核心解説
この問題は、
副腎皮質 (Adrenal Cortex) から分泌されるホルモンの分類、特に
糖質コルチコイド (Glucocorticoid) の代表格を問う、基礎医学の頻出問題です。副腎は解剖学的に皮質と髄質に分かれ、分泌されるホルモンの種類と作用が全く異なります。皮質はさらに外側から
球状帯 (Zona Glomerulosa)、
束状帯 (Zona Fasciculata)、
網状帯 (Zona Reticularis) の3層に分かれ、それぞれ分泌するホルモンが異なります。この層構造とホルモンの対応を覚えることが、本問題の核心です。
正解の根拠 (Answer Rationale)
最重要! 正解は③番の
コルチゾール (Cortisol) です。コルチゾールは
副腎皮質束状帯 (Zona Fasciculata) から分泌される主要な糖質コルチコイドで、糖新生の促進、タンパク質異化、抗炎症作用、免疫抑制作用など、生体のストレス応答に不可欠なホルモンです。日内変動(朝高く夜低い)があることも特徴です。
誤答の分析 (Distractor Analysis)
- ①番
アドレナリン (Epinephrine):
混同注意! これは副腎皮質ではなく、
副腎髄質 (Adrenal Medulla) から分泌されるカテコールアミンです。交感神経刺激により放出され、心拍数増加、気管支拡張、血糖上昇などの作用があります。
- ②番
アルドステロン (Aldosterone): これは副腎皮質の最外層である
球状帯 (Zona Glomerulosa) から分泌される
鉱質コルチコイド (Mineralocorticoid) です。腎臓でのナトリウム再吸収とカリウム排泄を促進し、体液量と血圧を調節します。「塩(Na)をためる」と覚えましょう。
- ④番
テストステロン (Testosterone): これは副腎皮質からも微量分泌されますが、主たる産生部位は
精巣 (Testes) であり、男性ホルモン(アンドロゲン)に分類されます。副腎皮質網状帯からは副腎アンドロゲン(DHEAなど)が分泌されますが、テストステロンは精巣が主産生源です。
- ⑤番
ノルアドレナリン (Norepinephrine): ①番のアドレナリンと同様に、
副腎髄質 から分泌されるカテコールアミンです。主に血管収縮作用を持ち、血圧上昇に寄与します。
関連概念の整理 (Related Concepts)
副腎ホルモンの分類は「皮質3層 + 髄質」の暗記が基本です。皮質は「砂糖(糖質コルチコイド)、塩(鉱質コルチコイド)、性(副腎アンドロゲン)」の順に球状帯(塩)→束状帯(砂糖)→網状帯(性)と対応します。また、
ACTH (副腎皮質刺激ホルモン) が下垂体前葉から分泌され、主に束状帯と網状帯を刺激することも併せて覚えておきましょう。
概念整理: 副腎皮質ホルモン3分類
| 皮質層 | 分泌ホルモン | 分類 | 主な作用 |
| 球状帯 | アルドステロン | 鉱質コルチコイド | Na⁺再吸収・K⁺排泄・体液量調節 |
| 束状帯 | コルチゾール | 糖質コルチコイド | 糖新生・抗炎症・免疫抑制・ストレス応答 |
| 網状帯 | DHEAなど | 副腎アンドロゲン | 弱い男性ホルモン作用 |
一目で比較!:
混同注意! 副腎髄質ホルモン(カテコールアミン)と皮質ホルモンは起源も作用も全く異なります。髄質は交感神経節が変化した組織で、即時的なストレス応答(闘争か逃走反応)を担います。皮質はホルモン分泌に時間がかかり、持続的なストレス応答を担います。
暗記のコツ: 「皮質は3層、外から『球・束・網』(キュウ・ソク・モウ)→『塩・砂糖・性』(シオ・サトウ・セイ)」と語呂合わせで覚えましょう。髄質は「アドレナリンとノルアドレナリンの2兄弟」とセットで暗記します。
国試頻出ポイント: この問題は
High Yield です。①ホルモンの分類(糖質コルチコイド、鉱質コルチコイド、カテコールアミン)、②分泌部位(皮質の層別、髄質)、③各ホルモンの主要な生理作用の3点が頻出です。特に「抗炎症作用を持つのはどれか」といった応用問題もよく出題されます。