高齢者における感覚器の変化の特徴で正しいのはどれか。2つ選べ。 | MyMerci
一般・状況設定問題
問題

高齢者における感覚器の変化の特徴で正しいのはどれか。2つ選べ。

解説
加齢により感覚器官の機能は全体的に低下します。痛みや熱に対する「痛覚(温痛覚)の感受性が低下」するため火傷等のリスクが高まります。また、明るい所から暗い所へ移動した際の視力回復である「暗順応の機能も低下」します。聴力は高音域から低下し、味覚の閾値は上昇(鈍感になる)します。

詳細解説

核心解説 この問題は、加齢に伴う感覚器の生理的変化に関する基本的な知識を問うています。高齢者の感覚器 (Sensory Organs in the Elderly) の変化を理解することは、安全な看護ケアを提供するための基盤となります。全ての感覚機能が一律に低下するのではなく、それぞれに特徴的な変化パターンがあることを押さえましょう。 正解の根拠 (Answer Rationale) 1. ②番: 痛覚の感受性が低下する。 最重要! 加齢により、痛みや温度(熱さ・冷たさ)を感じる 痛覚 (Pain Sensation)温痛覚 (Thermal Sensation) の感受性は低下します。そのため、高齢者は軽度の熱傷(やけど)や褥瘡(床ずれ)に気づきにくく、重症化しやすいというリスクがあります。看護師は、患者の訴えだけでなく、皮膚の観察を積極的に行う必要があります。 2. ④番: 暗順応が低下する。 加齢により、明るい場所から暗い場所へ移動した時に目が慣れるまでの時間(暗順応 (Dark Adaptation))が遅くなり、その能力も低下します。これは、夜間の転倒リスクを高める要因の一つです。特に、夜間のトイレ歩行時などに注意が必要です。 誤答の分析 (Distractor Analysis) - ①番: 高音域の聴力が保持される。 混同注意! 加齢性難聴(Presbycusis)では、高音域 (High-frequency Sounds) から聴力が低下します。これは、内耳の蝸牛(かぎゅう)にある有毛細胞が高音域を感知する部分から障害されるためです。低音域は比較的保持されやすいです。 - ③番: 味覚の閾値が低下する。 加齢により味覚の閾値は上昇します。つまり、同じ味を感じるためにはより強い刺激が必要となり、味覚は鈍くなります。特に塩味(Salty)と苦味(Bitter)の閾値上昇が顕著で、これが高齢者の味付けが濃くなる傾向の一因です。 - ⑤番: 嗅覚は保持される。 加齢により嗅覚(Olfaction)も低下します。これは、嗅神経細胞の減少や嗅粘膜の萎縮によるものです。嗅覚の低下は、ガス漏れや食べ物の腐敗に気づきにくくなるという安全上のリスクに直結します。
概念整理: 加齢による感覚機能低下は、高齢者の安全とQOL(生活の質)に大きく影響します。主な変化は以下の通りです。
感覚器主な加齢変化看護上の注意点
聴覚 (Auditory)高音域から聴力低下 (加齢性難聴)低い声でゆっくり話す。補聴器の確認。
痛覚・温痛覚感受性低下 (鈍麻)熱傷、褥瘡予防のための定期的な皮膚観察。
味覚 (Gustatory)閾値上昇 (特に塩味、苦味)栄養状態のアセスメント。味付けの好みの確認。
視覚 (Visual)暗順応低下、白内障、老視夜間照明、転倒予防、白内障術後のケア。
嗅覚 (Olfactory)感受性低下ガス漏れ、火災への注意喚起。食事の魅力低下。

一目で比較!: 「閾値の上昇」vs「閾値の低下」 - 閾値が上昇:感覚が鈍くなる(味覚、嗅覚) → より強い刺激が必要 - 閾値が低下:感覚が鋭くなる(病的な状態) → 弱い刺激でも感じる
看護過程ポイント: アセスメントでは、患者の主観的訴え(「味がしない」「聞こえにくい」)だけでなく、客観的な観察(「皮膚に傷があるのに痛がらない」「呼びかけに対する反応」)を組み合わせることが重要です。看護診断としては「転倒リスク状態」「皮膚統合性の障害リスク状態」などが挙げられます。
暗記のコツ: 感覚器の変化は「低下するもの」と「上昇するもの」に分けて覚えましょう。「視力・聴力・嗅覚・痛覚」は低下、「眼圧」や「白内障の水晶体の混濁」は上昇・進行すると覚えると整理しやすいです。
国試頻出ポイント: 高齢者のアセスメント問題では、このような生理的変化をベースにした「異常の早期発見」や「安全なケアの提供」が問われます。特に「痛覚の低下による熱傷リスク」と「暗順応低下による夜間転倒リスク」は頻出事項です。

臨床シナリオ

臨床実践ガイド 臨床シナリオ (Clinical Scenario): 80代女性、大腿骨頸部骨折で手術後、回復期病棟でリハビリ中。夜間に「トイレに行きたい」とナースコールがあり、付き添って歩行しました。帰室後、足浴を実施し「熱くないですか?」と確認したところ「大丈夫です」と答えましたが、翌日の観察で足背部に水疱を伴う熱傷(II度熱傷)を認めました。 看護介入と判断戦略 (Nursing Intervention & Clinical Judgment): 1. 観察・アセスメント: 本例では、高齢女性で痛覚が低下している可能性が高いとアセスメントすべきでした。足浴の際、手で湯温を確認するだけでなく、肘内側など自分自身の皮膚で温度を確認する(二重確認)ことが重要です。 2. 介入: 足浴時の湯温は、40~41℃を目安に、体温計で測定してから使用します。患者に「熱い」と言われなくても、皮膚が赤くなっていないか必ず観察します。 3. 患者安全・注意事項: 高齢者の熱傷予防は、看護師の責任です。温熱療法(湯たんぽ、電気毛布など)を使用する際は、低温熱傷に特に注意が必要です。また、夜間のトイレ歩行時は、足元の照明を十分に確保し、暗順応低下による転倒を予防します。
看護プロトコル: - 観察項目: 皮膚の色調、腫脹、水疱の有無、疼痛の訴えの有無。 - 報告基準(SBAR): - S (状況): 「昨夜足浴後、今朝の観察で足背部に水疱を認めました。」 - B (背景): 「患者様は80代女性で、痛覚の感受性が低下している可能性があります。」 - A (アセスメント): 「低温熱傷の可能性が高いと考えます。」 - R (提案): 「医師の診察と処置をお願いします。」
先輩看護師の一言: 「国試では『感覚器の変化』を知識として覚えるだけですが、現場ではそれが『患者さんの命や安全に直結する』ことを忘れないでください。『痛い』と言わないから大丈夫、ではなく、『痛みを感じにくいからこそ、私たちが気をつけて観察する』という意識が、プロの看護師には必要です!」

重要概念

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