Aさん(42歳、男性)は、同僚との飲酒中に上腹部から背部の激しい痛みと嘔吐があり、救急搬送された。搬送時の心電図には異常… | MyMerci
一般・状況設定問題
問題

Aさん(42歳、男性)は、同僚との飲酒中に上腹部から背部の激しい痛みと嘔吐があり、救急搬送された。搬送時の心電図には異常を認めない。Aさんの状態をアセスメントするための血液検査項目で優先度が高いのはどれか。

解説
飲酒歴、上腹部から背部にかけての激痛、嘔吐という症状から「急性膵炎」が強く疑われます。急性膵炎の診断において優先度が高い血液検査項目は、膵酵素である「リパーゼ」やアミラーゼの上昇を確認することです。

詳細解説

核心解説 この問題は、急性腹痛患者のアセスメントにおいて、病歴と症状から疑われる疾患を絞り込み、優先度の高い検査項目を選択する能力を問うています。 Aさんの症状は、飲酒という誘因があり、上腹部から背部への放散痛嘔吐を伴う激しい腹痛です。心電図に異常がないことから、急性心筋梗塞 (Acute Myocardial Infarction) の可能性は低く、混同注意! 消化器疾患、特に 急性膵炎 (Acute Pancreatitis) が最も強く疑われます。 正解の根拠 (Answer Rationale) 急性膵炎の診断において、血液検査で最も優先されるのは膵酵素の測定です。中でも リパーゼ (Lipase) は、膵臓に特異性が高く、アミラーゼ (Amylase) よりも感度・特異度に優れ、上昇期間も長いため、現在では急性膵炎診断のゴールドスタンダードとされています。Aさんの病歴と症状から、急性膵炎を第一に疑い、リパーゼ値を確認することが優先されます。 誤答の分析 (Distractor Analysis) - 混同注意! ①アルブミン (Albumin): これは 栄養状態や肝合成能を評価する指標であり、急性腹痛の初期診断において優先度は低いです。 - 混同注意! ②トロポニン (Troponin): これは 心筋傷害 (Myocardial Injury) の特異的なマーカーです。心電図に異常がないことから、急性心筋梗塞の可能性は低く、優先度は下がります。 - ③中性脂肪 (Triglyceride): 高値は急性膵炎の原因の一つ(脂質異常症)にはなりますが、急性膵炎の診断や活動性の評価には直接用いられず、リパーゼより優先度は低いです。 関連概念の整理 (Related Concepts) 急性膵炎の診断基準は、上記の腹痛症状、血清膵酵素(リパーゼまたはアミラーゼ)の基準値以上の上昇、および画像所見(CTなど)の3項目のうち2つを満たすことです。アミラーゼは唾液腺由来の上昇もあり得るため、リパーゼの方が特異的です。 概念整理 急性膵炎の診断には、膵酵素(リパーゼ優先)の測定が必須です。症状(飲酒歴+上腹部から背部の激痛+嘔吐)から疑う力を養いましょう。 一目で比較!
検査項目主な目的この症例での優先度
リパーゼ膵炎の診断 (高感度・高特異度)最重要! 最優先
トロポニン心筋梗塞の診断低い (心電図正常のため)
アルブミン栄養状態の評価低い (急性期診断には不要)
中性脂肪脂質代謝の評価 (原因検索)中程度 (診断後、原因検索で考慮)
看護過程ポイント - アセスメント: 患者の訴え(痛みの部位・性質・放散、嘔吐の有無)、誘因(飲酒、胆石歴など)、バイタルサイン(ショックの有無)を迅速に評価する。 - 看護介入: 診断確定前は、絶飲食 (NPO) とし、経静脈的輸液による脱水補正と疼痛管理(医療者の指示に基づく)を優先する。 暗記のコツ背中まで痛い膵炎、診断はリパーゼ!」と覚えましょう。飲酒後の激しい上腹部痛が背部に放散するのが特徴的です。心筋梗塞は胸痛が主で、心電図異常で鑑別します。 国試頻出ポイント 急性膵炎は頻出疾患です。原因(アルコール、胆石、高脂血症など)、症状、診断検査(リパーゼ、アミラーゼ、CRP、CT)、治療(絶飲食、輸液、蛋白分解酵素阻害薬)、合併症(膵壊死、仮性膵囊胞、多臓器不全)と一連の流れで出題されます。

臨床シナリオ

臨床実践ガイド 臨床シナリオ (Clinical Scenario) 夜間救急外来に、40代男性が「さっきまで酒を飲んでいて、突然みぞおちから背中にかけてズキズキと激痛が走り、吐いた」と車いすで搬入されてきました。顔色は不良で冷汗も認めます。 最重要! 看護師はまず バイタルサイン (Vital Signs) を測定し、ショックの有無を評価します。同時に、問診で「いつから痛いか」「痛みの強さ(Numerical Rating Scale: NRS)」「飲酒量」「既往歴(胆石、膵炎、高脂血症)」を確認します。心電図が正常であることを確認した上で、医師に「急性膵炎の可能性が高い」と報告し、リパーゼ・アミラーゼを含む緊急血液検査のオーダーを提案します。 看護介入と判断戦略 (Nursing Intervention & Clinical Judgment) 1. 観察: 血圧低下、頻脈、発熱、腹部の膨満や筋性防御の有無 を観察。 2. アセスメント: 急性膵炎によるショックや重症度(Ranson基準、CT gradeなど)を評価。 3. 報告 (SBAR): 「S(状況): 40代男性、飲酒後の急性腹痛患者です。A(背景): 心電図は正常。B(評価): 背部放散痛と嘔吐があり、急性膵炎を疑います。R(提案): リパーゼ・アミラーゼの緊急採血と絶飲食の指示をお願いします。」 4. 介入: 絶飲食を徹底し、静脈路を確保し、医師の指示に基づき 輸液療法 (Fluid Therapy) を開始。疼痛が強い場合は、鎮痛薬(ペンタゾシンなど、呼吸抑制の少ないもの)の準備をする。 看護プロトコル - 観察項目: バイタルサイン(4時間ごと)、腹部所見(圧痛、膨満、腸蠕動音)、疼痛スケール、尿量、SpO2。 - 報告基準 (SBAR): バイタルサインの変動(特にショックバイタル)、疼痛の増強、発熱の出現。 - 記録のポイント: 痛みの部位・性質・強度、嘔吐の回数と性状、絶飲食の開始時間と指示内容、輸液量と尿量。 先輩看護師の一言 「急性膵炎は、一見すると胃痛と間違えられやすいですが、『背部への放散痛』がキーワードです!『ただの飲み過ぎかな?』と軽く見ずに、ショックや重症化を見逃さないことが大切。何より、絶飲食の指示をしっかり守らせることが治療の第一歩です。国試でも、症状から疾患を推測し、適切な検査と看護を選べるようにしておきましょう!」

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