核心解説
この問題は、甲状腺の組織構造と、そこから分泌されるホルモンの種類を問うています。
甲状腺濾胞傍細胞 (Parafollicular Cells / C Cells) から分泌されるホルモンは
カルシトニン (Calcitonin) です。カルシトニンは血中カルシウム濃度を低下させる作用を持ち、副甲状腺ホルモン(PTH)とは拮抗的な関係にあります。
最重要! 甲状腺のホルモン分泌を正しく理解するためには、
濾胞上皮細胞と濾胞傍細胞の役割の違いを明確に区別することが鍵です。濾胞上皮細胞は甲状腺ホルモン(T3, T4)を産生し、濾胞傍細胞はカルシトニンを産生します。
正解の根拠 (Answer Rationale)
②番の
カルシトニン (Calcitonin)が正解です。カルシトニンは、血中カルシウム濃度が上昇した際に、
骨吸収を抑制し、腎臓でのカルシウム再吸収を低下させることで、血清カルシウム値を低下させます。このホルモンは、
甲状腺髄様癌 (Medullary Thyroid Carcinoma) の腫瘍マーカーとしても臨床的に重要です。
誤答の分析 (Distractor Analysis)
①番の
混同注意! トリヨードサイロニン (T3) と、④番の
サイロキシン (T4) は、いずれも
甲状腺濾胞上皮細胞 (Thyroid Follicular Cells) で産生される甲状腺ホルモンです。T3は活性型ホルモンで、T4は前駆体(貯蔵型)です。
③番の
サイログロブリン (Thyroglobulin) は、甲状腺濾胞内でT3, T4と結合して貯蔵されるタンパク質であり、ホルモンそのものではありません。
⑤番の
副甲状腺ホルモン (PTH) は、
副甲状腺 (Parathyroid Glands) から分泌され、血中カルシウム濃度を上昇させる作用を持ち、カルシトニンとは逆の働きをします。
関連概念の整理 (Related Concepts)
カルシトニンと副甲状腺ホルモン(PTH)は、血中カルシウム濃度の恒常性を維持するために、互いに拮抗的に作用することを押さえておきましょう。また、
活性型ビタミンD (1,25-ジヒドロキシビタミンD3) もカルシウム代謝に深く関与するホルモンであり、これら三者の作用のバランスを理解することが、
電解質異常 (Electrolyte Imbalance) の病態を学ぶ基礎となります。
概念整理:
| ホルモン | 産生細胞/臓器 | 主な作用 |
|---|
| カルシトニン | 甲状腺濾胞傍細胞 (C細胞) | 血中Ca²⁺低下(骨吸収抑制、腎Ca再吸収低下) |
| 副甲状腺ホルモン (PTH) | 副甲状腺 | 血中Ca²⁺上昇(骨吸収促進、腎Ca再吸収促進) |
| T3 / T4 | 甲状腺濾胞上皮細胞 | 代謝亢進、成長促進 |
一目で比較!:
甲状腺濾胞上皮細胞 vs 濾胞傍細胞 は、国試でよく問われる対比ポイントです。「上皮細胞=T3,T4」と「傍細胞=カルシトニン」をセットで覚えましょう。
看護過程ポイント:
アセスメント: カルシトニン値は甲状腺髄様癌のフォローアップで測定されます。手術後の低カルシウム血症(テタニー症状)の観察も重要です。
看護介入: 甲状腺全摘後の患者には、カルシウム値のモニタリングとテタニー症状(Chvostek徴候、Trousseau徴候)の有無を観察します。
暗記のコツ: 「
カルシトニンは、血中
カルシウムを
カらだの外へ(下げる)」と覚えましょう。PTHは「骨からカルシウムを引っ張り出す」とイメージすると混同しにくいです。
国試頻出ポイント: ホルモンの名称と分泌臓器・細胞の組み合わせは、基礎医学の問題として非常に頻出です。特に、
カルシトニンと
PTHの拮抗作用は、電解質異常の看護と合わせて問われることが多いです。
出題パターン注意!: 「甲状腺全摘後の患者に生じうる合併症はどれか」という事例問題に発展することがあります。術後合併症としての
低カルシウム血症 と、その症状(テタニー)の観察が重要だと結びつけて学習しましょう。