核心解説
この問題は、
関節リウマチ (Rheumatoid Arthritis, RA) の基本的な病態生理を問うています。RAは全身性の自己免疫疾患であり、関節症状の原因となるのは滑膜組織の異常増殖です。これを理解することが、RAの看護と治療の全ての根拠となります。
正解の根拠 (Answer Rationale):
最重要! RAの核心的病態は、
自己免疫反応による滑膜組織の炎症と異常増殖です。この増殖した滑膜組織を
パンヌス (Pannus)と呼び、関節包内で軟骨や骨を侵食・破壊します。これにより関節の腫脹、疼痛、朝のこわばりが生じ、進行すると関節の変形や機能障害をきたします。
誤答の分析 (Distractor Analysis):
混同注意! 各選択肢は、類似の関節疾患と混同しやすい病態です。
- ①「骨膜反応と骨棘形成」は、
変形性関節症 (Osteoarthritis)や
強直性脊椎炎 (Ankylosing Spondylitis)などで見られる所見です。RAでは関節裂隙の狭小化と骨びらんが主体であり、骨棘形成は典型的ではありません。
- ②「関節軟骨の変性と摩耗」は、
変形性関節症 (Osteoarthritis)の一次性病態です。加齢や機械的ストレスが原因であり、炎症は二次的です。
- ③「化膿性細菌の関節内感染」は、
化膿性関節炎 (Septic Arthritis)の病態です。単関節性で急性発症し、発熱や激しい疼痛を伴います。
- ⑤「尿酸結晶の関節内沈着」は、
痛風 (Gout)の病態です。高尿酸血症を背景に、足趾のMP関節などに突然の激痛発作が生じます。
関連概念の整理 (Related Concepts):
RAと類似疾患の鑑別ポイントは、関節の病変部位(対称性・多関節性 vs 非対称性・単関節性)、炎症所見(CRP、ESR、発熱)、自己抗体(リウマトイド因子、抗CCP抗体、抗核抗体)の有無です。特に
抗CCP抗体 (Anti-CCP Antibody)はRAに非常に特異的で、早期診断に有用です。
概念整理:
関節リウマチ (RA):自己免疫性慢性炎症性疾患。病態の中心は
パンヌス (Pannus)形成による軟骨・骨破壊。対称性多関節炎、朝のこわばり、関節変形が特徴。
一目で比較!:
| 疾患 | 病態の核心 | 主な特徴 |
|---|
| 関節リウマチ (RA) | 滑膜炎・パンヌス形成(自己免疫) | 対称性多関節炎 朝のこわばり 関節変形 |
| 変形性関節症 (OA) | 軟骨変性・摩耗(加齢/機械的) | 荷重関節に多い 動作時痛 骨棘形成 |
| 痛風 (Gout) | 尿酸結晶沈着(代謝異常) | 急激な発作性疼痛 足趾MP関節 高尿酸血症 |
| 化膿性関節炎 | 細菌感染(化膿性炎症) | 単関節 発熱 激痛 緊急性あり |
看護過程ポイント: RAの看護では、
アセスメント:疼痛の程度(NRS)、関節腫脹・熱感、朝のこわばりの持続時間、ADLへの影響を評価。
看護診断:「慢性疼痛」「身体可動性障害」「セルフケア不足」が優先される。
計画・実施:安静と運動のバランス、温熱療法・寒冷療法の使い分け、関節保護の指導、薬物療法(NSAIDs、DMARDs、生物学的製剤)の副作用モニタリング(感染症、肝機能障害など)。
暗記のコツ: 「
パンヌス (Pannus)は、まるで雑草のように滑膜が異常に増えて、関節の中を覆い尽くしてしまうイメージ」と覚えましょう。自己免疫という敵を攻撃する免疫細胞が、誤って自分の関節の滑膜を攻撃して炎症を起こし、それが慢性化すると滑膜が厚く増殖してパンヌスになります。
国試頻出ポイント: RAの診断基準(ACR/EULAR分類基準)、早期診断の重要性、治療薬(特にメトトレキサート (MTX) と生物学的製剤の作用機序・副作用・投与前スクリーニング)、関節変形の種類(スワンネック変形、ボタン穴変形など)、関節外症状(リウマトイド結節、血管炎、間質性肺炎、シェーグレン症候群)も頻出です。
出題パターン注意!: 「ある患者に…」という事例問題では、RAの急性増悪時の看護(安静、湿布、薬剤調整)、関節リウマチ患者の手術(人工関節置換術)後の看護、生物学的製剤使用中の感染予防指導などに発展します。