核心解説
この問題は、脳血管障害(Cerebrovascular Accident, CVA)による片麻痺患者の回復過程を評価する上で重要な
ブルンストロームステージ (Brunnstrom Stage)の理解を問うています。ブルンストロームステージは、脳卒中後の運動回復を6段階に分類し、麻痺側の運動パターンの変化を評価する指標です。特にステージIVは、
共同運動 (Synergy) から分離運動 (Isolated Movement) への移行期であり、この段階の特徴を正確に捉えることが看護アセスメントの鍵となります。
正解の根拠 (Answer Rationale)
最重要! ブルンストロームステージIVの特徴は、
共同運動パターンから分離した運動が出現し始めることです。例えば、肩関節を外転90度に保ちながら肘関節を屈曲する、手を腰の後ろに持っていく、手を前に伸ばすなどの動作が可能になります。しかし、
混同注意! この段階では、
手指の伸展(手のひらを開くこと)はまだ困難であり、巧緻運動は不完全です。選択肢2は、この「分離運動の出現」と「手指伸展の困難さ」の両方を正しく捉えています。
誤答の分析 (Distractor Analysis)
⚠️ 以下の分析は学習用の詳細解説です。選択肢の横に表示される短いコメント(qn_wrong_c)とは別のUI領域です。
- ①番(共同運動の要素が強く、個別の指の動きは困難である):
混同注意! これはステージIII(共同運動が最盛期で、随意運動が共同運動パターン内でのみ可能)の特徴です。ステージIVでは共同運動からの分離が始まります。
- ③番(分離した運動が可能で、手指の巧緻運動がほぼ正常である):ステージVI(最終段階)の特徴です。ステージIVでは手指の動きはまだ協調性に欠けます。
- ④番(強い痙性がみられ、共同運動のみが可能である):ステージII〜IIIの特徴です。ステージIVでは痙性は徐々に低下し始めます。
- ⑤番(随意運動はみられず、完全に弛緩した状態である):ステージI(弛緩期)の特徴です。
関連概念の整理 (Related Concepts)
ブルンストロームステージは、片麻痺の回復を段階的に評価するゴールドスタンダードです。ステージI(弛緩期)→ II(痙性出現・共同運動開始)→ III(共同運動最盛期)→ IV(分離運動出現)→ V(分離運動発達)→ VI(ほぼ正常)。特にステージIVは、
運動療法 (Therapeutic Exercise)や
日常生活動作 (ADL)訓練の介入を積極的に進める重要な節目です。看護師は、患者がどのステージにあるかを把握し、適切なポジショニングや関節可動域訓練(ROM訓練)、自己介助での更衣や食事動作の指導に役立てます。
概念整理: ブルンストロームステージIV(分離運動出現期)は、共同運動から自由な運動への過渡期。手指伸展は困難だが、肩・肘の分離運動が可能になる。痙性は低下傾向。
一目で比較!:
| ステージ | 特徴 | 運動パターン |
|---|
| I | 弛緩性麻痺 | 随意的な動きなし |
| II | 痙性出現 | 共同運動の初期 |
| III | 共同運動最盛期 | 強い痙性、共同運動内でのみ随意運動可能 |
| IV | 分離運動出現 | 共同運動から分離し始めるが手指伸展困難 |
| V | 分離運動発達 | より複雑な分離運動可能、手指伸展可能 |
| VI | ほぼ正常 | 巧緻運動含めほぼ正常 |
看護過程ポイント: アセスメントでは、
共同運動の有無とそのパターン、
分離運動の程度(肩外転での肘屈曲など)、
手指の動きを観察。看護診断として「
身体可動性障害 (Impaired Physical Mobility)」が挙げられ、計画では段階に応じたADL訓練(例:ステージIVでは麻痺側上肢を使った更衣動作の練習)を立案する。評価では、分離運動の獲得状況やADL遂行度の向上を確認する。
暗記のコツ: ブルンストロームステージは「I: 弛緩、II: 痙性・共同、III: 共同最盛、IV: 分離始まる、V: 分離進む、VI: 正常」とゴロで覚えましょう。「イチ に さん し ご ろく」のリズムで。「IVは『手を開けず、分離運動が始まる段階』」をキーワードに。
国試頻出ポイント: ブルンストロームステージは、脳卒中リハビリテーション看護の頻出項目です。特に各ステージの「できること」「できないこと」を正しく区別する問題がよく出ます。ステージIVとIIIの鑑別(共同運動 vs 分離運動の出現)が重要です。
出題パターン注意!: 「右上肢がステージIVの患者のADLで適切な指導はどれか」といった応用問題や、事例問題で「患者の麻痺の状態をアセスメントし、適切なリハビリ目標を選ぶ」形式に発展することがあります。