こんな問題があと488問挑戦 ›
運動機能の障害
脳卒中により右片麻痺があり、ベッド上での生活が続いている患者の皮膚トラブル予防として最も適切なのはどれか。
-
1
ナプキンによる摩擦の強化
-
2
シーツの折り目を整えない
-
3
円座の継続的使用
-
4
2時間ごとの体位変換
✓ 正解
-
5
発赤部位のマッサージ
解説
褥瘡予防の基本は圧の分散である。2時間ごとの体位変換は最も効果的な予防策である。発赤部位のマッサージや円座の継続的使用は組織損傷を悪化させる可能性があるため推奨されない。
同じテーマの次の問題ベッド上安静の患者に生じやすい廃用症候群の症状として最も適切なのはどれか。この問題が収録された問題集疾病の成り立ちと回復の促進KRW 100
核心解説
この問題は、脳卒中 (Stroke) による 右片麻痺 (Right Hemiplegia) と 長期臥床 (Prolonged Bed Rest) に伴う 褥瘡(床ずれ) (Pressure Ulcer) の予防に関する基本を問うています。褥瘡の発生原因は、骨突出部に対する持続的な 圧迫 (Pressure)、ずれ力(せん断力) (Shear Force)、および 摩擦 (Friction) です。特に、自力での体位変換が困難な片麻痺患者では、同一部位への持続的な圧迫が褥瘡の最大のリスク因子となります。したがって、予防の基本は 圧の分散 (Pressure Redistribution) と 除圧 (Pressure Relief) です。
1. 正解の根拠 (Answer Rationale)
最重要! ④番の 2時間ごとの体位変換 (Position Change Every 2 Hours) は、褥瘡予防における最も基本的かつ効果的な介入です。定期的に体位を変換することで、身体の同一部位への持続的な圧迫を避け、毛細血管の血流を確保します。これは、すべての看護基礎教育で教えられる黄金律であり、臨床現場でも標準的なケアです。
2. 誤答の分析 (Distractor Analysis)
- ①番の ナプキンによる摩擦の強化: 混同注意! 摩擦 (Friction) は表皮を損傷し、褥瘡を発生・悪化させる原因です。摩擦を強化することは禁忌であり、むしろ摩擦を軽減するためのケア(リネンのたるみを取る、引きずらずに持ち上げるなど)が必要です。
- ②番の シーツの折り目を整えない: シーツの折り目やしわは、体圧を集中させ、褥瘡の原因となります。シーツは常に 清潔で、しわや折り目のない状態 に整えることが重要です。
- ③番の 円座の継続的使用: 混同注意! 円座(ドーナツ型クッション)は、一時的な除圧には有効に見えますが、長時間の使用は 血流障害 (Circulatory Disturbance) を引き起こし、かえって褥瘡を悪化させるリスクがあります。現在では、褥瘡予防としての継続的使用は推奨されていません。代わりに、体圧分散マットレスやエアクッションを使用します。
- ⑤番の 発赤部位のマッサージ: 禁忌! 発赤(紅斑)は、組織がすでに虚血状態にあるサインです。この部位をマッサージすると、 毛細血管を損傷し、組織の壊死を促進する可能性があります。発赤部位は「圧迫を解除して経過観察」が原則であり、決してマッサージしてはいけません。
3. 関連概念の整理 (Related Concepts)
褥瘡予防 (Pressure Ulcer Prevention) の基本は、①圧の分散、②摩擦・ずれ力の軽減、③皮膚の清潔保持、④栄養状態の改善(特に たんぱく質 (Protein) と 亜鉛 (Zinc))です。褥瘡の重症度評価には DESIGN-R分類 が用いられます。また、アセスメントには ブレーデンスケール (Braden Scale) などの予測ツールが活用されます。本問は、脳卒中後の片麻痺患者に限らず、すべての臥床患者に共通する「基本の基本」を確認する問題です。
概念整理: 褥瘡発生の3大因子は 圧迫 (Pressure)、ずれ力 (Shear Force)、摩擦 (Friction)。予防の基本は 圧の分散 (Pressure Redistribution) であり、その第一選択が 2時間ごとの体位変換 である。発赤部マッサージ と 円座 は逆効果であり禁忌。
一目で比較!
| 項目 | 効果的な予防策 | 避けるべき行為 |
| 体位変換 | 2時間ごとの計画的変換 | 同一体位での長時間安静 |
| 皮膚ケア | 清潔保持・保湿・スキンケア | 発赤部のマッサージ・アルコール消毒 |
| 圧分散用具 | 体圧分散マットレス・エアクッション | 円座の継続使用 |
| リネン管理 | しわ・折り目なし・乾燥 | シーツの折り目を放置 |
看護過程ポイント:
- アセスメント: ブレーデンスケールでリスク評価。特に感覚認知、活動、可動性、摩擦・ずれの項目を詳細に確認。仙骨部、踵部、大転子部などの骨突出部の観察を毎日行う。
- 看護診断: 「皮膚統合性の障害リスク」あるいは「褥瘡発生リスク状態」。
- 計画・実施: 2時間ごとの体位変換計画を作成し、実施。ギャッジアップ時のずれ力に注意し、フットボードやスライディングシートを活用。栄養評価(特に血清アルブミン値)に基づき、栄養補助食品の検討も行う。
- 評価: 発赤の有無、皮膚の色・温度・硬結の経過観察。DESIGN-Rを用いた評価。
暗記のコツ: 「褥瘡予防の3原則」→ 「圧(圧迫)・ず(ずれ)・ま(摩擦)⇒ 体位変換で圧を逃がせ!」。また、「発赤(Redness)はマッサージ(Massage)禁止!」とゴロで覚えましょう。
国試頻出ポイント: 本問は「看護技術」の「褥瘡予防」分野の基本問題です。特に、発赤部位のマッサージ と 円座 が禁忌であることは、毎年のように選択肢に含まれます。また、体位変換のタイミング(2時間ごと) は数字で覚えておく必要があります。
出題パターン注意!: 単純な知識問題から、「脳卒中後、右片麻痺があり、経管栄養中の患者。仙骨部に発赤を認めた。看護師の対応として適切なのはどれか」 というような、複数の病態・状況が組み合わさった事例問題へ発展します。その場合も、予防の基本は変わりません。
臨床実践ガイド- 1臨床シナリオ (Clinical Scenario)あなたは脳神経外科病棟の看護師です。脳梗塞発症後3日目の70代女性患者を受け持ちます。患者は右片麻痺があり、自力での体位変換は困難です。意識は清明ですが、麻痺側に不安感があります。午前のラウンドで、患者の左側臀部にわずかな発赤(消退しない紅斑)を発見しました。ブレーデンスケールの合計点は14点(中等度リスク)でした。
- 2看護介入と判断戦略 (Nursing Intervention & Clinical Judgment)まず、発赤部位への圧迫を直ちに解除します(左側臥位から仰臥位または右側臥位へ)。次に、最重要! SBAR を用いて医師や先輩看護師に報告します(状況:仙骨部に発赤発見、観察所見、リスク評価)。その後、体圧分散マットレス の使用を確認し、2時間ごとの体位変換計画(体位変換表)を作成し、チームで共有します。皮膚の清潔を保ち、保湿剤でスキンケアを行います。栄養管理については、経口摂取が不十分であれば、栄養サポートチーム(NST)と連携します。
- 3患者安全・注意事項 (Patient Safety & Precautions)禁忌行為:発赤部位のマッサージは絶対に行わない。円座の使用は避ける。体位変換時は、患者の皮膚を引きずらないように、スライディングシートやリネンを使って持ち上げる。麻痺側の肩や股関節に無理な力がかからないよう、関節の保護に注意する。
看護プロトコル:- 1観察項目(毎日)骨突出部の皮膚の色・温度・硬結・水疱・びらんの有無。ブレーデンスケールの再評価(週1回または状態変化時)。
- 2報告基準(SBAR)S(状況)「患者の左仙骨部に消退しない発赤があります」、B(背景)「脳梗塞後、右片麻痺、ブレーデンスケール14点」、A(アセスメント)「褥瘡発生のリスクが高まっている状態です」、R(提案)「体位変換計画の見直しと、体圧分散マットレスの導入を提案します」。
- 3記録のポイント発見日時、発赤の部位・大きさ・色調、実施したケア(体位変換の方向と時刻)、医師への報告内容と指示。
- 4家族への説明の留意点「お母様の皮膚が赤くなっている部分があります。これは褥瘡という床ずれの初期サインです。現在、看護師が2時間ごとに体位を変え、皮膚を清潔に保つケアを強化しています。ご家族の皆様も、もしお母様が同じ姿勢で長時間過ごしているのを見かけられたら、私たちにお声がけください。」
先輩看護師の一言
「褥瘡予防は、『見つける(観察)』と『動かす(体位変換)』の繰り返しです。特に脳卒中後の麻痺がある患者さんは、自分で動けないからこそ、看護師の観察力とチームケアが重要になります。国試の勉強では『発赤部のマッサージは絶対ダメ』と覚えてください。現場では、『なぜダメか』を患者さんやご家族に説明できることも大切です。患者さんの肌の『いつもと違う』に気づけるナースを目指しましょう!」
- 褥瘡 (Pressure Ulcer) — 持続的な圧迫により組織が虚血・壊死に陥った状態。床ずれとも呼ばれる。予防が最も重要。
- 体位変換 (Position Change) — 褥瘡予防の基本。同一部位への持続的な圧迫を避けるために、定期的に患者の体位を変更するケア。
- ずれ力 (Shear Force) — 骨と皮膚が逆方向に引っ張られる力。ギャッジアップ時などに生じ、深部の組織損傷を引き起こす。
- ブレーデンスケール (Braden Scale) — 褥瘡発生のリスクを評価するためのアセスメントツール。感覚認知、湿潤、活動、可動性、栄養、摩擦・ずれの6項目で評価する。
- 体圧分散マットレス (Pressure Redistribution Mattress) — 身体の圧力を広く分散させる特殊なマットレス。褥瘡の予防および治療に用いられる。
MyMerciで看護師国家試験を完全対策
過去問と詳しい解説を無料で。弱点を分析し、進捗を管理してより効率的に学習しましょう。
無料で始める
学習参考用です。実際の臨床は最新のガイドラインと所属機関のプロトコルに従ってください。