核心解説
この問題は、
骨格筋 (Skeletal Muscle)の構造的分類、特に「筋腹 (Muscle Belly)」と「腱 (Tendon)」の結合様式を問うています。筋はその形態から、単一の筋腹を持つ単腹筋と、複数の筋腹が腱で直列または並列に結合する多腹筋に分類されます。本問の核心は「
腱画 (Tendinous Intersection)」と呼ばれる腱で筋腹が直列に連結される代表筋を理解することです。
正解の根拠 (Answer Rationale)
最重要! 腹直筋 (Rectus Abdominis)は、複数の筋腹が腱画で直列に連結された多腹筋の代表例です。この構造により、腹直筋は体幹の屈曲を強力に行うとともに、腹圧を高めて内臓の支持や排便・分娩を補助します。腱画は筋腹を分節化し、筋全体の収縮力を各分節で独立して制御できる特徴があります。
誤答の分析 (Distractor Analysis)
混同注意! 各選択肢は、筋の構造的・機能的特徴の理解を試しています。
①
咬筋 (Masseter)は、単一の筋腹を持つ短い筋で、下顎を挙上する咀嚼筋の一つです。複数の筋腹はありません。
②
上腕二頭筋 (Biceps Brachii)は、2つの起始(長頭と短頭)を持つ二頭筋ですが、筋腹は1つで、腱で直列に連結されているわけではありません。近位端で2つの腱に分かれるが、筋腹は単一です。
④
大腿四頭筋 (Quadriceps Femoris)は、4つの起始(大腿直筋、内側広筋、外側広筋、中間広筋)が合流し、共通の腱(膝蓋腱)で停止する羽状筋の一種です。筋腹は並列に配置され、直列ではありません。
関連概念の整理 (Related Concepts)
多腹筋は、筋腹の配置により「直列多腹筋」と「並列多腹筋」に分けられます。直列多腹筋の代表が腹直筋であり、並列多腹筋の例として
前腕屈筋群 (Flexor Muscles of Forearm)や
下腿三頭筋 (Triceps Surae)が挙げられます。筋の形態と機能の関連を押さえ、腱画の存在が腹直筋の分節的な収縮と腹圧調節にどう寄与するかを理解しましょう。
概念整理
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単腹筋 (Unipennate/Fusiform Muscle): 1つの筋腹(例:上腕二頭筋、咬筋、大腿四頭筋)
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多腹筋 (Multipennate Muscle): 複数の筋腹が腱で結合
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直列多腹筋 (In-series Multipennate): 筋腹が腱で直線状に連結(例:
腹直筋)
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並列多腹筋 (In-parallel Multipennate): 筋腹が横に並んで結合(例:前腕屈筋群)
一目で比較!
| 筋名 | 筋腹数 | 腱の結合様式 | 機能 |
|---|
| 腹直筋 | 複数 (腱画で分節) | 直列 | 体幹屈曲、腹圧調整 |
| 上腕二頭筋 | 1つ | 単一 (近位で2腱) | 肘関節屈曲、前腕回外 |
| 大腿四頭筋 | 4つ (並列) | 並列 (共通腱) | 膝関節伸展 |
| 咬筋 | 1つ | 単一 | 下顎挙上 (咀嚼) |
看護過程ポイント
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アセスメント: 腹直筋の腱画は腹部の表面解剖で「腹筋の割れ目」として触知可能。術後患者の腹筋の緊張評価や、腹式呼吸の指導時に筋の分節的収縮を観察する。
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看護介入: 腹直筋の収縮を促す腹圧訓練(例:排便補助、咳嗽時サポート)では、腱画を意識した等尺性収縮を指導する。
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評価: 腹直筋の筋力低下は、咳嗽困難や起立性低血圧に影響するため、術後患者の離床評価の指標となる。
暗記のコツ
「腹直筋は、腹筋が縦に連なった『しゃもじ型』をイメージ!腱画は横ジワ(分節)で、収縮すると『腹筋の割れ目(シックスパック)』が現れる。」直列多腹筋は、
「腱でつながった筋腹の連鎖」と覚えましょう。
国試頻出ポイント
解剖学の基本問題として、多腹筋の代表例(腹直筋)は頻出です。また、筋の構造分類(単腹筋/多腹筋、羽状筋/平行筋)と機能(筋力/可動域)の関係も合わせて問われるため、「腹直筋=直列多腹筋=筋力が強く、微細調整に優れる」と押さえましょう。
出題パターン注意!
単純知識問題(「多腹筋はどれか」)から、応用問題(「術後腹圧低下の原因となる筋はどれか」「咳嗽を補助する筋群の構造的特徴を問う問題」)へ発展します。腱画の存在理由を機能と結びつけて理解することが、高得点への鍵です。