ドパミン受容体が遮断されることで出現する症状はどれか。2つ選べ。 | MyMerci
一般・状況設定問題
問題

ドパミン受容体が遮断されることで出現する症状はどれか。2つ選べ。

解説
抗精神病薬などによって脳内のドパミン受容体が遮断されると、錐体外路症状(EPS)が出現しやすくなります。これにはパーキンソニズム(「筋強剛」、振戦など)や「アカシジア(静座不能症)」、ジストニアなどが含まれます。

詳細解説

核心解説 この問題は、抗精神病薬 (Antipsychotics) の作用機序と副作用、特に ドパミン受容体遮断 (Dopamine Receptor Blockade) によって生じる症状を問うています。精神看護学および薬理学の重要テーマであり、看護師国家試験でも頻出です。ドパミンは中枢神経系で運動調節、情動、ホルモン分泌など多岐にわたる機能を有しており、その受容体が遮断されると部位によって異なる症状が出現します。特に、黒質線条体路での遮断は錐体外路症状(EPS)を、中脳辺縁系・中脳皮質路での遮断は陰性症状や認知機能障害を、そして視床下部・下垂体路での遮断は内分泌系の副作用を引き起こします。 正解の根拠 (Answer Rationale)
正解は ④ 筋強剛 (Rigidity)⑤ アカシジア (Akathisia) です。
抗精神病薬によるドパミン受容体遮断は、特に 黒質線条体路 (Nigrostriatal Pathway) で生じると、錐体外路症状(Extrapyramidal Symptoms, EPS)を引き起こします。これはドパミンとアセチルコリンのバランスが崩れ、アセチルコリン優位の状態になることで発生します。筋強剛はパーキンソニズム(Parkinsonism)の主要症状の一つであり、他動的に患者さんの手足を動かすと「歯車様硬直 (Cogwheel Rigidity)」や「鉛管様硬直 (Lead-pipe Rigidity)」として触知されます。アカシジアは「静座不能」とも呼ばれ、じっとしていられない強い焦燥感と身体を動かしたい衝動が生じる症状で、患者さんにとって非常に苦痛が大きく、治療中断の原因になりやすいです。 誤答の分析 (Distractor Analysis)
混同注意! 幻聴 (Hallucination) は、ドパミン受容体遮断によって治療される代表的な陽性症状です。幻聴は中脳辺縁系(Mesolimbic Pathway)でのドパミン過剰が原因と考えられており、抗精神病薬はこの部位の受容体を遮断することで症状を改善します。つまり、遮断によって出現する症状ではなく、遮断によって軽減・消失する症状です。
口渇 (Xerostomia / Dry Mouth) は、抗精神病薬の副作用として見られることがありますが、これは主に 抗コリン作用 (Anticholinergic Effect) によるものです。ムスカリン性アセチルコリン受容体が遮断されることで、唾液分泌が抑制され口渇が生じます。ドパミン受容体遮断の直接的な結果ではありません。
混同注意! 妄想 (Delusion) も幻聴と同様に、陽性症状の一つです。ドパミン遮断によって治療される症状であり、遮断によって出現するものではありません。陽性症状(幻覚、妄想、思考障害など)と陰性症状(感情平板化、意欲低下、社会的引きこもりなど)の区別、そしてそれぞれの症状がどの神経回路のドパミン過剰/不足と関連するかを理解することが重要です。 概念整理: ドパミン経路と遮断による影響
神経経路機能遮断による主な症状
黒質線条体路 (Nigrostriatal)運動調節錐体外路症状(EPS):筋強剛、振戦、アカシジア、ジストニア、動作緩慢
中脳辺縁系路 (Mesolimbic)情動・報酬・快感陽性症状の改善(治療効果)
中脳皮質路 (Mesocortical)認知機能・意欲陰性症状の悪化・認知機能低下
結節漏斗路 (Tuberoinfundibular)プロラクチン分泌抑制高プロラクチン血症(乳汁分泌、月経異常、性機能障害)
一目で比較!: 錐体外路症状(EPS)の種類
症状発現時期特徴代表的な対応
急性ジストニア (Acute Dystonia)投与開始後24~48時間以内眼球上転発作(オキュロジリック・クライシス)、斜頸、開口障害抗コリン薬(ビペリデンなど)の筋注・静注
アカシジア (Akathisia)投与開始後数日~数週間強い焦燥感、そわそわ、歩き回る、静座不能βブロッカー(プロプラノロール)、ベンゾジアゼピン系薬
パーキンソニズム (Parkinsonism)投与開始後数週間~数ヶ月筋強剛、振戦(安静時)、寡動、仮面様顔貌、小刻み歩行抗コリン薬、ドパミン作動薬(薬剤調整)
遅発性ジスキネジア (Tardive Dyskinesia)長期投与後(数ヶ月~数年)口唇・舌・顔面の不随意運動(口をくちゃくちゃ、舌を出す)予防が最重要。発生時は薬剤減量・中止、クロザピンへの変更
看護過程ポイント: 抗精神病薬投与中の患者への看護
- アセスメント (Assessment): 投与開始後は特に頻回に錐体外路症状の有無を観察。患者の訴え(「落ち着かない」「体が硬い」「首が回らない」)を見逃さない。AIMS(異常不随意運動尺度)などの評価スケールも活用する。
- 看護診断 (Nursing Diagnosis): 「薬物療法の副作用に関連した転倒リスク状態」や「錐体外路症状に関連した不安・苦痛」など。
- 計画・実施 (Planning & Implementation): 副作用が出現したら、医師へ速やかに報告(SBARで)。症状に応じて抗コリン薬やβブロッカーの投与が指示されることがある。患者さんには「この症状は薬の副作用で、調整すれば改善する可能性がある」と説明し、不安を軽減する。
- 評価 (Evaluation): 副作用の軽減状況、内服の継続状況、患者の主観的苦痛の程度を評価。 暗記のコツ: 「ドパミン遮断=症状が治まる(陽性症状) or 副作用が出る(EPS)」と覚える。「治まる症状」と「出る症状」をゴチャゴチャにしないために、ドパミンが多くて起こる症状(陽性症状:幻覚・妄想)は遮断すると減る!とイメージ。逆に、EPSは遮断したことで新たに出現する副作用と捉えると整理しやすいです。特に「アカシジア」は「静かに座っていられない」という和名がそのまま特徴を表しています。 国試頻出ポイント: 精神看護学の必修問題および状況設定問題で頻出。①抗精神病薬の主な副作用としてEPSが出題される。②特に「アカシジア」と「パーキンソニズム(筋強剛)」は区別して問われる。③「遅発性ジスキネジア」は長期投与後に出現する不可逆的な症状として重要。④最近は定型抗精神病薬(ハロペリドールなど)だけでなく、非定型抗精神病薬(リスペリドン、オランザピンなど)のEPSリスクも比較して出題される。 出題パターン注意!: 「クロルプロマジン(定型抗精神病薬)を内服中の患者に出現した症状はどれか」という単純な知識問題から、「統合失調症で薬物調整中の患者が『ソワソワして座っていられない』と訴えている。看護師の対応として適切なのはどれか」という状況設定問題に発展します。後者の場合、アカシジアを疑い、アセスメント→医師報告→抗不安薬やβブロッカーの準備といった看護判断が問われます。

臨床シナリオ

臨床実践ガイド 臨床シナリオ (Clinical Scenario)
あなたは精神科急性期病棟に勤務する看護師です。40代の統合失調症患者、Aさんがクロルプロマジン(定型抗精神病薬)の内服を開始して2日目です。夜勤のラウンド中、Aさんがベッドの上で落ち着かず、体をくねらせたり、立ち上がっては座ったりを繰り返しています。Aさんは「なんだか変なんです。体中がムズムズしてじっとしていられないんです。気が狂いそうで怖いです」と涙目で訴えています。 看護介入と判断戦略 (Nursing Intervention & Clinical Judgment)
最重要! まず、この症状は抗精神病薬の副作用である アカシジア (Akathisia) の可能性が高いとアセスメントします。
1. 観察 (Observation): バイタルサイン測定、患者の行動観察(じっとしていられない、歩き回る、体を揺する)、主観的訴えの聴取。
2. アセスメント (Assessment): アカシジアの可能性。症状は患者に強い苦痛と不安を与えており、治療中断や自殺企図のリスクにもつながるため、緊急性が高いと判断。他のEPS(ジストニア、パーキンソニズム)の合併も確認。
3. 報告 (Report): 直ちに医師にSBARで報告。S(状況):「Aさんが抗精神病薬開始2日目で、強いアカシジアを訴えています」 B(背景):「クロルプロマジン内服中」 A(アセスメント):「薬剤性のアカシジアと考えます」 R(提案):「抗コリン薬の追加投与や、抗精神病薬の減量・変更について指示をお願いします」
4. 介入 (Intervention): 医師の指示に基づき、抗コリン薬(ビペリデンなど)やβブロッカー(プロプラノロール)の投与を準備。患者の安全を確保するため、ベッド柵の使用や、必要に応じて見守りを強化。患者に「これは薬の副作用で、適切に対処すれば落ち着きますよ」と説明し、不安の軽減を図る。
5. 評価 (Evaluation): 投薬後の症状の変化を継続的に観察。患者の苦痛が軽減したか確認。 患者安全・注意事項 (Patient Safety & Precautions)
- アカシジアは患者にとって極めて不快な症状であり、自殺企図のリスクを高めるため、決して軽視しない。
- 混同注意! アカシジアを精神症状の悪化(興奮・焦燥)と誤認し、抗精神病薬を増量すると症状がさらに悪化するため注意が必要。
- 高齢者や認知症患者ではEPSが出現しやすいため、少量から投与を開始し、観察を強化する。
- 非定型抗精神病薬(特にクロザピン、オランザピン、クエチアピン)は定型抗精神病薬と比較してEPSのリスクが低いが、ゼロではない。 看護プロトコル: 抗精神病薬投与中のEPS観察項目
- 観察項目: ①表情(仮面様顔貌の有無) ②歩行(小刻み歩行、前傾姿勢の有無) ③四肢の動き(振戦、筋強剛の有無) ④体動(そわそわ、歩き回り、静座不能) ⑤眼球・頸部の異常(眼球上転、斜頸) ⑥口唇・舌・顔面の不随意運動(遅発性ジスキネジアのスクリーニング)
- 報告基準(SBAR): EPSの新規出現、症状の増悪、患者の苦痛の訴え。
- 記録のポイント: 症状の種類、発現時期、程度、患者の訴え(原文に近い形で)、医師への報告内容と指示、実施した看護介入、患者の反応。 先輩看護師の一言: 「アカシジアは、患者さんから『気が狂いそう』『このまま死にたい』と表現されることもある、とても辛い副作用です。国試では『選択肢の中からEPSを選べ』という問題が出ますが、現場では『この患者さんのソワソワ、病気のせい?薬のせい?』と常にアセスメントする力が求められます。『いつもと違う』を見逃さない観察力、そして症状をアセスメントして医師に適切に報告する判断力を、国試の勉強を通じてしっかり身につけてください。患者さんを薬の副作用から守るのも、看護師の大切な役割です!」

重要概念

MyMerciで看護師国家試験を完全対策

過去問と詳しい解説を無料で。弱点を分析し、進捗を管理してより効率的に学習しましょう。

無料で始める

学習参考用です。実際の臨床は最新のガイドラインと所属機関のプロトコルに従ってください。