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運動機能の障害
廃用症候群の骨格系への影響として正しいのはどれか。
-
1
腱の短縮と筋力向上
-
2
骨形成の促進
-
3
骨萎縮と骨粗鬆症の進行
✓ 正解
-
4
骨密度の増加
-
5
関節軟骨の肥厚
解説
不動により骨への力学的負荷が減少すると、骨吸収が亢進し骨形成が抑制される。その結果、骨萎縮や骨粗鬆症が進行し、病的骨折のリスクが高まる。
同じテーマの次の問題ベッド上安静の患者に生じやすい廃用症候群の症状として最も適切なのはどれか。この問題が収録された問題集疾病の成り立ちと回復の促進KRW 100
核心解説
この問題は、廃用症候群 (Disuse Syndrome) による骨格系への影響を問うています。廃用症候群とは、長期臥床や不動状態によって全身の臓器・器官に生じる二次的な障害の総称です。骨格系においては、力学的負荷の減少が骨代謝バランスを崩し、骨吸収 (Bone Resorption) が骨形成 (Bone Formation) を上回る状態を引き起こします。この問題の核心は、「不動状態で骨に何が起こるか」という病態生理の理解にあります。
正解の根拠 (Answer Rationale)
最重要! 正解は③番「骨萎縮と骨粗鬆症の進行」です。廃用により骨へのメカニカルストレス(重力や筋収縮による負荷)が減少すると、骨細胞(特に骨芽細胞)の活動が低下し、破骨細胞による骨吸収が亢進します。この結果、骨塩量の減少、骨萎縮 (Bone Atrophy)、骨粗鬆症 (Osteoporosis) が進行し、脆弱性骨折(病的骨折)のリスクが著しく高まります。特に長期臥床後、わずかな動作(体位変換や移乗)で骨折を生じることもあるため、廃用予防のための早期離床や関節可動域訓練 (Range of Motion, ROM訓練) が極めて重要です。
誤答の分析 (Distractor Analysis)
混同注意!
①番「腱の短縮と筋力向上」:腱の短縮は廃用によって生じることがあります(関節拘縮の原因の一つ)が、筋力は向上せず低下(筋萎縮)します。廃用では筋力向上は見込めません。
②番「骨形成の促進」:廃用では骨形成は抑制されます。骨形成が促進されるのは適切な荷重や運動負荷がかかる場合です。
④番「骨密度の増加」:廃用では骨密度は減少します。骨密度増加は廃用とは逆の生理的反応です。
⑤番「関節軟骨の肥厚」:廃用による不動で関節軟骨は菲薄化・変性し、関節拘縮の原因となります。肥厚は生じません。
概念整理 廃用症候群の骨格系への影響:
- 骨萎縮 (Bone Atrophy):骨量全体の減少
- 骨粗鬆症 (Osteoporosis):骨密度低下による脆弱化
- 病的骨折 (Pathological Fracture):わずかな外力で生じる骨折
- 関節拘縮 (Joint Contracture):関節可動域制限
- 異所性骨化 (Heterotopic Ossification):軟部組織内の異常な骨形成(稀)
一目で比較!
| 状態 | 骨形成 | 骨吸収 | 骨密度 |
|---|
| 廃用(不動) | 抑制 | 亢進 | 減少 |
| 適度な運動 | 促進 | 抑制 | 維持・増加 |
| 加齢 | 徐々に低下 | 亢進傾向 | 減少 |
看護過程ポイント
- アセスメント:安静度・ADLレベル・臥床期間・既存の骨粗鬆症の有無を評価
- 看護診断:「身体可動性障害 (Impaired Physical Mobility)」「転倒リスク状態 (Risk for Falls)」「活動不耐容 (Activity Intolerance)」
- 計画・介入:早期離床・ROM訓練・体重負荷運動(医師の指示に基づく)・転倒予防策・栄養管理(カルシウム・ビタミンD摂取促進)
- 評価:骨密度検査(DEXA)・骨折の有無・ADL改善度
暗記のコツ
「廃用=骨は休む→骨は弱る」とイメージしてください。骨は「使わないと(負荷がかからないと)どんどんもろくなる」臓器です。ギプス固定後の骨が細くなる(骨萎縮)経験を思い出すと理解しやすいでしょう。キーワードは「骨吸収亢進・骨形成抑制・骨密度低下」の3点セットです。
国試頻出ポイント
- 廃用症候群の各系統への影響(骨格系・筋系・循環器系・呼吸器系・消化器系・精神神経系)を対比して問う問題が頻出
- 特に「骨萎縮・骨粗鬆症・筋萎縮・関節拘縮・廃用性肺炎・起立性低血圧・褥瘡・深部静脈血栓症 (DVT)・便秘・うつ状態」の10症状はセットで暗記推奨
- 予防策としての「早期離床・リハビリテーション・体位変換・栄養管理」の優先順位を問う事例問題も多い
出題パターン注意!
単純暗記問題「廃用症候群の骨格系への影響は?」→③番。発展パターンとして「70歳女性、大腿骨頸部骨折術後、3週間臥床。骨格系への予防的看護介入として適切なのはどれか」のような事例問題で、ROM訓練や早期離床、栄養指導の優先順位を問われることがあります。
臨床実践ガイド
臨床シナリオ (Clinical Scenario)
80歳女性、大腿骨頸部骨折で人工骨頭置換術後、ベッド上安静が2週間続いています。リハビリ開始時の移乗動作で、患者さんが「足に力が入らない」と訴え、わずかな介助で立ち上がろうとした際に「痛い!」と膝関節付近に激痛が生じました。レントゲンを撮影したところ、病的骨折(大腿骨骨幹部骨折)が発見されました。看護介入と判断戦略 (Nursing Intervention & Clinical Judgment)- 1観察安静度・臥床期間・骨粗鬆症の既往・疼痛の有無・四肢の変形や腫脹・バイタルサイン(痛みによる血圧上昇や頻脈の有無)
- 2アセスメント長期臥床による廃用性骨萎縮と骨粗鬆症の進行が疑われ、わずかな荷重で病的骨折を生じた可能性が高い。最重要! 骨折部位の安静と医師への迅速な報告が必要。
- 3報告(SBAR)- S(Situation):患者様、リハビリ中の移乗動作で左大腿部に激痛出現
- B(Background):大腿骨頸部骨折術後2週間、安静継続中、高齢で骨粗鬆症の既往あり
- A(Assessment):廃用性骨萎縮による病的骨折を疑う
- R(Recommendation):直ちにレントゲン撮影と整形外科医の診察、患肢の完全免荷と安静保持
- 4介入患肢の安静保持・アイシング・疼痛コントロール(医師の指示による鎮痛薬投与)・手術適応の検討
- 5評価骨折部位の安定・疼痛の軽減・再発予防策(廃用予防のための段階的なリハビリ計画の再構築)
看護プロトコル- 1観察項目骨粗鬆症の有無・安静度・ROM訓練の実施状況・疼痛・変形・腫脹・ADLレベル
- 2報告基準わずかな動作で生じる疼痛・異常可動性・変形は直ちに報告
- 3記録のポイント転倒・骨折リスクアセスメントスコア(例:STOP-Bang, Morse Fall Scale)・安静度変更の経過・リハビリ内容
- 4家族への説明廃用予防の重要性(早期離床・リハビリ継続)と、骨折リスクの高い状態であることを丁寧に説明し、転倒予防への協力を依頼
先輩看護師の一言
「廃用症候群は『寝たきりにしないための看護』が命です!特に高齢者の骨折術後は、『痛いから動かさない』ではなく『痛みをコントロールしながら早期に動かす』という視点が重要。骨は使わなければ2週間でも萎縮が始まります。『動かせない理由』ではなく『どうすれば安全に動かせるか』を考え、リハビリスタッフと連携して個別の離床計画を立てましょう。患者さんの『いつもと違う痛み』は、廃用のサインかもしれません!」
- 廃用症候群 (Disuse Syndrome) — 長期臥床や不動状態により、全身の臓器・器官に生じる二次的な障害の総称。骨格系では骨萎縮・骨粗鬆症、筋系では筋萎縮、循環器系では起立性低血圧・深部静脈血栓症、呼吸器系では廃用性肺炎など多岐にわたる。
- 骨萎縮 (Bone Atrophy) — 力学的負荷の減少により骨組織の総量が減少する状態。骨吸収が骨形成を上回ることで生じ、長期間の臥床やギプス固定後に顕著となる。
- 骨粗鬆症 — 骨密度の低下と骨質の劣化により骨が脆弱化し、骨折リスクが高まる疾患。廃用による骨萎縮が進行すると二次性骨粗鬆症の状態となる。
- 病的骨折 (Pathological Fracture) — 転倒などの大きな外力ではなく、通常では骨折しないような軽微な外力で生じる骨折。骨粗鬆症や骨腫瘍など、骨が脆弱化した状態で発生しやすい。
- 関節拘縮 (Joint Contracture) — 関節周囲の軟部組織(靭帯・腱・関節包)の短縮・癒着により、関節可動域が制限される状態。廃用により不動が続くと生じやすく、廃用症候群の主要な症状の一つ。
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