核心解説
この問題は、
廃用症候群 (Disuse Syndrome) による骨格系への影響を問うています。廃用症候群とは、長期臥床や不動状態によって全身の臓器・器官に生じる二次的な障害の総称です。
骨格系においては、力学的負荷の減少が骨代謝バランスを崩し、骨吸収 (Bone Resorption) が骨形成 (Bone Formation) を上回る状態を引き起こします。この問題の核心は、「不動状態で骨に何が起こるか」という病態生理の理解にあります。
正解の根拠 (Answer Rationale)
最重要! 正解は③番「骨萎縮と骨粗鬆症の進行」です。廃用により骨へのメカニカルストレス(重力や筋収縮による負荷)が減少すると、骨細胞(特に骨芽細胞)の活動が低下し、破骨細胞による骨吸収が亢進します。この結果、
骨塩量の減少、骨萎縮 (Bone Atrophy)、骨粗鬆症 (Osteoporosis) が進行し、脆弱性骨折(病的骨折)のリスクが著しく高まります。特に長期臥床後、わずかな動作(体位変換や移乗)で骨折を生じることもあるため、廃用予防のための早期離床や関節可動域訓練 (Range of Motion, ROM訓練) が極めて重要です。
誤答の分析 (Distractor Analysis)
混同注意!
①番「腱の短縮と筋力向上」:腱の短縮は廃用によって生じることがあります(関節拘縮の原因の一つ)が、筋力は向上せず
低下(筋萎縮)します。廃用では筋力向上は見込めません。
②番「骨形成の促進」:廃用では
骨形成は抑制されます。骨形成が促進されるのは適切な荷重や運動負荷がかかる場合です。
④番「骨密度の増加」:廃用では骨密度は
減少します。骨密度増加は廃用とは逆の生理的反応です。
⑤番「関節軟骨の肥厚」:廃用による不動で関節軟骨は
菲薄化・変性し、関節拘縮の原因となります。肥厚は生じません。
概念整理 廃用症候群の骨格系への影響:
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骨萎縮 (Bone Atrophy):骨量全体の減少
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骨粗鬆症 (Osteoporosis):骨密度低下による脆弱化
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病的骨折 (Pathological Fracture):わずかな外力で生じる骨折
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関節拘縮 (Joint Contracture):関節可動域制限
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異所性骨化 (Heterotopic Ossification):軟部組織内の異常な骨形成(稀)
一目で比較!
| 状態 | 骨形成 | 骨吸収 | 骨密度 |
|---|
| 廃用(不動) | 抑制 | 亢進 | 減少 |
| 適度な運動 | 促進 | 抑制 | 維持・増加 |
| 加齢 | 徐々に低下 | 亢進傾向 | 減少 |
看護過程ポイント
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アセスメント:安静度・ADLレベル・臥床期間・既存の骨粗鬆症の有無を評価
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看護診断:「身体可動性障害 (Impaired Physical Mobility)」「転倒リスク状態 (Risk for Falls)」「活動不耐容 (Activity Intolerance)」
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計画・介入:早期離床・ROM訓練・体重負荷運動(医師の指示に基づく)・転倒予防策・栄養管理(カルシウム・ビタミンD摂取促進)
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評価:骨密度検査(DEXA)・骨折の有無・ADL改善度
暗記のコツ
「
廃用=骨は休む→骨は弱る」とイメージしてください。骨は「使わないと(負荷がかからないと)どんどんもろくなる」臓器です。ギプス固定後の骨が細くなる(骨萎縮)経験を思い出すと理解しやすいでしょう。キーワードは「骨吸収亢進・骨形成抑制・骨密度低下」の3点セットです。
国試頻出ポイント
- 廃用症候群の各系統への影響(骨格系・筋系・循環器系・呼吸器系・消化器系・精神神経系)を対比して問う問題が頻出
- 特に「骨萎縮・骨粗鬆症・筋萎縮・関節拘縮・廃用性肺炎・起立性低血圧・褥瘡・深部静脈血栓症 (DVT)・便秘・うつ状態」の10症状はセットで暗記推奨
- 予防策としての「早期離床・リハビリテーション・体位変換・栄養管理」の優先順位を問う事例問題も多い
出題パターン注意!
単純暗記問題「廃用症候群の骨格系への影響は?」→③番。発展パターンとして「70歳女性、大腿骨頸部骨折術後、3週間臥床。骨格系への予防的看護介入として適切なのはどれか」のような事例問題で、ROM訓練や早期離床、栄養指導の優先順位を問われることがあります。