核心解説
この問題は、
徒手筋力テスト (Manual Muscle Testing, MMT) のグレード評価を正確に理解しているかを問うています。MMTは、筋力評価の基本的かつ重要な評価法であり、看護師国家試験でも頻出です。特に段階3(Fair)は、「重力の影響を排除すれば全可動域を動かせるが、重力に抗しては動かせない」という中間的な状態を指し、臨床での離床やリハビリ計画の判断基準となります。
正解の根拠 (Answer Rationale)
最重要! MMTの段階3(Fair)は、
重力除去下での全可動域運動 (Full Range of Motion against Gravity Eliminated) が可能だが、重力に抗しては動かせない状態です。選択肢4はこの定義を正確に説明しています。例えば、肩関節外転を評価する場合、座位(重力に抗する肢位)では不可能でも、側臥位(重力除去肢位)では完全に挙上できる状態が段階3(Fair)に該当します。
誤答の分析 (Distractor Analysis)
混同注意! 各選択肢は、異なるMMT段階と混同しやすいように作られています。
- ①番:段階4(Good)の説明です。重力に抗して完全可動域を動かせるが、強い抵抗には打ち勝てない状態。
- ②番:段階1(Trace)または段階2-(Poor-)の説明です。関節運動はできないが、筋収縮は触知できる状態。完全な段階1(Trace)では筋収縮のみで関節運動はなく、段階2-(Poor-)では重力除去下でも完全可動域に達しない運動がわずかに可能です。
- ③番:段階5(Normal)の説明です。最大抵抗に打ち勝って重力に抗して完全可動域を動かせる状態。
- ⑤番:段階3-(Fair-)または段階2+(Poor+)の説明に近いですが、標準的なMMT分類では段階3(Fair)は完全可動域を要求するため、この選択肢は段階3(Fair)の正しい定義ではありません。
関連概念の整理 (Related Concepts)
MMTの段階は、重力と抵抗の2つの要素で評価します。
| 段階 | 名称 | 重力 | 抵抗 | 可動域 |
|---|
| 5 | Normal | 抗する | 最大抵抗に打ち勝つ | 完全 |
| 4 | Good | 抗する | 中程度抵抗に打ち勝つ | 完全 |
| 3 | Fair | 抗せず | なし | 重力除去下で完全 |
| 2 | Poor | 抗せず | なし | 重力除去下で不完全 |
| 1 | Trace | - | - | 関節運動なし(筋収縮のみ触知) |
| 0 | Zero | - | - | 筋収縮なし |
概念整理: MMTの評価は、筋力低下の程度を客観的に示し、ADLやリハビリの目標設定に直結します。段階3(Fair)は、重力の影響を除去すれば動く状態であり、実際の生活動作では重力下での筋力が不足していることを意味します。
一目で比較!: MMT段階3(Fair) vs 段階4(Good):
混同注意! 両者の違いは「重力に抗して完全可動域を動かせるか」です。Fairでは重力下では動かせず、Goodでは動かせます。
看護過程ポイント: アセスメント:MMT結果は、転倒リスク、ADL自立度、リハビリ計画に影響します。段階3(Fair)の患者は、重力下での動作(歩行、立ち上がり)が困難なため、安全な移動方法の指導と環境調整が必要です。
暗記のコツ: 「Fair(フェア)=重力にFair(フェア)じゃない」と覚えましょう。重力に「フェア(公平)」ではなく、重力に負けてしまうイメージです。Goodは「重力にGood(良い)」で重力に勝てる、と連想すると区別しやすいです。
国試頻出ポイント: MMTの各段階の定義は、単独で出題されるだけでなく、脳卒中片麻痺や脊髄損傷の事例問題の中で、どの段階の筋力が必要なADL動作(歩行、移乗、更衣など)が可能かの判断を問う形で出題されることが多いです。
出題パターン注意!: 単純な「MMT段階3の定義はどれか」から、事例問題「筋力がMMT段階3の患者に適した移乗方法はどれか」へ発展します。重力除去下での動作を想定した介入(例:スライディングボード使用、リフト介助)を選択できるようにしましょう。