核心解説
この問題は、妊娠の維持に不可欠なホルモンとその分泌源に関する知識を問うています。
最重要! 妊娠の維持には、排卵後に形成される
黄体 (Corpus Luteum)から分泌される
プロゲステロン (Progesterone)が中心的な役割を果たします。
プロゲステロンは子宮内膜を着床に適した状態(分泌期)に維持し、子宮の収縮を抑制することで妊娠を継続させます。また、基礎体温を高温相に保つ作用もあり、妊娠成立の指標となります。
正解の根拠 (Answer Rationale)
正解は
① プロゲステロンです。排卵後の卵胞は黄体に変化し、プロゲステロンを大量に分泌します。このホルモンが子宮内膜を安定化させ、受精卵の着床とその後の妊娠継続を可能にします。妊娠初期(約8-12週まで)は黄体がプロゲステロンを産生し、その後は胎盤がその役割を引き継ぎます。
誤答の分析 (Distractor Analysis)
混同注意! ②番の
オキシトシン (Oxytocin)は分娩時の子宮収縮と乳汁射出反射に関与するホルモンで、妊娠の維持には逆効果です(子宮収縮を促進するため)。
③番の
プロラクチン (Prolactin)は下垂体前葉から分泌され、分娩後の乳汁分泌を促進します。妊娠中はエストロゲンによってその分泌が抑制されています。
④番の
ヒト絨毛性ゴナドトロピン (hCG)は胎盤の絨毛組織(トロフォブラスト)から分泌されるホルモンで、妊娠初期に黄体を刺激してプロゲステロンの分泌を維持する役割がありますが、直接的に妊娠を維持する主体はプロゲステロンです。妊娠検査薬の指標として有名です。
⑤番の
エストロゲン (Estrogen)は主に卵胞期に卵胞から分泌され、子宮内膜の増殖を促します。黄体からも分泌されますが、妊娠維持における中心的な役割はプロゲステロンが担います。
関連概念の整理 (Related Concepts)
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黄体 (Corpus Luteum): 排卵後の卵胞が変化した内分泌器官。プロゲステロンとエストロゲンを分泌。
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胎盤 (Placenta): 妊娠8-12週以降、プロゲステロン産生の主体が黄体から胎盤に移行する(黄体胎盤移行)。
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月経周期: プロゲステロンが低下すると子宮内膜が剥離し月経が発来する。妊娠が成立すると、hCGが黄体を維持しプロゲステロン分泌が継続する。
概念整理: 妊娠維持の鍵は
プロゲステロン。分泌源は妊娠初期が
黄体、中期以降が
胎盤。hCGは黄体を維持する「サポート役」と理解すると覚えやすいです。
一目で比較!:
| ホルモン | 主な分泌源 | 主な作用 |
|---|
| プロゲステロン | 黄体、胎盤 | 子宮内膜維持、妊娠継続、基礎体温上昇 |
| エストロゲン | 卵胞、黄体 | 子宮内膜増殖、女性二次性徴発現 |
| hCG | 胎盤(絨毛組織) | 黄体刺激、妊娠検査薬陽性 |
| オキシトシン | 視床下部(下垂体後葉貯蔵) | 子宮収縮、乳汁射出 |
| プロラクチン | 下垂体前葉 | 乳汁分泌促進 |
看護過程ポイント: 妊娠初期の女性への看護では、
プロゲステロンの作用による症状(つわり、乳房緊満感、便秘、眠気など)をアセスメントし、セルフケアを支援します。また、黄体機能不全による習慣流産のリスクについても知識として持っておく必要があります。
暗記のコツ: 「プロゲステロン = 妊娠をプロテクトする(Protect)ホルモン」と語呂合わせで覚えましょう。黄体から出る「プロ」は、妊娠を「プロモート(促進)」するイメージです。
国試頻出ポイント: 各ホルモンの「分泌源」「作用」「妊娠との関わり」の組み合わせ問題は毎年出題されます。特に、hCG(胎盤由来)とプロゲステロン(黄体由来)の違いを明確に区別できるようにしておきましょう。
出題パターン注意!: 「黄体から分泌されるホルモンはどれか」という直接的な知識問題から、「妊娠初期の流産予防のために補充されるホルモンはどれか」という臨床応用問題に発展します。後者の場合、答えは同じく
プロゲステロン(黄体ホルモン補充療法)です。