65歳の男性が右膝関節の痛みと腫脹を主訴に来院した。関節可動域(ROM)測定において、膝関節の伸展が-10度で制限されて… | MyMerci
運動機能障害のある患者の看護
問題

65歳の男性が右膝関節の痛みと腫脹を主訴に来院した。関節可動域(ROM)測定において、膝関節の伸展が-10度で制限されている。この状態を正しく表しているのはどれか。

解説
関節可動域(ROM)の表記において、伸展-10度は、解剖学的肢位(0度)から10度伸展できない状態、すなわち完全伸展できない屈曲拘縮を意味する。過伸展は+10度と表記される。

詳細解説

核心解説 この問題は、関節可動域 (Range of Motion, ROM)の測定値の正しい解釈を問うています。特に、関節の伸展制限(屈曲拘縮)と過伸展の表記法の違いを理解することが鍵です。

1. 核心概念の分析 (Key Concept)
関節可動域(ROM)の測定は、解剖学的肢位(立位で手掌を前方に向けた基準位)を0度として表記します。伸展(Extension)は関節を伸ばす方向、屈曲(Flexion)は関節を曲げる方向の運動です。膝関節では、伸展は脚をまっすぐ伸ばす動作、屈曲はかかとをお尻に近づける動作です。
問題文の「伸展が-10度」という表記は、基準位である0度から伸展方向に動かそうとしても、10度手前で制限されている状態を意味します。つまり、完全に伸展できない状態(伸展制限)であり、これは屈曲拘縮(Flexion Contracture)と呼ばれる状態です。

2. 正解の根拠 (Answer Rationale)
最重要! ROMの表記法では、「-(マイナス)」は基準位(0度)からその方向への可動域が不足していることを示します。
膝関節の伸展が-10度とは、0度から伸展方向に10度動かせない、すなわち完全に伸ばしきれない状態です。
選択肢②「膝関節は完全に伸展できない状態である。」はこの状態を正確に表しています。

3. 誤答の分析 (Distractor Analysis)
①「膝関節は0度から10度までしか屈曲できない状態である。」
混同注意! 伸展-10度は、屈曲の制限(0度から10度しか曲がらない)を意味するわけではありません。屈曲制限は「屈曲が◯度」という数値で表されます。例えば「屈曲が30度」とあれば、膝が30度までしか曲がらないことを意味します。
③「膝関節の伸展が10度過剰に可能な状態である。」
混同注意! 過伸展(Hyperextension)は「+(プラス)」で表記されます。例えば「伸展が+10度」とあれば、基準位(0度)からさらに10度伸びる(反る)状態を指します。
④「膝関節の屈曲が10度制限されている状態である。」
→ 伸展-10度はあくまで伸展方向の制限であり、屈曲方向の制限は示していません。
⑤「膝関節は10度過伸展した状態である。」
→ ③と同様、過伸展は+10度と表記されます。-10度は全く逆の意味です。

4. 関連概念の整理 (Related Concepts)
- 関節可動域 (ROM) の表記法:基準位(0度)からの角度で表し、制限は「-(マイナス)」、過剰は「+(プラス)」で示す。
- 混同注意! 伸展制限(屈曲拘縮) vs 過伸展
伸展制限(-10度):完全に伸ばせない。
過伸展(+10度):基準以上に伸びる(反る)。
- 膝関節の正常可動域:伸展 0度、屈曲 130~150度程度。
- この問題は、関節リウマチ (Rheumatoid Arthritis)変形性膝関節症 (Osteoarthritis of the Knee) の患者さんによく見られる屈曲拘縮の評価に直結します。 概念整理 - ROM測定の基本ルール:解剖学的肢位を0度とし、動かせる角度を「関節名 運動方向 角度」で表記する。
- 数値の解釈
表記意味
伸展 -10度伸展制限(完全に伸ばせない)
伸展 +10度過伸展(反り返る)
屈曲 90度90度まで曲げられる

- 臨床的意義:膝関節の伸展制限(屈曲拘縮)は、歩行時の立脚期に膝が安定せず、転倒リスクが高まるため、リハビリテーションや手術の対象となる。 一目で比較!
状態ROM表記説明
正常伸展 0度脚が完全に伸びる
伸展制限(屈曲拘縮)伸展 -10度脚が完全に伸びず、少し曲がったまま
過伸展伸展 +10度脚が基準より反り返る
看護過程ポイント - アセスメント:ROM測定時は、患者さんの安静座位または背臥位で、膝窩(膝の裏)をベッドから浮かせないようにして正確に測定する。痛みの有無も同時に確認する。
- 看護診断身体可動性障害 (Impaired Physical Mobility)転倒リスク状態 (Risk for Falls)
- 計画・介入:伸展制限がある患者さんには、ベッド上での膝関節伸展ストレッチや、歩行時の装具使用を検討する。痛みがある場合は、温罨法や消炎鎮痛薬の投与(指示に基づく)を実施する。
- 評価:定期的にROMを再測定し、改善・悪化の経過を評価する。 暗記のコツ 「-(マイナス)=不足」と覚えましょう!
- 伸展-10度:伸展が10度「不足」している → 伸びきれない。
- +(プラス)=過剰:伸展+10度は、伸展が10度「過剰」 → 反り返る。
「マイナスは不足、プラスは過剰」と頭に刻んでおけば、混乱しません。 国試頻出ポイント - 第109回 午後75問などで、ROMの表記とその解釈(伸展制限 vs 過伸展)が直接問われたことがある。
- 他の関節(肘関節、股関節、肩関節)でも同様の表記法が適用されるため、応用問題として出題されることがある。
- 事例問題(例えば「変形性膝関節症の患者のROM測定結果」)の中で、「この患者の状態として適切なのはどれか」という形で出題されることもある。 出題パターン注意! - 単純知識問題:「ROM測定で伸展-10度の意味は?」→ ②を選ぶ。
- 応用問題:「右膝関節に屈曲拘縮がある患者のROM測定結果はどれか。」→ 選択肢の中から「伸展-10度」を選ぶ。
- 状況設定問題:「65歳男性、変形性膝関節症。理学療法士がROMを測定したところ、右膝伸展-15度、屈曲110度だった。この患者の歩行で注意すべきことはどれか。」→ 転倒予防の観点から、つまずきやすくなるため、適切な歩行補助具の使用を検討する。

臨床シナリオ

臨床実践ガイド - 臨床シナリオ (Clinical Scenario)
あなたは整形外科病棟の看護師です。65歳の男性患者さんが、変形性膝関節症(Osteoarthritis of the Knee)による右膝痛と腫脹で入院しました。医師が理学療法士にROM測定を指示し、結果が「右膝伸展-15度、屈曲90度」と報告されました。患者さんは「膝が伸びきらず、歩くときにグラグラする」と訴えています。この患者さんの転倒リスクをどのようにアセスメントし、どのような看護介入を行いますか?

- 看護介入と判断戦略 (Nursing Intervention & Clinical Judgment)
1. 観察バイタルサイン (Vital Signs)、痛みの程度(Numerical Rating Scale: NRS)、歩行状態(歩行補助具の使用状況、歩容の安定性)、膝関節の腫脹・熱感・発赤の有無。
2. アセスメント:伸展-15度の屈曲拘縮により、立脚期に膝が完全に伸展せず、不安定性が生じている。これにより、転倒リスクが高い状態と判断する。
3. 報告(SBAR)
- S(状況):「65歳男性、変形性膝関節症、右膝伸展-15度の拘縮あり。」
- B(背景):「歩行時の不安定性と転倒リスクが高い。」
- A(アセスメント):「転倒予防のための歩行補助具の使用と、拘縮改善のためのリハビリテーションの強化が必要と考えます。」
- R(提案):「理学療法士への再評価依頼と、歩行補助具(T字杖や歩行器)の適応判断をお願いします。」
4. 介入
- 最重要! 患者さんの安全確保:ベッド周囲の整理整頓、ナースコールの手元への設置、転倒予防のための履物(滑り止め付き)の指導。
- 歩行時にはT字杖または歩行器の使用を促す。
- 医師の指示に基づき、痛みに対する消炎鎮痛薬の投与や温罨法を実施し、リハビリテーションが効果的に行える環境を整える。
5. 評価:歩行時の安定性が改善したか、転倒が発生していないか、痛みがコントロールされているかを経時的に評価する。

- 患者安全・注意事項 (Patient Safety & Precautions)
- 転倒・転落予防:特に夜間のトイレ歩行時は危険が伴うため、ポータブルトイレの使用も検討する。
- 急激なROMの改善を強要しない(痛みや炎症の悪化を招く)。
- 患者さんの年齢(65歳)を考慮し、骨粗鬆症の有無も確認する。もし骨粗鬆症があれば、転倒時の骨折リスクがさらに高まる。 看護プロトコル - 観察項目:痛み(NRS)、腫脹、熱感、ROMの経時的変化、歩行状態、転倒リスク評価(例:Morse Fall Scale)。
- 報告基準(SBAR):上記の通り。特に「ROMの悪化」や「転倒の発生」は緊急報告が必要。
- 記録のポイント:ROMの数値(例:右膝伸展-15度)、痛みのスケール、行った看護介入(温罨法、薬剤投与、歩行介助など)、患者さんの反応、転倒予防策の実施状況をSOAP形式で記録する。
- 家族への説明:膝が伸びにくい状態(屈曲拘縮)が転倒リスクを高めること、自宅での転倒予防対策(手すりの設置、段差解消など)の必要性を説明する。 先輩看護師の一言 「看護師は、患者さんの『いつもと違う』に最初に気づける医療職です!この問題で学んだROMの表記法は、整形外科領域の基礎中の基礎。『-(マイナス)は不足』と覚えれば、患者さんの身体機能を正しくアセスメントでき、転倒予防やリハビリの効果的な計画に直結します。単に数値を覚えるのではなく、『この患者さんは膝が伸びにくいから歩きづらいだろう、転ばないようにどう支えよう』と、患者さんの生活と安全をイメージしながら勉強してみてください。それが、国試合格と現場で役立つ本当の力になります!」

重要概念

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