核心解説
この問題は、令和元年(2019年)に実施された国民健康・栄養調査の結果に関する知識を問うものです。この調査は、国民の健康状態、栄養摂取状況、生活習慣(喫煙・飲酒・運動など)の実態を把握するために毎年実施され、看護師国家試験でも頻出の重要なテーマです。特に、女性の喫煙率や若年女性のやせ(痩身)の問題は、健康日本21(第二次)の目標値とも関連して出題されやすいポイントです。
1.
正解の根拠 (Answer Rationale)
最重要! 20歳以上女性の習慣的喫煙率は7.6% です。令和元年調査において、成人女性の喫煙率は約7.6%(男性は約27.1%)と報告されています。これは、健康日本21(第二次)で目標とされた女性の喫煙率(2022年度目標値10%)を下回っており、減少傾向にあるものの、依然として健康リスク要因として注意が必要です。看護師は、禁煙指導や喫煙の健康影響に関する情報提供を行う上で、このような疫学データを理解しておく必要があります。
2.
誤答の分析 (Distractor Analysis)
②番:
混同注意! 20歳代女性のやせ(BMI 18.5未満)の割合は、約20%(約21.7%)と高く、看護上も重要な問題です。選択肢の「10.5%」は実際の数値より低く誤りです。若年女性のやせは、低出生体重児の出産リスクや骨粗鬆症、月経異常などの健康問題と関連するため、母性看護や公衆衛生看護の観点からも頻出事項です。
③番:
混同注意! 20歳以上女性の食塩摂取量の平均値は、約9.3g/日(令和元年調査)であり、選択肢の「6.5g/日」は低すぎます。これは、男性(約10.9g/日)に比べると低いものの、日本人の食事摂取基準(2020年版)の目標量(女性6.5g/日未満)を大きく上回っており、高血圧や脳卒中予防の観点から減塩指導が重要であることを示しています。
④番:20歳以上女性の野菜摂取量の平均値は、約273g/日(令和元年調査)であり、選択肢の「400g/日」は高すぎます。健康日本21(第二次)の目標は1日350g以上ですが、現状はそれを下回っており、野菜摂取不足が課題となっています。
3.
関連概念の整理 (Related Concepts)
国民健康・栄養調査は、
健康増進法に基づき毎年実施されます。特に、喫煙率(男女別、年代別)、やせ・肥満の割合(BMI分類)、食塩・野菜摂取量、飲酒状況などが国試で頻出です。また、健康日本21(第二次)の目標値と現状値の乖離も併せて学習すると効果的です。
概念整理
| 指標 | 令和元年調査結果(20歳以上女性) | 健康日本21(第二次)目標値 |
|---|
| 喫煙率 | 約7.6% | 10%(2022年度) |
| やせの割合(20代) | 約21.7%(BMI
臨床シナリオ臨床実践ガイド
臨床シナリオ (Clinical Scenario): 30代女性、会社員。健康診断でBMI 17.0(やせ)、血圧 90/60mmHgと低値。問診で「体重を減らしたくて、1日1食しか食べないこともある」と発言。看護師として、どのような健康リスクを説明し、どのような栄養指導を行うべきでしょうか?
看護介入と判断戦略 (Nursing Intervention & Clinical Judgment): まず、やせ(低体重)がもたらす健康リスクを説明します。具体的には、低出生体重児出産リスク、骨粗鬆症(低骨密度)、月経異常(無月経)、免疫力低下、疲労感・貧血などです。次に、極端な食事制限ではなく、バランスの良い食事(特にたんぱく質、カルシウム、鉄分)を3食規則正しく摂取するよう指導します。現実的な目標として、1日あたりのエネルギー摂取量を計算し(例:基礎代謝量+生活活動強度)、無理のない範囲での体重増加(例:BMI 18.5以上を目標)を提案します。保健師や管理栄養士との連携も検討します。
患者安全・注意事項 (Patient Safety & Precautions): 極端な食事制限や過度な運動は、摂食障害(Eating Disorder)のリスクを高める可能性があるため、慎重な対応が必要です。体重や体型への強いこだわり、体重減少の継続、低体温・徐脈などの身体症状が見られる場合は、精神科・心療内科への紹介も検討します。また、妊娠を希望する場合は、妊娠前からの適正体重(BMI 18.5~24.9)維持の重要性を特に強調します。
看護プロトコル
観察項目:身長・体重(BMI)、血圧、脈拍、体温、Hb値(貧血の有無)、月経状況(無月経の有無)、食事内容(頻度・量・内容)、運動習慣、体重減少の意図(ダイエット目的か否か)。報告基準(SBAR):S(状況):「やせの女性で、体重減少を目的とした食事制限をしている」、B(背景):「BMI 17.0、血圧低値、月経不順あり」、A(アセスメント):「低栄養状態による健康リスクが高い」、R(提案):「栄養指導の実施と、必要に応じて管理栄養士・保健師への紹介を提案」
先輩看護師の一言
「『やせ=美』という間違った価値観がまだまだ根強い現代、看護師として患者さんの健康を守るためには、正しい栄養知識と、『やせ志向』の背景にある心理社会的要因(SNSの影響、職場のプレッシャーなど)にも目を向けることが大切です。国試で覚えた数値(20代女性のやせ割合20%)は、まさに現場で患者さんと向き合うための『警告サイン』です。このデータを武器に、患者さんの健康を守るアドボカシー(擁護)を発揮してくださいね!」
重要概念
- 国民健康・栄養調査 — 健康増進法に基づき、毎年11月に実施される大規模調査。国民の身体状況、栄養摂取状況、生活習慣(喫煙・飲酒・運動・睡眠)の実態を把握する。看護師国家試験では、喫煙率、やせ・肥満、食塩・野菜摂取量の数値が頻出。
- やせ — BMI(Body Mass Index)が18.5未満の状態。特に20代女性で約20%と高く、低出生体重児出産、骨粗鬆症、月経異常、免疫力低下などの健康リスクがある。健康日本21(第二次)では20代女性のやせの割合を20%以下にする目標が掲げられている。
- 習慣的喫煙者 (Habitual Smoker) — 過去1ヶ月間に毎日または時々タバコを吸っていた人のうち、合計喫煙本数が100本以上または6ヶ月以上喫煙している者。令和元年調査では、成人男性27.1%、成人女性7.6%。
- 食塩摂取量 (Salt Intake) — 日本人の食事摂取基準(2020年版)では、成人女性の目標量は6.5g/日未満、男性は7.5g/日未満。しかし令和元年調査では女性約9.3g/日と目標を大きく上回っており、減塩指導が重要。
- 野菜摂取量 (Vegetable Intake) — 健康日本21(第二次)の目標は1日350g以上。令和元年調査では女性約273g/日と目標に達しておらず、野菜不足が課題。看護指導では「1日5皿(350g)の野菜」を推奨する。
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