核心解説
この問題は、
副腎皮質ホルモン (Adrenal Cortex Hormones)の種類と生理作用を問う、内分泌系の基礎知識です。副腎皮質は外側から順に
球状帯 (Zona Glomerulosa)、
束状帯 (Zona Fasciculata)、
網状帯 (Zona Reticularis)の3層に分かれており、それぞれ異なるホルモンを分泌します。それぞれのホルモンの作用を正確に理解することが、副腎疾患やホルモン補充療法の看護の基盤となります。
正解の根拠 (Answer Rationale):
⑤
コルチゾール (Cortisol)は
糖質コルチコイド (Glucocorticoid)の主成分です。主要な作用として、
抗炎症作用 (Anti-inflammatory Effect)と
免疫抑制作用 (Immunosuppressive Effect)を持ち、この作用を利用して
リウマチ性疾患や
アレルギー疾患などの治療に用いられます。また、血糖上昇作用、タンパク質異化作用、骨吸収促進など多岐にわたる作用があります。
本選択肢の組み合わせは正しいです。
誤答の分析 (Distractor Analysis):
混同注意! ①
アルドステロン (Aldosterone)は
鉱質コルチコイド (Mineralocorticoid)であり、
腎臓でのナトリウム再吸収促進とカリウム排泄促進が主な作用です。「カリウム再吸収促進」ではなく「カリウム排泄促進」が正しいため、誤りです。
②
アンドロゲン (Androgen)は副腎皮質の網状帯から分泌される弱い男性ホルモンで、主に
男性化作用 (Androgenic Effect)を持ちます。「女性化作用」は女性ホルモン(エストロゲン)の作用であり、誤りです。
③ アルドステロンの作用は「ナトリウム排泄促進」ではなく、前述の通り「ナトリウム再吸収促進」です。誤りです。
④
アドレナリン (Adrenaline / Epinephrine)は
混同注意! 副腎髄質から分泌されるホルモンであり、副腎皮質ホルモンではありません。作用は血糖上昇(グリコーゲン分解促進)、心拍数増加、気管支拡張など交感神経刺激作用が主です。「血糖値低下作用」は
インスリン (Insulin)の作用であり、誤りです。
関連概念の整理 (Related Concepts):
副腎ホルモンの分類を層別に整理しましょう。
| 副腎の層 | ホルモン | 主な作用 |
|---|
| 球状帯 (最外層) | アルドステロン | Na⁺再吸収・K⁺排泄・血圧上昇 |
| 束状帯 (中間層) | コルチゾール | 抗炎症・免疫抑制・血糖上昇 |
| 網状帯 (最内層) | アンドロゲン | 男性化作用 |
| 髄質 (中心部) | アドレナリン | 血糖上昇・心拍数増加・気管支拡張 |
副腎皮質機能亢進症(
クッシング症候群 (Cushing's Syndrome))ではコルチゾール過剰による中心性肥満・満月様顔貌・高血糖など、原発性アルドステロン症(
コン症候群 (Conn's Syndrome))では高血圧・低K血症など、それぞれのホルモン過剰症状を病態と結びつけて覚えましょう。
概念整理: 副腎皮質は3層構造で、球状帯→鉱質コルチコイド(アルドステロン)、束状帯→糖質コルチコイド(コルチゾール)、網状帯→性ホルモン(アンドロゲン)と、層ごとに分泌ホルモンと作用が異なる。髄質は別系統(カテコールアミン:アドレナリン・ノルアドレナリン)である。
一目で比較!:
混同注意! コルチゾール(糖質コルチコイド)vs アルドステロン(鉱質コルチコイド)。前者は「糖と免疫」、後者は「電解質と血圧」とキーワードで覚えると良い。
看護過程ポイント: 副腎皮質ホルモン(特にコルチゾール)を長期投与している患者の看護では、
アセスメントで易感染性(免疫抑制による感染リスク)・高血糖・骨粗鬆症・消化性潰瘍に注意。
看護診断「感染リスク状態」「血糖変動リスク状態」「転倒リスク状態」が優先される。
介入では、感染予防のための手指衛生・バイタルサイン観察、血糖モニタリング、転倒予防策を徹底する。
暗記のコツ: 副腎皮質ホルモンの語呂合わせ「
皮質の
アルド(アルドステロン:球状帯)→Na
アップ(再吸収)、
コルチ(コルチゾール:束状帯)→
コル(抗炎症・免疫抑制)、
アンド(アンドロゲン:網状帯)→
アン(男性化作用)」と覚える。
国試頻出ポイント: 「ホルモン名とその作用の組み合わせ」は毎年のように出題される基本問題。特に「コルチゾールの抗炎症・免疫抑制作用」と「アルドステロンのNa⁺再吸収・K⁺排泄作用」の正誤は頻出。また、副腎皮質と髄質のホルモンを混同しないように注意(アドレナリンは髄質ホルモン)。
出題パターン注意!: 単純な知識問題から、状況設定問題へ発展。例:「クッシング症候群の患者の看護計画を立案せよ」「ステロイド長期使用中の患者に発熱がみられた場合のアセスメントと対応」など、ホルモンの作用を病態・看護介入に応用する問題が出題される。