核心解説
この問題は、
抗精神病薬 (Antipsychotics) の副作用である
ドパミン受容体遮断 (Dopamine Receptor Blockade) によって生じる症状を問うています。特に、
錐体外路症状 (Extrapyramidal Symptoms, EPS) のうち、パーキンソニズムとアカシジアを正しく理解しているかがポイントです。
正解の根拠 (Answer Rationale): 抗精神病薬は脳内のドパミンD2受容体を遮断します。この遮断が大脳基底核(黒質線条体)に及ぶと、錐体外路症状が出現します。
最重要! 選択肢4の「筋強剛 (Rigidity)」は
パーキンソニズム (Parkinsonism) の一症状であり、選択肢5の「アカシジア (Akathisia)」は
静坐不能 (Inability to sit still) とも呼ばれ、どちらも代表的な錐体外路症状です。
誤答の分析 (Distractor Analysis):
混同注意! ①幻聴 (Auditory Hallucination) と③妄想 (Delusion) は、統合失調症 (Schizophrenia) の陽性症状であり、ドパミン遮断により改善される症状です。逆に、ドパミン遮断によって出現するのは陰性症状や錐体外路症状です。②口渇 (Dry mouth) は、抗コリン作用による副作用であり、ドパミン遮断とは関連が薄いです。
関連概念の整理 (Related Concepts): 錐体外路症状には、パーキンソニズム(筋強剛、振戦、寡動、仮面様顔貌)、アカシジア、急性ジストニア(眼球上転発作、斜頸、開口障害など)、遅発性ジスキネジア(口舌部の不随意運動)があります。特に、遅発性ジスキネジアは長期投与後に出現し、治療抵抗性である点が重要です。
概念整理: 抗精神病薬(定型)の主な副作用は、①
錐体外路症状 (EPS)(ドパミン遮断)、②
抗コリン作用(口渇、便秘、排尿困難)、③
抗ヒスタミン作用(眠気、体重増加)、④
α1遮断作用(起立性低血圧、めまい)です。本問は、①の「ドパミン遮断」による症状を直接問うています。
一目で比較!: ドパミン遮断によって現れる症状(陰性症状+錐体外路症状)と改善する症状(陽性症状)を区別しましょう。
| 分類 | 症状 | ドパミン遮断との関係 |
|---|
| 陽性症状 | 幻聴、妄想、思考障害 | 改善される(遮断により) |
| 陰性症状 | 感情平板化、意欲低下、社会性低下 | 悪化する可能性がある |
| 錐体外路症状 | 筋強剛、アカシジア、ジストニア | 副作用として出現する |
看護過程ポイント:
アセスメント:抗精神病薬投与開始後、特に初期(数日~数週間)は錐体外路症状の出現に注意。患者の表情、歩行、姿勢、落ち着きのなさを観察。
看護診断:
転倒リスク状態 (Risk for Falls)(筋強剛やアカシジアによる)、
計画・実施:症状出現時は医師へ報告し、抗コリン薬(トリヘキシフェニジルなど)の投与や、非定型抗精神病薬への変更を検討。アカシジアにはベンゾジアゼピン系薬剤が有効な場合もある。
暗記のコツ: 「ドパミン遮断 = EPS(エキストラパラミダル・シンドローム)」と覚えましょう。「EPS」の代表的な3つ、「P(パーキンソニズム)」「A(アカシジア)」「D(ジストニア)」と頭文字を取って「PAD」と暗記すると便利です。
国試頻出ポイント: 「抗精神病薬の副作用」は毎年必出のテーマです。特に、定型抗精神病薬と非定型抗精神病薬の副作用プロファイルの違い(定型はEPSが多い、非定型は体重増加・糖代謝異常が多い)や、錐体外路症状の具体的な症状名(筋強剛、アカシジア、ジストニア)を問う問題が頻出です。
出題パターン注意!: 単純な「副作用名を選べ」という問題から、事例問題に発展します。例えば「統合失調症で治療中の患者が、薬を内服後、首が後ろに反り返り、眼球が上転した」という状況から、急性ジストニアを疑い、医師へ報告するという流れを問う問題も出題されています。