核心解説
この問題は、ホルモンの化学構造による分類(タンパク質ホルモン、ステロイドホルモン、アミン・アミノ酸誘導体ホルモン)を問う、看護師国家試験でも頻出の基礎知識問題です。ホルモンの種類を構造で分類できることは、
病態生理 の理解や
薬理作用 の学習に直結するため、確実に押さえましょう。
正解の根拠 (Answer Rationale)
最重要! ①番の「インスリン、成長ホルモン、甲状腺刺激ホルモン」は、すべて
アミノ酸から合成されるペプチドまたはタンパク質ホルモンです。
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インスリン (Insulin): 膵臓β細胞で合成されるタンパク質ホルモン。血糖降下作用があります。
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成長ホルモン (Growth Hormone / Somatotropin): 下垂体前葉で合成されるタンパク質ホルモン。骨や軟骨の成長促進、たんぱく質合成促進作用があります。
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甲状腺刺激ホルモン (Thyroid-Stimulating Hormone / TSH): 下垂体前葉で合成される糖タンパク質ホルモン。甲状腺ホルモンの分泌を促進します。
誤答の分析 (Distractor Analysis)
混同注意! ホルモン分類は、特に「副腎皮質ホルモン(ステロイド)」と「副腎髄質ホルモン(カテコールアミン)」を混同しやすいです。それぞれの分類根拠を明確に覚えましょう。
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②番:混同注意! カルシトニン(Calcitonin)はタンパク質ホルモンですが、バソプレシン(抗利尿ホルモン / ADH)もペプチドホルモンです。しかし、プロスタグランジン(Prostaglandin)は
アラキドン酸由来の脂肪酸系生理活性物質であり、タンパク質ホルモンではありません。したがって、誤りの組み合わせです。
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③番:混同注意! アルドステロン(Aldosterone)、コルチゾール(Cortisol)、エストロゲン(Estrogen)は、すべて
コレステロールを原料とするステロイドホルモンです。脂溶性が高く、細胞内受容体に結合して作用します。タンパク質ホルモンとは全く異なります。
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④番:混同注意! テストステロン(Testosterone)とプロゲステロン(Progesterone)は
ステロイドホルモンです。サイロキシン(Thyroxine / T4)は甲状腺から分泌される
アミノ酸(チロシン)誘導体ホルモンです。いずれもタンパク質ホルモンではありません。
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⑤番:混同注意! アドレナリン(Epinephrine)、ノルアドレナリン(Norepinephrine)、ドーパミン(Dopamine)は、いわゆる
カテコールアミン(Catecholamines)と呼ばれるアミノ酸(チロシン)誘導体ホルモンです。交感神経系の神経伝達物質としても働きます。
関連概念の整理 (Related Concepts)
ホルモンの分類を構造別に整理すると、作用機序の理解が格段にしやすくなります。
| 分類 | 特徴 | 主なホルモン例 |
|---|
| タンパク質・ペプチドホルモン | 水溶性が高い。細胞膜上の受容体に結合。作用発現が速い。経口投与不可(消化管で分解) | インスリン、成長ホルモン、TSH、ACTH、オキシトシン、バソプレシン(ADH)、グルカゴン、副甲状腺ホルモン(PTH) |
| ステロイドホルモン | 脂溶性が高い。細胞内受容体に結合。遺伝子発現を介して作用。作用発現に時間がかかる。経口投与可(一部) | コルチゾール、アルドステロン、エストロゲン、プロゲステロン、テストステロン、ビタミンD |
| アミン・アミノ酸誘導体ホルモン | チロシン由来が多い。作用機序は多様(細胞膜受容体と細胞内受容体の両方あり) | アドレナリン、ノルアドレナリン(カテコールアミン)、サイロキシン(T4)、トリヨードサイロニン(T3) |
| 脂肪酸由来ホルモン | アラキドン酸由来。局所ホルモン(パラクライン/オートクライン)として働く | プロスタグランジン(PG)、ロイコトリエン(LT) |
概念整理: ホルモンの分類は、化学構造(タンパク質/ペプチド系、ステロイド系、アミン系)に基づきます。各分類の代表的なホルモン名とその特徴(水溶性/脂溶性、受容体の位置)をセットで覚えることが重要です。
一目で比較!:
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タンパク質ホルモン vs ステロイドホルモン: 最大の違いは水溶性 vs 脂溶性。タンパク質ホルモンは血液中を速やかに運ばれ、細胞膜受容体に結合(速効性)。ステロイドホルモンはキャリアタンパクと結合して運ばれ、細胞内受容体に結合(遅効性・持続性)。
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カテコールアミン vs 甲状腺ホルモン: どちらもチロシン由来だが、カテコールアミンは細胞膜受容体、甲状腺ホルモンは細胞内受容体に結合する点が異なる。
看護過程ポイント:
アセスメント の段階で、ホルモン異常による症状を理解する際に、この分類が役立ちます。例えば、ステロイドホルモンの過剰(クッシング症候群)では満月様顔貌や中心性肥満が見られるのに対し、タンパク質ホルモンである成長ホルモンの過剰(先端巨大症)では手足の末端肥大という異なる症状が現れます。分類を覚えることで、症状と原因ホルモンを関連付けて考えやすくなります。
暗記のコツ: ゴロで覚えましょう!「
タンパク質ホルモンは、水に溶ける(水溶性)から、血液に乗って速やかに運ばれる。だから細胞膜の『門(受容体)』をノックしてすぐに作用するんだ!」というイメージが有効です。一方、ステロイドは「油に溶ける(脂溶性)から、細胞膜をスルリと通過して、核のそばにある受容体にゆっくり結合。遺伝子のスイッチを押して、じっくり作用する。」と対比させると覚えやすいです。
国試頻出ポイント: ホルモンの分類は、それ単体で出題されることもあれば、事例問題の中で「この患者の症状から考えられるホルモン異常はどれか」と問われた時の前提知識として使われます。特に、
視床下部-下垂体-標的器官 の軸(フィードバック機構)と合わせて出題されることが多いため、タンパク質ホルモン(下垂体ホルモンなど)と標的器官で分泌されるステロイドホルモン(副腎皮質ホルモン、性ホルモン)の関係を整理しておきましょう。
出題パターン注意!: 単純な分類問題に加え、近年は「あるホルモンの分泌異常(例:成長ホルモン分泌不全)による症状を選べ」といった応用問題や、薬剤(例:ステロイド薬)の副作用を問う問題でも、この分類知識が必要になります。構造を理解しておくと、未知のホルモン名が出てきても分類を推測できるようになります。