核心解説
この問題は、
廃用症候群 (Disuse Syndrome) における
関節拘縮 (Joint Contracture) 予防のための看護技術を問うています。廃用症候群は、長期臥床や安静により身体機能が低下する状態であり、関節拘縮はその主要な症状の一つです。予防の基本は、関節を動かすこと、すなわち
関節可動域訓練 (Range of Motion Exercise) にあります。
1.
核心概念の分析 (Key Concept): 廃用症候群による関節拘縮は、関節や周囲の軟部組織が不動状態にあることで、結合組織が短縮・癒着し、不可逆的な可動域制限が生じる病態です。予防の鍵は、
最重要! この不動状態を断ち切り、関節に生理的な可動性を維持させることです。
2.
正解の根拠 (Answer Rationale): 正解は
④ 他動的関節可動域訓練 です。問題文にある「廃用症候群の患者」は、自力で関節を動かすことが困難な状態(筋力低下や意識障害など)を想定しています。このような患者に対しては、
最重要! 看護師が患者の関節を動かす
他動的関節可動域訓練 (Passive ROM Exercise) が最も適切かつ安全な介入です。これは、関節拘縮を予防するだけでなく、血流促進や固有受容感覚の維持にも効果があります。
3.
誤答の分析 (Distractor Analysis):
混同注意! ①番の「関節を伸展位で固定する」は、拘縮予防どころか、拘縮を促進させる行為であり禁忌です。②番の「患肢の安静を徹底する」も、廃用を助長するため誤りです。③番の「自動運動による関節可動域訓練」は理想的ですが、
最重要! 「廃用症候群の患者」は自力での運動が困難な場合が多いため、まずは他動的訓練から開始します。⑤番の「温熱療法後の安静維持」は、温熱による筋弛緩後に訓練を行うことはありますが、その後に安静を維持することは拘縮予防の目的に反します。
4.
関連概念の整理 (Related Concepts): 関節可動域訓練には、
自動運動 (Active Exercise)、
自動介助運動 (Active-Assistive Exercise)、
他動運動 (Passive Exercise) の段階があります。患者の筋力や意識レベルに応じて、段階的に移行させることが重要です。また、関節拘縮予防には、適切なポジショニング(肢位保持)も併用します。
概念整理:
廃用症候群 (Disuse Syndrome) = 長期安静による生体の諸機能低下。予防の三本柱は「関節可動域訓練」「筋力維持訓練」「早期離床」。
関節拘縮 (Joint Contracture) = 関節の軟部組織の短縮による可動域制限。予防には他動的ROM訓練が有効。
一目で比較!:
| 運動の種類 | 実施者 | 適応 |
|---|
| 自動運動 (Active) | 患者自身 | 筋力が自力で動かせるレベルにある患者 |
| 自動介助運動 (Active-Assistive) | 患者+看護師 | 筋力が不十分で一部介助が必要な患者 |
| 他動運動 (Passive) | 看護師 | 筋力がなく自力では動かせない患者(廃用症候群、麻痺など) |
看護過程ポイント:
- アセスメント: 患者の筋力(MMT)、現在の関節可動域(ROM)、痛みの有無、意識レベルを評価。
- 看護診断: 「身体不動(リスク状態)」「活動耐性低下」など。
- 計画: 1日1~2回、各関節を生理的可動域内で全方向に動かす。痛みが強い場合は無理に行わない。
- 実施: 関節を支持し、ゆっくりと滑らかに動かす。呼吸を止めさせないよう声かけを行う。
- 評価: 訓練後の関節の状態、痛みの出現、可動域の変化を評価。
暗記のコツ: 「廃用=動かさない→固まる」をイメージ。「予防には動かす!」「動かせない患者は、看護師が代わりに動かす(他動的ROM訓練)」と覚えましょう。
国試頻出ポイント: 廃用症候群の予防は毎年頻出。特に「他動的ROM訓練」が具体的な看護技術として問われます。「自動運動」と「他動運動」の適応をしっかり区別しましょう。
出題パターン注意!: 「脳卒中後の片麻痺患者」「人工呼吸器装着中の患者」「長期臥床の高齢者」などの事例で、「この患者に適切な関節拘縮予防の方法は?」という形で出題されます。単純な知識問題から、事例に応じて適切な訓練方法を選択させる問題に発展します。