核心解説
この問題は、
敗血症 (Sepsis) の病態生理を正しく理解しているかを問うています。
最重要! 敗血症とは、感染症に対する生体の反応が調節不全となり、生命を脅かす臓器障害を引き起こす状態です。その本質は、感染によって引き起こされる
全身性炎症反応症候群 (SIRS) であり、これにより様々な循環動態の変化が生じます。
正解の根拠 (Answer Rationale):
選択肢④「全身炎症性反応を認める」が正解です。敗血症の定義そのものであり、
体温異常(発熱または低体温)、頻脈、頻呼吸、白血球数の異常などがみられます。この全身性の炎症反応が、血管内皮障害や凝固系の活性化などを介して、最終的に
多臓器不全 (Multiple Organ Dysfunction Syndrome, MODS) へと進行する可能性があります。
誤答の分析 (Distractor Analysis):
混同注意!①番「徐脈となる」: 敗血症では、代償機構として交感神経系が亢進し、
頻脈 (Tachycardia) が生じます。徐脈は敗血症性ショックの末期や、他の病態(例えば、完全房室ブロックなど)を示唆します。
②番「高血圧となる」: 敗血症の初期には、心拍出量が維持されていても、末梢血管抵抗が低下するため、
低血圧 (Hypotension) がみられることが多いです。敗血症性ショックでは、輸液療法 (Fluid Therapy) に反応しない低血圧が持続します。
③番「血管透過性が低下する」: 炎症性サイトカインの作用により、血管内皮細胞の機能が障害され、
血管透過性が亢進 (Increased Vascular Permeability) します。これにより、血管内から間質へ水分やタンパク質が漏出し、組織浮腫と循環血液量の減少を引き起こします。
関連概念の整理 (Related Concepts):
敗血症と
敗血症性ショック (Septic Shock) の違いを明確にしておきましょう。敗血症性ショックは、敗血症の中でも特に循環障害と細胞代謝異常が顕著で、適切な輸液療法を行っても持続する低血圧と血清乳酸値の上昇(>2 mmol/L)を認める状態です。
概念整理:
敗血症 (Sepsis) = 感染 +
全身性炎症反応症候群 (SIRS) + 臓器障害。
全身の血管拡張と血管透過性亢進により、相対的・絶対的循環血液量減少が生じ、組織への酸素供給が低下します。
一目で比較!:
| 項目 | 敗血症 | 敗血症性ショック |
|---|
| 血圧 | 低下傾向 | 持続的低血圧(輸液不応) |
| 乳酸値 | 上昇傾向 | > 2 mmol/L |
| 臓器障害 | あり | より顕著 |
| 血管作動薬 | 必要に応じて | 昇圧薬投与が必要 |
看護過程ポイント:
アセスメント:
バイタルサイン (Vital Signs) の頻回測定(特に血圧、心拍数、呼吸数、体温)、SpO2、尿量、意識レベルの観察が重要です。感染源の特定(創部、カテーテル挿入部、呼吸器症状など)も必須です。
看護診断 (Nursing Diagnosis): 「感染リスク状態」「組織灌流不全(脳、腎、末梢)」「体液量不足リスク状態」などが挙げられます。
介入: 医師の指示による早期の抗菌薬投与 (Antibiotic Administration)、輸液療法、昇圧薬投与の準備・実施。発熱時のクーリング (Cooling)、全身状態のモニタリング。
暗記のコツ: 「敗血症は、感染が全身の大暴れ(SIRS)を引き起こしている状態」とイメージしましょう。血管が広がって(低血圧)、もれて(血管透過性亢進)、心臓はバクバク(頻脈)。この3点セットで覚えましょう。
国試頻出ポイント: 「敗血症の診断基準(qSOFAなど)」「敗血症性ショックにおける初期輸液量(30mL/kgの晶質液)」「昇圧薬の第一選択薬(ノルアドレナリン)」の知識が、状況設定問題(事例問題)として頻出します。全身状態の悪化を早期に察知する観察力が問われます。
出題パターン注意!: 単純な知識問題だけでなく、「術後患者のバイタルサインが…」といった事例で、敗血症の早期発見と対応を問う問題が非常に多く出題されています。SIRSの4つの基準(体温・心拍数・呼吸数・白血球数)は必ず暗記しておきましょう。