核心解説
この問題は、
子宮復古不全 (Subinvolution of the Uterus) の原因となる要因を問うています。
子宮復古とは、分娩後に子宮が妊娠前の状態に戻る過程であり、この過程が遅延・阻害される状態が子宮復古不全です。主な要因は、子宮収縮を物理的または機能的に妨げるものや、産褥感染、胎盤・卵膜の遺残などです。
正解の根拠 (Answer Rationale)
最重要! 正解は②番の「卵膜の子宮内遺残」です。胎盤や卵膜の一部が子宮内に残存すると、
子宮筋層の収縮を物理的に妨げ、子宮復古が遷延します。また、遺残組織は感染源ともなり、子宮復古不全をさらに悪化させます。産褥期の観察では、悪露の性状や量、子宮底の高さ、圧痛の有無を確認し、異常があれば直ちに医師に報告する必要があります。
誤答の分析 (Distractor Analysis)
①番「胎児発育不全〈FGR〉」は、子宮内での胎児発育が不良な状態であり、産後の子宮復古とは直接的な因果関係が低いです。
③番「分娩直後の授乳」は、
混同注意! むしろ、乳頭刺激により
オキシトシン (Oxytocin) が分泌され、子宮収縮を促進するため、子宮復古を促進する要因となります。授乳中の後陣痛はこの作用によるものです。
④番「膀胱炎」は産褥期に発症しやすい感染症ですが、単独で子宮復古不全の直接的な要因とはなりにくいです。ただし、膀胱内に尿が貯留すると子宮の収縮を妨げるため、膀胱炎による排尿障害が間接的に影響することはあります。
関連概念の整理 (Related Concepts)
子宮復古不全の主な要因を整理します:
| カテゴリ | 具体的要因 |
|---|
| 物理的因子 | 胎盤・卵膜の遺残、多量の凝血塊、子宮筋腫、膀胱内尿貯留 |
| 感染性因子 | 産褥感染、子宮内膜炎 |
| 機能的因子 | 全身衰弱、貧血、弛緩出血の既往、過度の分娩後安静(無理な安静) |
概念整理: 子宮復古不全 (Subinvolution of the Uterus) = 分娩後の子宮復古過程(収縮・退縮)が障害された状態。主な原因は子宮収縮を妨げる因子(遺残組織、感染、尿貯留など)。
一目で比較!: 子宮復古促進因子(授乳、早期離床、オキシトシン投与) vs 子宮復古抑制因子(遺残組織、感染、過度の安静、膀胱充満)
看護過程ポイント: アセスメントでは子宮底の高さ(臍高から1日1横指ずつ下降)、悪露の量・色・性状・臭い、後陣痛の程度、バイタルサイン(発熱の有無)を経時的に観察。異常時は超音波検査や内診で遺残の有無を確認。
暗記のコツ: 「子宮復古を促進するのは、子宮をギュッと締めるもの」と覚えましょう!授乳(オキシトシン)、子宮収縮薬(メチルエルゴメトリンなど)→促進。一方、「子宮の中に残っているもの(遺残)や、子宮の外から圧迫しているもの(尿貯留)」→抑制。
国試頻出ポイント: 子宮復古不全の原因と看護介入は産褥期の頻出事項です。特に、分娩直後の授乳が促進因子であること、膀胱内尿貯留が抑制因子であることは、セットで覚えましょう。
出題パターン注意!: 「産褥1日目の子宮底の高さが臍上2横指で、悪露が多量。考えられる原因は?」という事例問題で、遺残組織や膀胱充満を選択肢から選ばせるパターンが頻出です。