甲状腺から分泌されるホルモンで、代謝を亢進させる作用を持つものはどれか? | MyMerci
内分泌系
問題

甲状腺から分泌されるホルモンで、代謝を亢進させる作用を持つものはどれか?

解説
サイロキシン (T4) は甲状腺から分泌されるホルモンで、全身の細胞の代謝を亢進させる作用を持つ。カルシトニンも甲状腺から分泌されるが、主に血中カルシウム濃度を低下させる作用を持つ。副甲状腺ホルモンは副甲状腺から分泌され、血中カルシウム濃度を上昇させる。インスリンは膵臓から分泌され、血糖値を低下させる。成長ホルモンは下垂体前葉から分泌され、成長促進作用を持つ。

詳細解説

核心解説 この問題は、内分泌系 (Endocrine System) における各ホルモンの産生臓器と主な生理作用を問う、基礎的かつ必須の知識です。特に、甲状腺ホルモン (Thyroid Hormone) の「代謝亢進作用」という核心を理解することがポイントです。
1. 核心概念の分析 (Key Concept)
問題は「甲状腺から分泌されるホルモン」であり、かつ「代謝を亢進させる作用を持つもの」を選ぶことです。これは、甲状腺 (Thyroid Gland) から分泌される主要ホルモンである サイロキシン (T4)トリヨードサイロニン (T3) の生理作用を問うています。甲状腺ホルモンは全身の細胞に作用し、基礎代謝率 (Basal Metabolic Rate: BMR) を上昇させ、タンパク質・糖質・脂質の代謝を促進します。また、心拍数増加や心収縮力増強などの心血管系への作用も重要です。
2. 正解の根拠 (Answer Rationale)
正解は サイロキシン (T4) です。最重要! 甲状腺濾胞上皮細胞で産生・分泌されるサイロキシン (T4) は、標的臓器で活性型である トリヨードサイロニン (T3) に変換され、核内受容体に結合して遺伝子発現を調節します。その結果、細胞の酸素消費量と熱産生が増大し、全身の代謝が亢進します。バセドウ病(Basedow病 / Graves病)では甲状腺ホルモンが過剰に分泌され、頻脈、発汗、体重減少、手指振戦 などの代謝亢進症状が出現します。
3. 誤答の分析 (Distractor Analysis)
混同注意!
① カルシトニン (Calcitonin): 甲状腺濾胞傍細胞(C細胞)から分泌されますが、作用は 血中カルシウム濃度を低下させる ことであり、代謝亢進作用はありません。
② インスリン (Insulin): 膵臓 (Pancreas) のランゲルハンス島β細胞から分泌され、血糖値を低下させます。代謝には関与しますが、甲状腺ホルモンのような全身の代謝亢進作用は持ちません。
③ 副甲状腺ホルモン (PTH): 副甲状腺 (Parathyroid Gland) から分泌され、骨吸収を促進して血中カルシウム濃度を上昇させます。代謝亢進作用はありません。
⑤ 成長ホルモン (GH): 下垂体前葉 (Anterior Pituitary Gland) から分泌され、タンパク質合成促進や骨・組織の成長促進作用がありますが、甲状腺ホルモンのような直接的な代謝亢進作用とは異なります。
4. 関連概念の整理 (Related Concepts)
- 甲状腺ホルモン合成の材料: ヨウ素 (Iodine) が不可欠です。ヨウ素不足は甲状腺腫(Goiter)の原因となります。
- 分泌調節機構: 視床下部 → TRH (甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン) → 下垂体前葉 → TSH (甲状腺刺激ホルモン) → 甲状腺 → T3/T4 という ネガティブフィードバック機構 で調節されています。
- T3 vs T4: T3はT4より生理活性が約3~5倍強く、作用発現が速いです。T4は血中濃度が高く、半減期が長いという特徴があります。

概念整理: 内分泌ホルモンの「産生臓器」と「主な作用」は必ずセットで暗記! 特に甲状腺ホルモンは「代謝亢進」「心拍数増加」「発汗促進」が三大作用です。
一目で比較!: ホルモン別産生臓器・作用一覧
ホルモン産生臓器主な作用
サイロキシン (T4)甲状腺濾胞上皮代謝亢進
カルシトニン甲状腺濾胞傍細胞 (C細胞)血中Ca低下
副甲状腺ホルモン (PTH)副甲状腺血中Ca上昇
インスリン膵臓β細胞血糖低下
成長ホルモン (GH)下垂体前葉成長促進

看護過程ポイント: 甲状腺機能亢進症(バセドウ病)の患者をアセスメントする際は、バイタルサイン(特に脈拍・血圧)、体重変化、発汗状態、眼球突出の有無、手指振戦の観察が重要です。看護診断としては「非効果的呼吸パターン(気道狭窄を伴う甲状腺腫の場合)」「非効果的健康維持」「活動耐容能低下」などが考えられます。
暗記のコツ: 「甲状腺=代謝のアクセル」と覚えましょう! アクセルを踏むと全身が活発になります(心拍数↑、体温↑、消費カロリー↑)。一方、カルシトニンは「Caをトン(貯蔵)する」と語呂合わせで覚えられます。
国試頻出ポイント: ホルモンの産生臓器と作用の組み合わせは毎年のように出題されます。特に甲状腺ホルモン(T3/T4)と副甲状腺ホルモン (PTH)、カルシトニンは混同しやすいので、しっかり区別しましょう。状況設定問題では、バセドウ病患者の術後合併症(甲状腺クリーゼ)や、甲状腺機能低下症(粘液水腫)の観察項目として問われることも多いです。
出題パターン注意!: 「次のホルモンとその産生臓器の組み合わせで正しいのはどれか?」といった一問一答形式から、「甲状腺機能亢進症患者の術後、バイタルサインが変動。考えられる合併症は?」という応用問題へ発展します。ホルモンの正常値を覚えるだけでなく、異常値のときに何が起きるかを理解しておくことが重要です。

臨床シナリオ

臨床実践ガイド
臨床シナリオ (Clinical Scenario)
あなたは内科病棟の看護師です。30代女性、バセドウ病で入院中の患者さんが、夜間になり「動悸がして眠れない」「暑くて汗をかく」と訴えました。バイタルサインは、心拍数 120回/分、血圧 150/70 mmHg、体温 37.5℃でした。
看護介入と判断戦略 (Nursing Intervention & Clinical Judgment)
1. 観察・アセスメント: まずバイタルサイン(特に心拍数・血圧・体温)と、意識レベル、呼吸状態、発汗量を確認します。甲状腺ホルモン過剰による 代謝亢進症状 の悪化、あるいは 甲状腺クリーゼ (Thyroid Storm) の前兆 の可能性を考慮します。頻脈に加え、高体温(発熱)、意識障害、嘔気・嘔吐などが揃うと危険です。
2. 報告・連携 (SBAR): 直ちに医師へ SBAR を用いて報告します。
- S (Situation): 「バセドウ病の患者様が、夜間になり動悸と発汗を訴えています。」
- B (Background): 「本日入院、抗甲状腺薬内服開始後です。既往歴に特記事項なし。」
- A (Assessment): 「心拍数120回/分と頻脈、体温37.5℃と微熱があります。発汗も著明です。甲状腺クリーゼの前兆を疑います。」
- R (Recommendation): 「バイタルサインの頻回測定と、指示があれば 抗甲状腺薬 (チアマゾールなど)β遮断薬 (プロプラノロールなど) の追加投与、冷却処置の指示をお願いします。」
3. 看護介入: 医師の指示に基づき、安静保持の促進、冷罨法(アイスパックなど)の実施、環境調整(室温調整、薄着の促進)、水分補給の促しを行います。必要時は 心電図モニター を装着し、不整脈の有無を監視します。
4. 患者安全・注意事項 (Patient Safety & Precautions): 転倒・転落予防(頻脈によるふらつきのリスク)、甲状腺クリーゼへの早期対応(高体温、意識障害、不整脈の出現に注意)が最優先です。また、抗甲状腺薬による副作用(無顆粒球症:発熱・咽頭痛の観察、肝機能障害)も念頭に置きます。

看護プロトコル: 甲状腺クリーゼが疑われる場合の観察項目(バイタルサイン、意識レベル(JCS/GCS)、心電図、呼吸数・SpO2、体温(冷却の有無)、尿量)をチェックリスト化し、頻回に評価します。
先輩看護師の一言: 「バセドウ病の患者さんは、代謝が亢進しているのでちょっとした刺激でも症状が増悪します。『いつもより脈が速いな』『汗の量が増えたな』という小さな変化を見逃さないで! 特に甲状腺クリーゼは致死的な緊急事態なので、早期発見・早期対応が患者さんの命を守ります。国試でもよく出るので、症状と看護介入をしっかりリンクさせて覚えましょう!」

重要概念

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