78歳の男性。脳梗塞発症後3週間が経過し、回復期リハビリテーション病棟に転棟した。Brunnstrom stage は上… | MyMerci
治療を受ける高齢者への看護
問題

78歳の男性。脳梗塞発症後3週間が経過し、回復期リハビリテーション病棟に転棟した。Brunnstrom stage は上肢III、手指III、下肢IVである。座位バランスは安定しているが、立位保持は介助が必要である。この患者の看護計画として最も優先度が高いのはどれか。

解説
Brunnstrom stage 下肢IVは、分離運動が可能なレベルであり、座位バランスも安定している。この段階では、ADLの拡大を目指し、車椅子への移乗動作など日常生活動作の獲得が優先される。1はリハビリテーション頻度として不適切である。3は上肢の回復が不十分な場合に検討する。4は非麻痺側の強化も重要だが、ADL獲得が優先される。5は立位保持が介助必要な段階では早期すぎる。

詳細解説

核心解説 この問題は、脳梗塞 (Cerebral Infarction) 回復期におけるリハビリテーション看護の優先順位を問うています。ポイントは、Brunnstrom stage (回復段階) と現在の機能レベル(座位安定、立位介助必要)から、患者の「できるADL」と「実際の生活場面で必要なADL」を結びつける看護計画を立てることです。単に運動機能の向上だけでなく、日常生活動作 (ADL: Activities of Daily Living) の自立度を高めることが回復期リハビリテーションの核心目標です。 1. 核心概念の分析 (Key Concept): 本患者は発症後3週間、回復期に移行した段階です。Brunnstrom stageは下肢IV(分離運動可能)、上肢III(共同運動パターン内で随意運動可能)、手指III(集団的把握可能)であり、座位は安定していますが立位は介助が必要です。このプロフィールから、最も優先すべき課題は、生活の基盤となる移乗動作の獲得(ベッド⇔車椅子)であると判断できます。 2. 正解の根拠 (Answer Rationale): 最重要! 回復期リハビリテーションでは、病棟生活の質を高める「生活動作」の獲得が最優先です。座位が安定し下肢に分離運動が出現した本患者では、車椅子への自力移乗動作の獲得は現実的かつ優先度の高い目標です。これにより、患者の活動範囲が広がり、意欲向上や社会参加への準備にもつながります。看護師は移乗動作の練習を安全に支援し、成功体験を積ませることが重要です。 3. 誤答の分析 (Distractor Analysis): - ①番(麻痺側上肢の装具作製):混同注意! 上肢装具は回復が停滞した場合や、重度の麻痺で関節拘縮予防が必要な場合に検討します。本患者は上肢III(随意運動可能)であり、まずは運動機能訓練が優先され、装具は次の段階です。 - ②番(非麻痺側下肢の筋力増強訓練):非麻痺側の強化は重要ですが、ADL獲得という具体的目標(移乗・歩行)を達成するための手段の一つであり、最優先の目標ではありません。 - ③番(関節可動域訓練の頻度減):これは誤りです。回復期では関節拘縮予防と廃用症候群防止のため、週2回では不十分です。毎日継続的なROM訓練が必要です。 - ⑤番(麻痺側下肢への全荷重歩行訓練):混同注意! 立位保持が介助必要な段階で全荷重歩行は危険です。転倒リスクが高く、まずは平行棒内での部分荷重訓練や立位バランス訓練から段階的に進めるべきです。 4. 関連概念の整理 (Related Concepts): Brunnstrom stageの各段階(弛緩期→痙性出現→共同運動→分離運動→協調運動)に応じたリハビリ目標と看護介入を理解しておきましょう。また、回復期リハビリテーション病棟の特徴(多職種連携:PT・OT・ST・Ns・MSW、ADL訓練中心、在宅復帰支援)も併せて押さえてください。
概念整理: Brunnstrom stage 下肢IV(分離運動可能)+座位安定+立位介助必要 → 移乗動作獲得に最適な時期。この段階では「歩行」より「移乗」の自立が優先される。
一目で比較!:
段階主な目標看護介入例
急性期(発症~2週)生命維持・二次予防・拘縮予防ポジショニング、他動的ROM、嚥下評価
回復期(~6ヶ月)ADL拡大・機能向上・在宅復帰移乗訓練、起居動作、自主練習指導
維持期(6ヶ月~)生活の質維持・再発予防生活指導、運動継続支援、社会資源活用

看護過程ポイント: - アセスメント: Brunnstrom stage、筋力、バランス、感覚、高次脳機能、意欲・心理状態 - 看護診断: 「身体可動性障害 (Impaired Physical Mobility)」、「セルフケア不足 (Self-Care Deficit)」、「転倒リスク (Risk for Falls)」 - 計画・実施: 患者のペースに合わせた移乗練習の実施、安全な環境整備、成功体験の積み重ね - 評価: 移乗動作の自立度、転倒発生の有無、患者の満足度・意欲の変化
暗記のコツ: Brunnstrom stageは「下(下肢)が先に回復し、上(上肢)は遅れる」と覚えましょう。下肢IVなら「分離運動可能=一人で足を動かせる」→移乗の練習ができると連想。
国試頻出ポイント: 回復期リハビリテーション病棟での看護計画の優先順位(ADL獲得>機能訓練単独)、Brunnstrom stageと看護介入のマッチングが出題されます。事例問題でよく出るので、機能評価から優先介入を導く練習をしておきましょう。
出題パターン注意!: 単純な知識問題(「Brunnstrom stage IVで正しいのは?」)から、事例問題(「この患者の優先看護計画は?」)への発展が頻繁に見られます。機能評価を「生活動作にどう活かすか」の視点で捉えましょう。

臨床シナリオ

臨床実践ガイド 臨床シナリオ (Clinical Scenario): あなたは回復期リハビリテーション病棟に勤務する看護師です。78歳の男性患者Aさんは、脳梗塞発症後3週間で転棟してきました。朝のラウンドで、「ベッドから車椅子に自分で移れるようになりたいんだ。でも、看護師に頼まないと怖くてできない」と訴えます。現在、日中は車椅子で過ごしていますが、トイレへの移動や病棟内の散歩はすべて介助が必要です。また、夜間は麻痺側の肩に痛みを訴えることがあります。
看護介入と判断戦略 (Nursing Intervention & Clinical Judgment): 1. 観察 (Observation): まず、患者のBrunnstrom stage(上肢III、手指III、下肢IV)、座位バランス(安定)、立位保持(介助必要)を再確認します。さらに、麻痺側肩関節の亜脱臼の有無、痛みの程度(Numerical Rating Scale)、転倒リスク(Morse Fall Scale)も評価します。 2. アセスメント (Assessment): 下肢IVで座位安定しているため、移乗動作の練習開始は可能と判断。しかし、立位保持が不安定で麻痺側肩に痛みがあるため、移乗動作の練習はまずは介助下で、安全を最優先に行う必要があります。 3. 報告 (Report: SBAR): 「医師へ。Aさん、座位安定、下肢IVですが、立位保持は介助必要です。本人が自力移乗を希望しています。肩の痛みもあるため、理学療法士と連携して安全な移乗練習を開始したいと考えています。」 4. 介入 (Intervention): 看護師は、患者のペースに合わせた段階的な移乗練習を実施します。最初は車椅子の高さ調整や麻痺側の足の配置を指導し、患者が自分でできる部分を増やしていきます。移乗時はベルトを使用し、転倒予防に努めます。同時に、肩の痛みに対しては、良肢位保持の指導と適切なポジショニングを実施します。 5. 評価 (Evaluation): 1週間後、軽介助での移乗が可能となりました。患者は「自分でできるようになって嬉しい」と笑顔を見せ、リハビリへの意欲が向上しました。
看護プロトコル: - 観察項目: 移乗動作の各段階(立ち上がり・方向転換・着座)の自立度、麻痺側の活用状況、バランスの崩れ、転倒リスク、疼痛の有無 - 報告基準 (SBAR): 「患者が移乗時にふらつきが強く、危険な場面があった。バイタルサインに異常なし。転倒予防のため、車椅子の高さ調整と見守り強化を提案したい。」 - 記録のポイント: 移乗動作の自立度(全介助~監視)、練習時の安全状況、患者の反応(表情・発言)、肩の痛みの変化 - 家族への説明の留意点: 「現在、移乗動作の練習を始めています。焦らず、できることを一つずつ増やしていきましょう。ご家族にも見学いただき、自宅での移乗方法を一緒に確認したいと考えています。」
先輩看護師の一言: 「回復期リハビリテーション病棟では、『今できること』と『今やりたいこと』のギャップを埋めるのが看護師の役目です!患者さんの『できるようになりたい』という気持ちを尊重しつつ、安全を確保しながら、成功体験を積み重ねてあげてください。特に移乗動作は、患者さんの活動範囲を広げる大きな第一歩です。国試でも事例問題でよく出るので、Brunnstrom stageとADLの関係をしっかり理解しておきましょう!」

重要概念

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