核心解説
この問題は、
廃用症候群 (Disuse Syndrome) における消化器系の変化を問うています。廃用症候群とは、長期臥床や活動低下により身体の複数の系統に生じる二次的な機能低下の総称です。消化器系では、
活動量の低下に伴う腸蠕動 (Peristalsis) の減弱と、腹筋・骨盤底筋群の筋力低下が主要な病態生理となります。
正解の根拠 (Answer Rationale)
最重要! 正解は
② 便秘の発生 です。
長期臥床により、全身の筋力が低下しますが、特に
排便に関与する腹筋と骨盤底筋の筋力低下が顕著です。また、活動量減少に伴い交感神経が優位になりやすく、腸蠕動が抑制されるため、
混同注意!下痢ではなく、
便秘 (Constipation) を生じます。さらに、食欲低下による食事量・水分量の減少も便秘を助長します。
誤答の分析 (Distractor Analysis)
① 栄養吸収の促進:活動量低下は腸粘膜の血流や消化管ホルモン分泌を低下させるため、
吸収は低下または不変であり、促進されることはありません。
③ 腸蠕動の亢進:正反対です。廃用では自律神経バランスが崩れ、腸蠕動は
減弱します。蠕動亢進はストレス性の下痢など別の病態で見られます。
④ 食欲の増進:活動量が減ればエネルギー消費が減るため、通常は
食欲低下をきたします。廃用症候群の患者では低栄養も問題となります。
⑤ 下痢の頻発:腸蠕動低下と筋力低下は便を腸内に長時間停滞させるため、下痢よりも
便秘が代表的です。下痢は経管栄養の不適合や感染性腸炎など別の要因で生じます。
関連概念の整理 (Related Concepts)
廃用症候群の全身への影響は多岐にわたります。呼吸器系では無気肺や肺炎、循環器系では起立性低血圧や深部静脈血栓症、筋骨格系では筋萎縮や関節拘縮、皮膚では褥瘡(じょくそう)が有名です。消化器系の「便秘」も、これらの一つとして国試では頻出です。予防には
早期離床・リハビリテーション、腹臥位や体位変換、腹部マッサージ、食物繊維と水分の十分な摂取が重要です。
概念整理: 廃用症候群は「使わないことで機能が低下する」症候群。消化器系では、筋力低下(腹筋・骨盤底筋) + 腸蠕動低下 = 便秘。活動量低下 → エネルギー消費低下 → 食欲低下も併発。
一目で比較!:
| 系統 | 廃用症候群の変化 |
|---|
| 消化器 | 便秘・食欲低下・腸蠕動低下 |
| 呼吸器 | 換気低下・無気肺・肺炎 |
| 循環器 | 起立性低血圧・血栓症 |
| 筋骨格 | 筋萎縮・関節拘縮・骨粗鬆症 |
| 皮膚 | 褥瘡 |
看護過程ポイント:
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アセスメント: 排便回数・便性状(ブリストル便性状スケール)、腹部膨満の有無、食事摂取量・水分量、腹筋力の評価。
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看護診断: 「便秘 (Constipation)」または「活動低下に関連した便秘リスク (Risk for Constipation)」。
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計画・実施: 可能な範囲での離床・歩行、体幹の回旋運動、腹部マッサージ(時計回り)、食物繊維と水分の調整、下剤の使用(医師指示)。
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評価: 3日以内の排便がない場合や、排便時にいきみが強い場合は再アセスメント。
暗記のコツ: 「廃用の消化器は『減る』がキーワード!『蠕動減る、吸収減る、食欲減る、筋力減る』→結果『便秘になる』」と覚えましょう。
国試頻出ポイント: 廃用症候群の各系統別影響は、穴埋め問題や組合せ問題で頻出です。「便秘」と「下痢」を間違えないように、病態をイメージして覚えましょう。
出題パターン注意!: 単純な知識問題だけでなく、「長期臥床中の高齢患者の便秘に対する看護ケア」という状況設定問題に発展します。「なぜ腹部マッサージか」「なぜ水分摂取を促すか」を根拠と共に答えられるようにしておきましょう。