奨範囲内の下限に位置し、適切な速度です。
関連概念の整理 (Related Concepts)
質の高いCPRの要素は「CAB-D」と覚えましょう。
- C (Compression): 胸骨圧迫(深さ: 成人で約5~6cm、毎分100~120回、完全なリコイル)
- A (Airway): 気道確保(頭部後屈あご先挙上法)
- B (Breathing): 人工呼吸(30:2の比率、1回約1秒、胸が上がる程度)
- D (Defibrillation): 除細動(AEDの使用)
特に、胸骨圧迫の中断は最小限(10秒未満)にすることが重要です。
概念整理 : 心肺蘇生における胸骨圧迫の質を決める3要素は「テンポ(毎分100~120回)」「深さ(約5~6cm)」「リコイル(完全な圧迫解除)」です。この3つをセットで覚えましょう。
一目で比較! : 胸骨圧迫テンポ(100~120回/分)と人工呼吸テンポ(10~12回/分、約1回/5~6秒)は混同しやすいので、数値と単位(回/分)を明確に区別して覚えてください。
看護過程ポイント : アセスメントでは、CPR実施中の圧迫速度と深度をリアルタイムで評価します。チーム内での「圧迫交代は2分ごと」を守り、疲労による質の低下を防ぎます。
暗記のコツ : 「100~120回は『ひゃくにじゅう』、『いい心臓(100)に、ドクドク(120)』」とリズムをイメージしましょう。また、BLSの実技ではビージーズ(Bee Gees)の「ステイン・アライブ (Stayin' Alive)」のテンポが約100回/分の目安と言われています。
国試頻出ポイント : 胸骨圧迫のテンポは、深さ(約5~6cm)や人工呼吸の回数(10~12回/分)と組み合わせた選択問題、あるいは「圧迫:人工呼吸=30:2」の比率と合わせた出題が頻出です。数値の暗記だけでなく、なぜその数値なのかの理由(心拍出量の維持)まで理解しておきましょう。
出題パターン注意! : 「AED到着後の対応」や「気管挿管後のCPRの変更点(持続圧迫と非同期的換気)」など、より発展的な状況設定問題で本テーマが問われることもあります。
臨床シナリオ 臨床実践ガイド
臨床シナリオ (Clinical Scenario)
夜勤帯の病棟で、あなた(看護師)は患者モニターのアラームで緊急コールを受けました。駆けつけると、70代男性の患者さんが意識消失、無呼吸、頸動脈拍動触知不可の状態です。あなたは直ちにCPRを開始します。チームメンバーが到着するまでの間、1人でのBLSを正確に行う必要があります。
看護介入と判断戦略 (Nursing Intervention & Clinical Judgment)
1. 安全確認と反応確認 : 周囲の安全を確認し、患者の肩を叩き「大丈夫ですか?」と大声で呼びかけます。反応がなければ、応援を要請しAEDを持ってこさせます。
2. 胸骨圧迫開始 : 患者を硬い床の上に仰臥位にし、胸骨下半分(乳頭線の高さ)に両手を重ねて置きます。肘を伸ばし、体重を真上に垂直にかけ、毎分100~120回 のテンポで、約5~6cmの深さで圧迫を開始します。圧迫のたびに完全にリコイル(胸壁を元の高さに戻す)させます。
3. 気道確保と人工呼吸 : 30回の胸骨圧迫後、気道を確保(頭部後屈あご先挙上法)し、2回の人工呼吸(1回約1秒、胸が上がる程度)を行います。このサイクルを繰り返します。
4. AED装着 : AEDが到着したら、直ちに電源を入れ、電極パッドを患者の裸の胸部に貼付します。AEDの音声ガイダンスに従い、心電図解析中は患者に触れず、ショックが必要な場合は「全員離れてください!」と声をかけ、安全を確認してからショックボタンを押します。
患者安全・注意事項 (Patient Safety & Precautions)
- 重要! 胸骨圧迫の中断は最小限に(10秒未満)し、決してやめないこと。
- 圧迫深度が浅すぎないように注意(約5~6cm)。高齢者や骨粗鬆症患者では肋骨骨折のリスクがあるため、過度な力を加えないようにするが、質を落とさないことが優先。
- 気道確保時、頸椎損傷が疑われる場合は、顎先挙上法(jaw thrust)を選択する。
- 人工呼吸では過換気を避け、胃膨満による誤嚥を予防する。
看護プロトコル : SBAR報告例として、「S: 患者さんが意識消失、無呼吸、脈なしです。B: バイタルサインは測定不能、CPR開始後2分経過、AEDでショック適応あり、1回実施しました。A: 心静止に移行した可能性があります。R: 気管挿管の準備と、エピネフリン1mgの静注指示をお願いします。」
先輩看護師の一言 : 「『圧迫、圧迫、圧迫!』 蘇生の鍵は血流です。テンポは『ステイン・アライブ』のリズムを心の中で歌いながら行うと、自然と100~120回/分になります。国試では数値を覚えるだけでなく、『なぜその数値か』を考えてください。現場では、焦って速くなりすぎたり、疲れて遅くなったりしがちです。チームで声をかけ合い、質の高いCPRを維持しましょう!」
重要概念
心肺蘇生法 — 心停止状態にある患者に対し、胸骨圧迫と人工呼吸を組み合わせて行う救命処置。脳と心臓への血流を維持する。
胸骨圧迫 — 心停止時に胸骨を圧迫することで心臓を圧迫し、血液を全身に送り出す手技。テンポは毎分100~120回、深さは約5~6cm。
リコイル — 胸骨圧迫のたびに胸壁が元の高さに戻る現象。完全なリコイルにより心臓への静脈還流が促進される。
AED — 自動体外式除細動器。心電図を自動解析し、除細動が必要な場合に音声ガイダンスで操作を指示する医療機器。
BLS — 一次救命処置。医療従事者でなくても実施可能な、気道確保、人工呼吸、胸骨圧迫、AED使用を含む蘇生法。
MyMerciで看護師国家試験を完全対策
過去問と詳しい解説を無料で。弱点を分析し、進捗を管理してより効率的に学習しましょう。
無料で始める
学習参考用です。実際の臨床は最新のガイドラインと所属機関のプロトコルに従ってください。
同じテーマの問題