核心解説
この問題は、
カルシウム代謝 (Calcium Metabolism) に関わるホルモンの分泌部位と作用を問うています。特に、
甲状腺 (Thyroid Gland) の濾胞傍細胞(C細胞)から分泌されるホルモンに関する正確な知識が求められます。血中カルシウム濃度の調節には、上昇させるホルモンと低下させるホルモンのバランスが重要であり、これを理解することが鍵となります。
正解の根拠 (Answer Rationale)
正解は
⑤. カルシトニン (Calcitonin) です。
最重要! カルシトニンは
甲状腺濾胞傍細胞 (C細胞) から分泌されるホルモンで、主な作用は
骨吸収 (Bone Resorption) の抑制 です。これにより、骨から血液中へのカルシウム放出が抑えられ、
血中カルシウム濃度を低下させる 働きがあります。これは、副甲状腺ホルモン(PTH)の作用とは拮抗的(アンタゴニスト)な関係にあります。
誤答の分析 (Distractor Analysis)
混同注意!
①番の
副甲状腺ホルモン (PTH) は、副甲状腺(上皮小体)から分泌され、骨吸収を促進して血中カルシウム濃度を上昇させるホルモンです。カルシトニンと作用が真逆であるため、最も混同しやすい選択肢です。
②番の
アルドステロン (Aldosterone) は副腎皮質から分泌されるミネラルコルチコイドで、ナトリウムとカリウムのバランスを調節します(血圧調節に重要)。カルシウム代謝には直接関与しません。
③番の
活性型ビタミンD (カルシトリオール) は、主に腎臓で産生され、腸管でのカルシウム吸収を促進し、血中カルシウム濃度を上昇させる作用があります。PTHと協調して働きます。
④番の
成長ホルモン (GH) は下垂体前葉から分泌され、骨や軟骨の成長促進、タンパク質合成促進などに関与しますが、血中カルシウム濃度を直接低下させる主要なホルモンではありません。
関連概念の整理 (Related Concepts)
カルシウム代謝は、
副甲状腺ホルモン (PTH)(血中Ca上昇)、
活性型ビタミンD (カルシトリオール)(血中Ca上昇)、
カルシトニン(血中Ca低下)の3つのホルモンによって精密に調節されています。これらのホルモンの分泌異常は、
高カルシウム血症 (Hypercalcemia) や
低カルシウム血症 (Hypocalcemia) を引き起こし、テタニー(筋肉の痙攣)や不整脈、意識障害など様々な症状を呈します。看護師国家試験では、これらのホルモンの分泌臓器、作用、および関連する病態(副甲状腺機能亢進症/低下症など)がセットで頻出です。
概念整理: カルシトニンは甲状腺C細胞から分泌され、骨吸収抑制により血中Caを低下させる。PTHは副甲状腺から分泌され、骨吸収促進と腎臓でのCa再吸収促進により血中Caを上昇させる。活性型ビタミンDは腸管Ca吸収を促進する。
一目で比較!:
| ホルモン | 分泌臓器 | 血中Caへの作用 | 主な作用機序 |
|---|
| 副甲状腺ホルモン (PTH) | 副甲状腺 | 上昇 | 骨吸収促進 / 腎臓Ca再吸収促進 / ビタミンD活性化 |
| カルシトニン | 甲状腺 (C細胞) | 低下 | 骨吸収抑制 |
| 活性型ビタミンD | 腎臓 (活性化) | 上昇 | 腸管Ca吸収促進 |
看護過程ポイント: アセスメントでは、血清カルシウム値(正常値
8.5-10.2 mg/dL)を確認。高カルシウム血症では筋力低下、便秘、多飲多尿、不整脈に注意。低カルシウム血症ではテタニー(Chvostek徴候、Trousseau徴候)、知覚異常、痙攣発作のリスクを評価する。
暗記のコツ: 「カルシトニン(Calci-tonin)は『カルシウムをトニック(落ち着ける)』→ カルシウムを下げる」と覚えましょう。PTHは「パワフルにカルシウムを上げるホルモン」です。
国試頻出ポイント: ホルモン名と分泌臓器、作用の組み合わせは定番問題。特に「甲状腺C細胞=カルシトニン」「副甲状腺=PTH」はセットで確実に覚えること。また、甲状腺全摘出術後の合併症として、副甲状腺損傷による低カルシウム血症と、その看護観察(テタニーサイン)も頻出です。
出題パターン注意!: 「甲状腺全摘出術後の患者に低カルシウム血症の症状が出現。この症状の原因となるホルモンは?」のように、術後合併症と関連付けた状況設定問題で出題されることがあります。