核心解説
この問題は、
視床下部-下垂体系 (Hypothalamic-Pituitary Axis)におけるホルモン調節機構を問うています。視床下部は上位中枢として、各種ホルモンを分泌し、下垂体前葉からのホルモン分泌を促進(放出ホルモン)または抑制(抑制ホルモン)します。この複雑な調節を正しく理解することが鍵です。
最重要! 正解は
③成長ホルモン放出ホルモン(GHRH) - 成長ホルモン分泌促進 です。
成長ホルモン放出ホルモン (GHRH) は視床下部から分泌され、下垂体前葉に作用して
成長ホルモン (Growth Hormone, GH) の分泌を促進します。これにより、小児期の成長や成人期の代謝調節が行われます。
混同注意! ①甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン(TRH)は、下垂体前葉に作用して甲状腺刺激ホルモン(TSH)分泌を促進するだけでなく、
プロラクチン (Prolactin) の分泌も促進します。抑制はしません。
②ソマトスタチンは、下垂体前葉に作用して成長ホルモン(GH)の分泌を抑制します。促進はしません。成長ホルモン分泌を抑制する役割を担っています。
④コルチコトロピン放出ホルモン(CRH)は、下垂体前葉に作用して副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)の分泌を促進します。バソプレシン(ADH)は下垂体後葉から分泌されます。
⑤ゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)は、下垂体前葉に作用して卵胞刺激ホルモン(FSH)と黄体形成ホルモン(LH)の分泌を促進します。メラニン細胞刺激ホルモン(MSH)の分泌促進は行いません。
概念整理: 視床下部は下垂体前葉に対し、放出ホルモンと抑制ホルモンの2種類のホルモンを分泌して調節します。代表的な放出ホルモンにはGHRH、TRH、CRH、GnRHがあり、代表的な抑制ホルモンにはソマトスタチンとプロラクチン抑制ホルモン(PIF、主にドーパミン)があります。
一目で比較!:
| 視床下部ホルモン | 下垂体前葉への作用 |
| TRH (甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン) | TSH分泌促進、プロラクチン分泌促進 |
| ソマトスタチン | 成長ホルモン分泌抑制 |
| GHRH (成長ホルモン放出ホルモン) | 成長ホルモン分泌促進 |
| CRH (コルチコトロピン放出ホルモン) | ACTH分泌促進 |
| GnRH (ゴナドトロピン放出ホルモン) | FSH・LH分泌促進 |
| PIF (プロラクチン抑制ホルモン、ドーパミン) | プロラクチン分泌抑制 |
看護過程ポイント: 視床下部-下垂体系の異常(腫瘍、炎症、外傷など)が疑われる患者さんでは、
ホルモン分泌パターンの評価が重要です。例えば、成長ホルモン分泌不全では低身長、分泌過剰では末端肥大症の症状をアセスメントします。また、各ホルモンの分泌リズム(例:成長ホルモンは睡眠中に多く分泌)も看護計画に組み込みます。
暗記のコツ: 「放出ホルモンは『促進』、ソマトスタチンとPIFは『抑制』」と覚えましょう。また、TRHは「TSHとプロラクチン」の2つを促進する、GnRHは「FSHとLH」の2つを促進するというペアで覚えると効率的です。「ソマトスタチン(Somatostatin)=ストップ(抑制)」と語呂合わせすると良いでしょう。
国試頻出ポイント: 視床下部-下垂体ホルモンは毎年必出の分野です。特に「放出ホルモン」と「抑制ホルモン」の区別、各ホルモンの標的臓器と作用を正確に問われます。また、各ホルモンのフィードバック機構(負のフィードバック)と組み合わせた問題も頻出です。
出題パターン注意!: 単純な組み合わせ問題(本問)の他に、「クッシング病ではどのホルモンが異常か」「先端巨大症の原因ホルモンはどれか」など、疾患名とホルモン名を結びつける問題や、検査結果(血中ホルモン値)の解釈を問う問題にも発展します。