核心解説
この問題は、
関節リウマチ (Rheumatoid Arthritis, RA) に特徴的な手指の変形を正確に理解しているかを問うています。RAは慢性の炎症性自己免疫疾患で、滑膜炎により関節破壊と変形を引き起こします。手の機能障害を評価する際、これらの変形を正しくアセスメントすることは、看護計画の立案や日常生活動作(ADL)の評価に不可欠です。
RAに特徴的な手指変形には、スワンネック変形 (Swan-neck Deformity) とボタンホール変形 (Boutonnière Deformity) があり、この2つはしばしば混同されます。
正解の根拠 (Answer Rationale)
③番が正解です。
最重要! スワンネック変形 (Swan-neck Deformity) は、
近位指節間関節 (PIP) の過伸展 と
遠位指節間関節 (DIP) の屈曲 を特徴とします。白鳥(スワン)の首のように、指がS字状に変形します。この変形が生じると、物を掴む(把持)動作が困難になります。
誤答の分析 (Distractor Analysis)
混同注意! ①番は、スワンネック変形とボタンホール変形の名称と変形の内容が完全に入れ替わった誤った組み合わせです。②番も同様に、名称と変形内容が誤って結びついています。④番は「ボタンホール変形」の変形内容を「PIP過伸展 + DIP屈曲」と誤って記述しており、これはスワンネック変形の説明です。
混同注意! ⑤番の尺骨偏位 (Ulnar Deviation) は、RAに特徴的な変形ですが、その方向が誤っています。尺骨偏位は、手指が小指側(尺側)に偏位する変形であり、母指側(橈側)への偏位ではありません。
関連概念の整理 (Related Concepts)
RAの手指変形を整理します。
| 変形名 | 関節の状態 | 形状の特徴 |
|---|
| スワンネック変形 (Swan-neck Deformity) | PIP関節:過伸展 DIP関節:屈曲 | 指がS字状に曲がる(白鳥の首様) |
| ボタンホール変形 (Boutonnière Deformity) | PIP関節:屈曲 DIP関節:過伸展 | 指がボタンホールを通すように曲がる |
| 尺骨偏位 (Ulnar Deviation) | 中手指節関節(MP)を中心に、手指全体が小指側(尺側)へ偏位 | 手指が横にずれる |
概念整理: 関節リウマチ (RA) の手指変形は、慢性滑膜炎による靭帯・腱の弛緩や断裂、関節軟骨の破壊によって生じます。アセスメントでは、変形の種類だけでなく、可動域制限、疼痛、把持力の低下、日常生活動作(ADL)への影響を総合的に評価します。
一目で比較!:
混同注意! 「スワンネック変形」は「PIP過伸展 + DIP屈曲」、「ボタンホール変形」は「PIP屈曲 + DIP過伸展」と、PIP関節の状態が真逆であることを意識して覚えましょう。「尺骨偏位」は「尺側(小指側)」への偏位と、方向を正確に記憶しましょう。
看護過程ポイント:
アセスメント: 変形の有無、関節の熱感・腫脹、疼痛の性状、手指の機能(ピンチ力、握力)。
看護診断: 「関節可動域制限」、「セルフケア不足(更衣、整容、食事)」、「転倒リスク状態」。
計画・実施: 関節保護の原則に基づき、自助具の導入、日常生活動作の指導(大きな関節で物を持つ、痛みのある関節を安静にする)、理学療法・作業療法との連携。
暗記のコツ: スワンネック変形は「白鳥の首」=「首(PIP)が伸びている(過伸展)」。ボタンホール変形は「ボタンを通す」=「指を曲げる(PIP屈曲)」とイメージすると覚えやすいです。尺骨偏位は「尺骨(小指側)」と「偏位(ずれる)」をそのまま結び付けましょう。
国試頻出ポイント: RAの手指変形は、名称と変形内容の組み合わせが頻出です。また、これらの変形が原因で生じるADLの障害(ボタンかけ、箸やペンの使用困難)と、それに対する看護介入(自助具の紹介、関節保護法の指導)も併せて問われることが多いです。
出題パターン注意!: 「関節リウマチ患者の手の機能評価で、スワンネック変形を認めた。この患者のADLで最も困難が予測されるのはどれか。」のように、変形とADL障害を結びつける応用問題に注意しましょう。