半座位で頸静脈怒張がみられるのはどれか。 | MyMerci
一般・状況設定問題
問題

半座位で頸静脈怒張がみられるのはどれか。

解説
「右心不全」により右心室から肺への血液の送り出しが低下すると、右心房の手前である大静脈(中心静脈系)に血液がうっ滞し、中心静脈圧が上昇するため、半座位(45度など)でも頸部の静脈が膨れて見える「頸静脈怒張」が認められます。

詳細解説

核心解説 この問題は、頸静脈怒張 (Jugular Vein Distention, JVD) の原因と病態生理を正しく理解しているかを問うています。頸静脈怒張は、右心系への血液還流が滞り、中心静脈圧 (Central Venous Pressure, CVP) が上昇していることを示す重要な身体所見です。半座位(45度)で頸静脈が鎖骨上縁より上で確認できる場合を異常と判断します。

正解の根拠 (Answer Rationale)
最重要! 正解は①番の右心不全 (Right-sided Heart Failure)です。右心不全では、右心室の収縮力低下により、全身から戻ってくる静脈血を肺動脈へ効率的に拍出できなくなります。その結果、上大静脈 (Superior Vena Cava) や下大静脈 (Inferior Vena Cava) 系に血液がうっ滞し、内頸静脈 (Internal Jugular Vein) にまで圧が伝わって怒張として観察されます。これは右心不全の古典的かつ重要な兆候であり、重症度評価にも用いられます。

誤答の分析 (Distractor Analysis)
混同注意! ②番の広範囲熱傷 (Extensive Burns)では、循環血液量減少性ショック (Hypovolemic Shock) により静脈虚脱が生じ、むしろ頸静脈は平坦になります(ペチャンコ)。
③番の大動脈瘤破裂 (Ruptured Aortic Aneurysm)も同様に、大量出血による循環血液量減少でCVPは低下し、頸静脈怒張はみられません。
④番のアナフィラキシーショック (Anaphylactic Shock)は、血管拡張と血管透過性亢進による相対的循環血液量減少をきたすため、CVPは低下し頸静脈は平坦になります。
以上より、頸静脈怒張をきたすのはCVP上昇を伴う病態、すなわち右心不全のみです。

関連概念の整理 (Related Concepts)
頸静脈怒張は、以下の病態でも認められます。右心不全以外も併せて覚えましょう。
- 心タンポナーデ (Cardiac Tamponade): 心膜腔への血液や貯留液により心臓が圧迫され、右房への血液流入が阻害されCVP上昇。
- 緊張性気胸 (Tension Pneumothorax): 胸腔内圧が著しく上昇し、大静脈が圧排されてCVP上昇。
- 肺塞栓症 (Pulmonary Embolism): 広範囲な肺塞栓により右室後負荷が急増し、急性右心不全を来たしてCVP上昇。

概念整理: 頸静脈怒張 (JVD)中心静脈圧 (CVP) 上昇の徴候であり、右心不全・心タンポナーデ・緊張性気胸など「心臓への血液流入障害 or 右心拍出障害」を示す。一方、出血性ショックやアナフィラキシーなど「循環血液量減少」ではCVP低下→頸静脈は平坦となる。

一目で比較!:
病態CVP頸静脈怒張
右心不全上昇あり
出血性ショック低下なし(平坦)
心タンポナーデ上昇あり
アナフィラキシー低下なし(平坦)

看護過程ポイント:
- アセスメント: バイタルサイン (Vital Signs) のうち、特に血圧低下・頻脈・呼吸数増加と併せて頸静脈を観察。頸静脈怒張があれば、右心負荷やCVP上昇を疑う。
- 看護診断: 「心拍出量減少 (Decreased Cardiac Output)」や「体液過剰 (Excess Fluid Volume)」が関連する。
- 介入: 医師へ速やかに報告。心エコーやCVP測定の準備、フロセミドなどの利尿薬投与の準備、安静保持と座位(ファウラー位)による呼吸補助。
- 評価: 頸静脈怒張の改善度、CVP値の低下、呼吸困難感の軽減、尿量の増加。

暗記のコツ: 「右心不全=静脈がパンパン!→頸静脈もパンパン!」とイメージする。逆に「ショック=血が足りない!→静脈もペチャンコ!」と対比で覚えると良い。

国試頻出ポイント: 頸静脈怒張の有無は、循環血液量減少と心臓由来の循環不全(特に右心不全)を鑑別する超重要サイン。ショックの分類(低血圧性 vs 心原性)や心不全の左右の違いを問う問題で頻出。

出題パターン注意!: 「右心不全の患者でみられる身体所見はどれか」→頸静脈怒張・下腿浮腫・肝腫大など。「ショック患者で頸静脈が怒張している場合、考えられるショックの種類は?」→心タンポナーデや緊張性気胸による閉塞性ショック (Obstructive Shock)。単純暗記だけでなく、病態と身体所見を結びつけて考える必要がある。

臨床シナリオ

臨床実践ガイド
臨床シナリオ (Clinical Scenario)
夜勤帯、慢性心不全の増悪で入院中の80代女性が「息が苦しい」と訴えています。ベッドをギャッジアップして半座位にしたところ、患者さんの頸部の血管が目立って浮き出ていることに気づきました。バイタルサインはBP 88/52 mmHg、HR 110 bpm、RR 28回/分、SpO2 90%(室内気)。
看護介入と判断戦略 (Nursing Intervention & Clinical Judgment)
1. 観察: 頸静脈怒張の程度(角度と高さ)、バイタルサイン、心音(S3ギャロップの有無)、呼吸音(湿性ラ音の有無)、下腿浮腫の有無、尿量。
2. アセスメント: 最重要! 頸静脈怒張+低血圧+頻脈+呼吸困難は急性心不全(特に右心不全要素を含む)の増悪を示唆。心拍出量低下と肺うっ血の併発が疑われる。
3. 報告(SBAR): 「S: 80代女性、呼吸困難と頸静脈怒張あり。B: BP 88/52、HR 110、SpO2 90%。A: 急性心不全増悪の可能性、CVP上昇と低心拍出量状態。R: 酸素投与とフロセミドの指示確認、心エコーや胸部X-pのオーダー依頼。」
4. 介入: 医師の指示に基づき、酸素投与(マスク5L/min)、フロセミド静注、安静保持(ファウラー位)、心電図モニタリング継続。
5. 評価: 呼吸困難の軽減、SpO2の改善、頸静脈怒張の減退、尿量の増加を確認。
患者安全・注意事項 (Patient Safety & Precautions)
- 急変リスク: 頸静脈怒張+低血圧は心原性ショック (Cardiogenic Shock) への移行を示唆するため、頻回なバイタルサイン観察と医師への迅速報告が必須。
- 転倒転落予防: 安静が必要だが、トイレに行きたいという希望があれば、ポータブルトイレの使用やベッド上排泄を検討。急な体位変換で血圧低下を招く可能性あり。
- 感染対策: 中心静脈カテーテル挿入中の場合は、挿入部の感染兆候(発赤・腫脹・排膿)にも注意。

看護プロトコル: 観察項目は①頸静脈怒張の程度(患者の角度を45度に設定)、②バイタルサイン(血圧・脈拍・呼吸数・SpO2)、③尿量(1時間ごと)、④呼吸音・心音の聴診、⑤下腿・仙骨部浮腫の程度。報告基準はSBARを用い、特にバイタルサインの変動と頸静脈怒張の増悪を伝える。

先輩看護師の一言: 「頸静脈は患者さんの『心臓の悲鳴』を見せてくれる場所です!半座位で浮き出ていたら、右心系に血液が溜まっているサイン。ただちに心不全の悪化を疑って、アセスメントと報告を怠らないでくださいね。『いつもと違う』をキャッチできるかが、患者さんの命を守る鍵です!」

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