核心解説
この問題は、
副腎皮質 (Adrenal Cortex) から分泌されるホルモンの種類と、それぞれの生理作用を正しく理解しているかを問うています。副腎は大きく
混同注意!皮質と髄質に分かれ、分泌されるホルモンと作用が全く異なります。副腎皮質ホルモンは主に
鉱質コルチコイド (Mineralocorticoid)、
糖質コルチコイド (Glucocorticoid)、
副腎アンドロゲン (Adrenal Androgen) の3つに分類されることをまず押さえましょう。
正解の根拠 (Answer Rationale)
正解は①番の「
アルドステロン (Aldosterone) -
カリウムの排泄促進」です。
最重要! アルドステロンは副腎皮質の球状帯から分泌される代表的な鉱質コルチコイドです。その主な作用は、腎臓の遠位尿細管および集合管において、
ナトリウム (Na+) の再吸収促進と、それに伴う
カリウム (K+) と水素イオン (H+) の排泄促進です。この作用により、体内の水分量(循環血液量)と電解質バランス(特にカリウム濃度)を調節しています。
誤答の分析 (Distractor Analysis)
②番
混同注意!「コルチゾール - 免疫機能の亢進」は誤りです。コルチゾール (Cortisol) は強力な
免疫抑制作用 を持ち、炎症反応やアレルギー反応を抑制します。この作用を利用したのがステロイド薬(プレドニゾロンなど)です。免疫機能を亢進させるのは主に成長ホルモンや甲状腺ホルモンなどです。
③番「アドレナリン - 気管支の収縮」は誤りです。アドレナリン (Adrenaline / Epinephrine) は
混同注意!副腎髄質 (Adrenal Medulla) から分泌されるホルモンで、交感神経系を興奮させます。気管支に対しては
拡張作用 (Bronchodilation) を示します。気管支を収縮させるのはアセチルコリンなどの副交感神経作用物質です。
④番「アルドステロン - 血糖値の上昇」は誤りです。血糖値を上昇させる主なホルモンは、
グルカゴン (Glucagon)、
コルチゾール (Cortisol)、
アドレナリン (Adrenaline)、
成長ホルモン (Growth Hormone) などです。
⑤番「コルチゾール - ナトリウムの再吸収促進」は誤りです。コルチゾールは糖質コルチコイドであり、軽度の鉱質コルチコイド作用も持ちますが、その主体は
糖新生の促進・血糖上昇 と
蛋白異化・免疫抑制 です。ナトリウム再吸収の強力な促進作用は、アルドステロンの特徴です。
関連概念の整理 (Related Concepts)
副腎皮質ホルモンと副腎髄質ホルモンの分泌場所と作用をセットで覚えましょう。また、アルドステロンの分泌調節には
レニン-アンジオテンシン-アルドステロン系 (RAAS) が関与しており、心不全や腎不全の病態理解にも必須です。コルチゾールの分泌異常はクッシング症候群(分泌亢進)やアジソン病(分泌低下)として出題されます。
概念整理: 副腎皮質ホルモンの3分類と主作用
| 分類 | 代表ホルモン | 主な作用 |
| 鉱質コルチコイド | アルドステロン | Na+再吸収促進 / K+排泄促進 / 水分貯留 |
| 糖質コルチコイド | コルチゾール | 血糖上昇 / 蛋白異化 / 免疫抑制 / 抗炎症 |
| 副腎アンドロゲン | DHEAなど | 男性ホルモン作用(弱い) / タンパク同化 |
一目で比較!: 副腎皮質 vs 副腎髄質
| 項目 | 副腎皮質 | 副腎髄質 |
| 分泌ホルモン | アルドステロン / コルチゾール / アンドロゲン | アドレナリン / ノルアドレナリン |
| 主な調節系 | RAAS / ACTH | 交感神経系 |
| 作用の特徴 | 持続的・代謝調節 | 即時的・ストレス反応 |
看護過程ポイント:
アセスメント (Assessment) - アルドステロン分泌亢進(原発性アルドステロン症など)では、高血圧と低カリウム血症に注意。コルチゾール長期投与患者では、易感染性・高血糖・骨粗鬆症のリスクアセスメントが必須です。
暗記のコツ: 「アルドステロンは『アル(アルカリ性じゃないよ)ド(ドンドン)ステロン』」→ Naをドンドン再吸収して、Kをどんどん排泄する、と覚えましょう。コルチゾールは「コルチ(コルチゾンで抗炎症)ゾール」→ 炎症をゾール(ソール=靴底)のように押さえつける、とイメージすると免疫抑制作用を思い出せます。
国試頻出ポイント: ホルモン名と作用の組み合わせは毎年のように出題される基本問題です。特に「アルドステロン=カリウム排泄」「コルチゾール=免疫抑制・血糖上昇」は確実に押さえましょう。また、アドレナリンが副腎髄質由来であることを問う問題や、副作用としてのステロイド薬の作用を問う問題に発展します。
出題パターン注意!: 「副腎皮質ホルモンの分泌異常に関する患者の症状を選べ」といった事例問題に発展します。例えば、「高血圧、低カリウム血症、筋力低下の患者」→アルドステロン症、「満月様顔貌、中心性肥満、易感染性の患者」→クッシング症候群、というように症状からホルモンの異常を推測できるようにしておきましょう。