核心解説
この問題は、
改訂水飲みテスト (Modified Water Swallowing Test / MWST) の評価方法と目的を問うものです。MWSTは、ベッドサイドで簡便に行える
嚥下機能スクリーニング検査であり、特に
最重要! 不顕性誤嚥 (Silent Aspiration)の兆候を見逃さないことが最大のポイントです。単に「むせ(咳嗽反射)」がないから安全と判断するのではなく、嚥下後の声の状態(湿性嗄声の有無)や呼吸状態の変化を観察することで、気づかれにくい誤嚥を評価します。
1. **
核心概念の分析 (Key Concept)**: MWSTの目的は、
嚥下反射 (Swallowing Reflex)の惹起性と
気道防御機構(咳嗽反射、喉頭挙上)の総合的な評価です。特に「呼吸状態の変化」を評価する点が、他の嚥下スクリーニング(反復唾液嚥下テスト:RSST)との大きな違いです。
2. **
正解の根拠 (Answer Rationale)**:
正解は②番です。 MWSTでは、嚥下後に「えー」と発声させ、その声が
湿性嗄声(ゴロゴロとした濁った声)かどうかを確認します。これは、咽頭に残留した水分や、わずかに気道に流入した水分が声帯に付着しているサインであり、
不顕性誤嚥 (Silent Aspiration)を検出するための重要な評価項目です。
3. **
誤答の分析 (Distractor Analysis)**:
- ①番(嚥下後10秒間で評価する):
混同注意! MWSTの評価時間は嚥下後30秒間の呼吸状態と咳嗽の観察が基本です。「10秒」は
反復唾液嚥下テスト (Repetitive Saliva Swallowing Test / RSST)で、30秒間に何回唾液を飲み込めるかを測定する基準です。時間と評価項目を混同しないようにしましょう。
- ③番(嚥下動作の準備期を評価する):MWSTは
口腔準備期 (Oral Preparatory Phase)の評価は主目的ではありません。準備期の評価は、食物の口腔内保持や咀嚼、送り込みの観察が必要です。MWSTは主に
咽頭期 (Pharyngeal Phase)の反射惹起性を評価します。
- ④番(80mLの水で嚥下状態を評価する):
誤り! MWSTで使用する水量は
3mL(冷水)です。「80mL」は
水飲みテスト (Water Swallowing Test / WST)の量であり、30~90mL程度の水を一気に飲ませる検査です。誤嚥リスクが高い患者に80mLもの水を使用すると、大量誤嚥を引き起こす危険性があるため、MWSTでは少量(3mL)から開始します。
4. **
関連概念の整理 (Related Concepts)**: MWSTとRSST(反復唾液嚥下テスト)は、どちらもスクリーニング検査ですが、評価の視点が異なります。RSSTは「喉頭挙上の回数(運動機能)」を、MWSTは「嚥下反射の惹起性と気道防御(反射・感覚機能)」を評価します。両者を組み合わせることで、より正確な嚥下機能のアセスメントが可能です。
概念整理:
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改訂水飲みテスト (MWST): 3mL冷水を使用。嚥下の有無、むせ(咳嗽)の有無、
最重要! 嚥下後の呼吸状態・声の変化(湿性嗄声)を30秒間観察。
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反復唾液嚥下テスト (RSST): 唾液のみ。30秒間に何回喉頭が挙上するかを評価。運動機能(特に高齢者の喉頭挙上)の評価。
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水飲みテスト (WST): 30~90mLの水。一気飲み後の咳嗽や声の変化を評価。大量誤嚥リスクがあるため、スクリーニングの初期段階では使用を避ける。
一目で比較!:
| 項目 | MWST (改訂水飲みテスト) | RSST (反復唾液嚥下テスト) |
| 使用するもの | 冷水 3mL | 唾液 (自身の) |
| 評価時間 | 嚥下後 30秒 | 30秒間 |
| 評価項目 | 嚥下反射の有無、咳嗽反射、呼吸状態・声質 | 喉頭挙上の回数 (空嚥下の回数) |
| 主な評価対象 | 咽頭期の反射惹起性・気道防御 | 嚥下関連筋の運動機能 |
| 不顕性誤嚥の検出 | 得意 (呼吸変化を見る) | 苦手 |
看護過程ポイント:
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アセスメント: MWSTを実施する前に、まず
意識レベル (Level of Consciousness / LOC)と
座位保持能力 (Sitting Balance)を確認します。意識が清明でなく、座位が保てない患者には実施禁忌です。
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看護診断: 「嚥下障害 (Impaired Swallowing)」「誤嚥リスク状態 (Risk for Aspiration)」が関連します。MWSTで不顕性誤嚥の兆候(湿性嗄声)が見られた場合、特に「誤嚥リスク状態」の優先度が高まります。
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計画・実施: MWSTは
最重要! 誤嚥に備えて吸引器や酸素を準備した状態で行います。また、
嚥下内視鏡検査 (VE) や嚥下造影検査 (VF)の必要性を判断するためのスクリーニングであり、陽性所見があれば医師に報告し、さらなる精密検査を依頼します。
暗記のコツ:
- 「MWST = 3mL水 + 30秒観察」をセットで覚えましょう。3は「み(水)の量」、30は「さんじゅう(30秒)」と語呂合わせします。
- 「水飲みテスト」と聞いて「80mL」と反射的に答えそうになりますが、
改訂版は3mLと覚えてください。「改訂=改良された=より安全に少量から」というイメージを持つとよいでしょう。
- 湿性嗄声は「ゴロゴロ声=Water(水分)が声帯に乗っている」とイメージすると忘れません。
国試頻出ポイント:
- 「MWSTで評価しないものは?」「評価項目として正しいのは?」といった基本的な知識問題が頻出です。
- 事例問題では、「脳卒中後の患者にMWSTを実施したところ、むせはなかったが、声がゴロゴロしていた」という状況から、不顕性誤嚥の可能性を指摘させる問題がよく出ます。
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混同注意! 数字(3mL vs 80mL, 10秒 vs 30秒)の出題が非常に多いため、MWSTとWST、RSSTの数字を正確に覚えましょう。
出題パターン注意!:
単純な用語問題(MWSTの評価項目は?)から、事例問題(患者がMWSTで陽性だった場合の看護師の対応は?)へと発展します。陽性所見が出た場合の対応(食事内容の変更指示を医師に仰ぐ、VE/VFの準備、喀痰吸引の準備、食事介助時の姿勢調整など)も併せて勉強しておくと、応用問題に対応できます。