診療に伴う技術
問題
胸骨圧迫を行う際の正しい圧迫部位はどれか。
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1
胸骨の上半分
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2
左第4肋間
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3
胸骨の下半分
✓ 正解
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4
剣状突起
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5
心窩部
解説
胸骨圧迫は胸骨の下半分(剣状突起の2横指上)を圧迫する。剣状突起を直接圧迫すると肝臓や脾臓を損傷する危険があるため避ける。
詳細解説
核心解説
この問題は、心肺蘇生法 (Cardiopulmonary Resuscitation, CPR) における 胸骨圧迫 (Chest Compression) の正しい圧迫部位を問うています。胸骨圧迫は、心臓を圧迫することで血液を全身に送り出す人工循環を維持するための最重要手技です。正しい部位と技術を理解することは、蘇生成功率を大きく左右します。
正解の根拠 (Answer Rationale)
最重要! 胸骨圧迫の正しい部位は、胸骨の下半分 (Lower half of the sternum)、具体的には剣状突起 (Xiphoid process) の2横指上です。この位置を圧迫することで、胸骨と脊椎の間で心臓を効果的に圧迫し、脳や心臓への血流を確保できます。圧迫の深さは約5cm(成人)で、毎分100~120回のテンポで行います。
誤答の分析 (Distractor Analysis)
混同注意! ①番の胸骨の上半分は、心臓の位置よりも上であり、効果的な心拍出量 (Cardiac Output) を得られません。
②番の左第4肋間は、心臓マッサージではなく、心音聴取や 心タンポナーデ時の心嚢穿刺の部位です。誤った部位です。
④番の剣状突起は、直接圧迫すると肝臓や脾臓などの腹部臓器を損傷する危険性があり、絶対に避けるべき部位です。
⑤番の心窩部は、腹部であり、心臓を圧迫できません。誤った部位です。
関連概念の整理 (Related Concepts)
胸骨圧迫は BLS (Basic Life Support) の核心であり、AED (Automated External Defibrillator) の使用と組み合わせることで、心室細動 (Ventricular Fibrillation, VF) や無脈性心室頻拍 (Pulseless Ventricular Tachycardia, pVT) などのショック適応リズムに対する蘇生率が向上します。胸骨圧迫の中断を最小限にすること(Chest Compression Fractionの維持)が重要です。
概念整理: 心肺蘇生 (CPR) における胸骨圧迫は、人工的な循環を確立するための手技。正しい圧迫部位は 胸骨の下半分(剣状突起の2横指上)。圧迫の深さ 約5cm、テンポ 毎分100~120回、胸壁の完全なリコイル(戻り)が重要。
一目で比較!: 胸骨圧迫部位(胸骨下半分) vs 心音聴取部位(左第4肋間) vs 心臓カテーテル穿刺部位(鼠径部/橈骨動脈)を混同しないように。
看護過程ポイント: アセスメント: 意識・呼吸・脈拍の確認(反応なし、呼吸なし、頸動脈触知不可)。計画・実施: 胸骨下半分を圧迫、30回の圧迫後2回の人工呼吸(30:2)。評価: 圧迫中の脈拍の確認、胸壁の挙上、SpO2モニター。
暗記のコツ: 「胸の真ん中、みぞおちのちょっと上!」と覚えましょう。剣状突起を避けて、胸の中央をグッと押すイメージです。
国試頻出ポイント: 胸骨圧迫の部位、深さ、テンポ、圧迫と人工呼吸の比率(30:2)、AEDの使用手順、および「強い胸痛で倒れた患者」の事例問題と組み合わせて出題されることが非常に多いです。
出題パターン注意!: 「心停止を発見した。BLS開始。あなたが最初に行うことは?」→「胸骨圧迫の開始」。部位を具体的に問う選択問題や、圧迫の中断が長くなった場合の合併症(臓器灌流低下)を問う問題にも注意。
臨床シナリオ
臨床実践ガイド
臨床シナリオ (Clinical Scenario)
病棟で夜間の巡回中、65歳の男性患者さんがベッド上でうつ伏せになって反応がないのを発見しました。呼吸はなく、頸動脈の拍動も触知できません。あなたは直ちに応援を呼び、CPRを開始します。この時、どのように胸骨圧迫を実施しますか?
看護介入と判断戦略 (Nursing Intervention & Clinical Judgment)
1. 安全確認:周囲の安全を確認し、硬い床の上に患者を仰向けに寝かせます。
2. 気道確保:頭部後屈・顎挙上法(Head-tilt, Chin-lift maneuver)で気道を確保します。
3. 圧迫部位の決定:胸の中央、乳頭を結ぶ線と胸骨が交差するあたり(胸骨下半分)に片方の手の付け根を置き、もう一方の手を重ねます。
4. 圧迫実施:肘を伸ばし、肩が真上にくるようにして、体重をかけて垂直に約5cm圧迫します。テンポは「1,2,3,4...」と数えながら、毎分100~120回を目指します。30回の圧迫の後、2回の人工呼吸を行います(30:2)。
5. 評価:可能であれば、圧迫中に頸動脈の拍動を確認し、効果を評価します。
患者安全・注意事項 (Patient Safety & Precautions)
最重要! 剣状突起や肋骨を直接圧迫しないように注意します。肋骨骨折はCPRの合併症として起こり得ますが、生命の危険があるため中断せずに続けます。圧迫の中断は10秒以内とし、AEDの到着後は速やかにパッドを貼付し、リズム分析に従います。
看護プロトコル: 発見からBLS開始までの時間を記録。応援要請の方法(院内コードブルー等)。実施中の看護記録には、開始時間、実施者、胸骨圧迫の中断時間、AED使用の有無と結果を記録。
先輩看護師の一言: 「心停止は突然やってきます。日頃からBLSの手順をイメージトレーニングしておくことが、患者さんの命を救う第一歩です。『この患者さんが倒れたら、自分はまず何をする?』と常に考えておきましょう。チームワークも重要です。大きな声で指示を出し合い、役割を分担して、冷静かつ迅速に動ける看護師になりましょう!」
重要概念
- 胸骨圧迫 (Chest Compression) — 心肺蘇生法において、心臓を圧迫して血液循環を維持する手技。正しい部位は胸骨の下半分。
- 剣状突起 (Xiphoid Process) — 胸骨の下端にある小さな骨の突起。胸骨圧迫では損傷を避けるため直接圧迫しない。
- 心肺蘇生法 (Cardiopulmonary Resuscitation, CPR) — 心停止や呼吸停止に対する救命処置の総称。胸骨圧迫と人工呼吸を組み合わせる。
- AED (Automated External Defibrillator) — 自動体外式除細動器。心臓のリズムを分析し、必要に応じて電気ショックを与える医療機器。
- BLS (Basic Life Support) — 一次救命処置。医療従事者でなくても行える、心停止時の基本的な救命手順。
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