核心解説
この問題は、看護過程 (Nursing Process) における情報収集と記録の基礎、特に**客観的情報 (Objective data, O情報)**と**主観的情報 (Subjective data, S情報)**の正しい識別を問うています。
最重要! 客観的情報とは、医療者が「見る」「測る」「触れる」など、五感を通じて確認・測定できる事実のことを指します。一方、患者自身の言葉で語られる感情や感覚は主観的情報です。看護記録は「事実」を正確に残すことが大原則であり、アセスメントや看護計画はその事実に基づいて別途記録します。
1.
正解の根拠 (Answer Rationale): 選択肢②「背部に発汗がある。」は、看護師が自身の目で直接観察し確認した事実です。これは疑いの余地のない客観的情報であり、適切な記録内容です。発汗はバイタルサインと同様に観察すべき重要な身体所見です。
2.
誤答の分析 (Distractor Analysis):
混同注意! ①「背中がかゆい。」は、患者の言葉による訴えです。これは主観的情報 (S情報) であり、客観的情報ではありません。
③「坐薬の効果があった。」は、体温が37.0℃になったことを根拠に看護師が判断した内容です。これはアセスメント (A情報) に分類されます。「事実(体温37.0℃)」を記録し、その評価は別に記載すべきです。
④「全身清拭を実施する。」は、今後の看護行為の計画です。これは計画 (P情報) であり、実施後の記録として「全身清拭を実施した」なら客観的情報になりますが、計画の段階では異なります。
3.
関連概念の整理 (Related Concepts): 看護過程の情報収集は SOAP 形式(S: 主観的情報, O: 客観的情報, A: アセスメント, P: 計画)で整理されます。S情報は「患者の言葉をそのまま引用符("")で記録」、O情報は「医療者が確認した客観的な事実」、A情報は「SとOから導き出した看護上の解釈・判断」、P情報は「今後の看護計画」です。この4つを混同しないことが、看護記録の基本です。
概念整理
看護記録における情報の分類(SOAP)
| 分類 | 内容 | 問題の例 |
|---|
| S情報 (主観的) | 患者の言葉・訴え | 「背中がかゆい」 |
| O情報 (客観的) | 観察・測定した事実 | 背部に発汗がある |
| A情報 (アセスメント) | 分析・解釈・判断 | 坐薬の効果があった |
| P情報 (計画) | 今後の看護介入計画 | 全身清拭を実施する |
一目で比較!
混同注意! 「発汗がある」は観察事実(O)だが、「汗の量が多い」はアセスメント(A)です。また、「かゆい」はS情報ですが、「搔破痕がある」はO情報です。言葉の表現一つで分類が変わるため注意が必要です。
看護過程ポイント
情報収集の段階では、まずは主観・客観を分けずに多くの情報を集めます。その後の分析で、S情報とO情報を統合してアセスメントを行います。記録は「何を・いつ・どのように」観察したかが明確になるように記載しましょう。
暗記のコツ
SOAPの「S」は「Speaking(話している内容)」=患者の言葉、「O」は「Observing(観察)」=目で見た事実、とイメージすると覚えやすいです。
国試頻出ポイント
このテーマは、看護過程の基本問題として毎年必ず出題されます。単純な定義の暗記ではなく、具体的な事例の中で「これはS情報か?O情報か?」と判断できる力を問われます。特に、SとOの区別は必修問題の定番です。
出題パターン注意!
「体温38.8℃」「解熱剤使用」「37.0℃に低下」といった複数の情報が与えられ、「記録として最も適切なものはどれか」という形で出題されます。ここでは「坐薬の効果があった」という判断(A情報)を記録せず、まず「体温37.0℃」という事実(O情報)を正確に記録するのが基本です。