核心解説
この問題は、
新生児心肺蘇生法 (Neonatal Resuscitation Program, NRP) における基本的な手技の比率を問うています。成人や小児の蘇生法と混同しやすいため、年齢別のガイドラインを正確に理解することが重要です。新生児の心停止は、呼吸障害に起因する低酸素血症が原因であることが多く、したがって換気(人工呼吸)を最優先とする点が、成人の蘇生法と大きく異なります。
正解の根拠 (Answer Rationale)
最重要! 日本版救急蘇生ガイドライン(JRCガイドライン2020)では、新生児(生後28日未満)の心肺蘇生法における胸骨圧迫と人工呼吸の比は
3:1 と定められています。これは、胸骨圧迫を3回行ったら1回の人工呼吸を挟むことを意味します。新生児の心停止は呼吸性が主であるため、十分な換気を確保することが心拍再開に最も効果的であり、この比率が推奨されています。胸骨圧迫は、心拍数が
60回/分未満 で、かつ十分な人工呼吸を行っても改善しない場合に開始します。
誤答の分析 (Distractor Analysis)
-
混同注意! ②番(30:1)や④番(30:2)は、
成人の一次救命処置 (BLS) で推奨される比です。成人は心原性心停止が多く、循環の維持が優先されるため、この比率が採用されています。新生児に適応すると換気が不十分になります。
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混同注意! ③番(5:1)は、かつての小児蘇生法で用いられていた比率ですが、現在のガイドラインでは推奨されていません。また、新生児には適用されません。
- ⑤番(15:2)は、
小児(新生児を除く1歳~思春期)の一次救命処置において、2人以上で蘇生を行う場合の推奨比率です。新生児とは異なります。
関連概念の整理 (Related Concepts)
蘇生法のガイドラインは年齢によって異なります。以下の点を整理しておきましょう。
1.
新生児(生後28日未満): 胸骨圧迫と人工呼吸の比は
3:1。換気を重視。
2.
小児(1歳~思春期): 1人で行う場合は
30:2、2人で行う場合は
15:2。成人と基本は同じだが、圧迫の深さや手の使い方が異なる。
3.
成人(思春期以降): 胸骨圧迫と人工呼吸の比は
30:2。循環を重視。
概念整理: 新生児蘇生の基本原則は「換気を最優先する」ことです。心停止の原因の多くは呼吸不全(無呼吸、低呼吸)であり、まずは気道確保と人工呼吸で酸素化を図ります。胸骨圧迫は、適切な換気を行っても心拍数が改善しない場合に追加する二次的な処置です。
一目で比較!:
| 対象 | 胸骨圧迫:人工呼吸 | 蘇生の優先順位 |
|---|
| 新生児(生後28日未満) | 3:1 | 換気(人工呼吸) |
| 小児(1歳~思春期) | 30:2(1人) / 15:2(2人) | 循環(胸骨圧迫) |
| 成人(思春期以降) | 30:2 | 循環(胸骨圧迫) |
暗記のコツ: 新生児の「3:1」は、「3回圧迫したら1回必ず息を吸わせてあげる」とイメージしましょう。新生児は肺が未熟で呼吸が不安定なため、とにかく空気を送り込むことが命綱だと覚えてください。成人の「30:2」は、心臓を強く絶え間なくマッサージするイメージです。
国試頻出ポイント: この問題は、蘇生法の知識を年齢別に問う頻出問題です。単に比率を暗記するだけでなく、「なぜ新生児は3:1なのか」という根拠(呼吸性心停止が多いため換気優先)を説明できるようにしておきましょう。また、新生児の蘇生で使用する器具(バッグバルブマスク、酸素濃度調整器)や、臍帯カテーテル挿入などの応用的な知識も関連して出題されることがあります。
出題パターン注意!: 単純な知識問題(本問)から、事例問題へ発展します。例:「在胎39週、出生体重3000gの男児。出生直後、啼泣がなく、筋緊張が低下している。羊水混濁はなし。刺激後も自呼吸がなく、心拍数は60回/分。この時点での適切な処置はどれか。」といった形で、蘇生の流れ(保温→気道確保→刺激→人工呼吸→胸骨圧迫→薬物投与)のどの段階かを判断させる問題が出題されます。