核心解説
この問題は、
帝王切開術後 (Post-Cesarean Section) の標準的な経過管理と、患者への説明内容の適切さを問うています。特に
術後1日目のクリニカルパス (Clinical Pathway)を理解しているかが鍵となります。Aさんは術後1日目の午前9時という時点で、バイタルサインは安定し、排ガスも認められ、子宮復古も良好であるため、早期離床が可能な状態です。
正解の根拠 (Answer Rationale)
最重要! 帝王切開術後は、
深部静脈血栓症 (Deep Vein Thrombosis, DVT) や
腸管麻痺 (Paralytic Ileus) などの合併症を予防するため、早期離床が推奨されます。術後1日目には状態が安定していれば、尿道カテーテル抜去とともに「歩行を開始する」のが一般的なクリニカルパスの予定となります。Aさんの全身状態(バイタルサイン安定、排ガスあり、子宮復古良好)から、歩行開始は適切な説明です。
誤答の分析 (Distractor Analysis)
①番の「入院中は毎日、タオルで身体を拭きます」は、術後創部への感染リスクを考慮すると不適切です。創部が清潔に保たれていれば、術後2~3日目からシャワー浴が許可されることが多く、入院中ずっと清拭(タオル拭き)とは限りません。
②番の「膀胱に入れている管は明日抜きます」は、タイミングが遅すぎます。一般的に、術後1日目の離床開始時に尿道カテーテルも抜去します。「明日」=術後2日目に抜去するという説明は標準的ではありません。
④番の「食事は今日からです」とするか、「食事は明日からです」は、術後の腸蠕動の回復状況に応じて判断されます。Aさんはすでに夜間に排ガスを認めているため、術後1日目の朝から経口摂取(食事)を開始することが一般的です。「明日から」では、開始が遅すぎます。
概念整理:
帝王切開術後管理 (Post-Cesarean Care) の基本原則は、①出血・感染の予防、②子宮復古の促進、③疼痛管理、④血栓症予防のための早期離床、⑤腸蠕動回復に応じた食事開始です。術後1日目は、バイタルサインが安定し、出血が落ち着き、腸蠕動の回復(排ガス)が確認できれば、尿道カテーテルを抜去し、歩行を開始します。
一目で比較!:
| 時期 | 帝王切開術後 | 経腟分娩後 |
|---|
| 術後/分娩後0日目 | 安静、バイタルサインと出血の観察、疼痛管理、輸液管理 | 安静、子宮収縮・悪露観察、バイタルサイン観察 |
| 術後/分娩後1日目 | 尿道カテーテル抜去、歩行開始、食事開始(排ガス確認後)、創部観察 | 歩行開始、食事開始、子宮復古観察継続 |
| 術後/分娩後2日目以降 | シャワー浴許可、創部抜糸(術後5~7日目)、退院指導 | 母児同室、沐浴指導、退院指導 |
看護過程ポイント: アセスメントでは、Aさんのバイタルサイン安定、子宮底硬度良好(収縮良好)、排ガスあり(腸蠕動回復)という情報から、術後経過が順調であると判断します。看護診断としては「術後回復促進の準備状態 (Readiness for Enhanced Postoperative Recovery)」や「活動不耐行リスク (Risk for Activity Intolerance)」が考えられます。計画・実施では、早期離床の重要性を説明し、歩行開始への不安(「動けるか心配」)に対して、鎮痛薬のタイミング(歩行前に使用)や、歩行時の介助方法を具体的に指導します。
暗記のコツ: 「帝王切開術後1日目は、3つのパイプ(尿道カテーテル、点滴、創部ドレーン)を外す日!」と覚えましょう。早期離床=歩行開始もセットです。ただし、創部痛や後陣痛がある場合は、無理のない範囲で開始することが大切です。
国試頻出ポイント: 帝王切開術後のクリニカルパスや、経腟分娩後との比較は頻出です。術後合併症(DVT、肺塞栓症、創部感染、腸閉塞)の予防と、それに伴う看護介入(早期離床、弾性ストッキング装着、フットポンプ、疼痛管理、排ガス確認後の食事開始)をセットで覚えましょう。