核心解説
この問題は、
溶連菌感染後急性糸球体腎炎 (Post-streptococcal Acute Glomerulonephritis, PSAGN) の回復期にある学童期(7歳)の患児に対する、
安静度の管理とストレス緩和の優先順位を問うています。急性期の高血圧や浮腫は軽快傾向にあるものの、医師の指示で「床上安静」が継続している状況です。このような制限下で、患児が感じる退屈や孤独感(特に仲の良い児の退院後)を緩和するためには、
安静を遵守しつつ、環境調整や気分転換を図る看護介入が最も適切です。
正解の根拠 (Answer Rationale)
③番が適切です。急性糸球体腎炎では、安静(特に床上安静)が腎血流量を維持し、血圧上昇や心不全のリスクを軽減するために重要です。症状が軽快しても、医師の指示で床上安静が継続している限り、それを遵守する必要があります。一方で、長期安静によるストレス(特に小児では退屈、孤独感、行動制限への不満)への対応も必要です。
最重要! 「ベッドに寝たままプレイルームに行く」ことは、
安静度を守りながら環境を変え、気分転換を図るという理想的な解決策です。ストレッチャーやベッドごと移動することで、安全に気分転換が可能です。
誤答の分析 (Distractor Analysis)
①番:「すぐに退院できるから頑張ろう」は、現状を否定する発言です。退院の見通しが立っていない状況で安易な励ましは、かえって子どもに「頑張らないと」というプレッシャーや不信感を与える可能性があります。
混同注意! 患児の気持ち(イライラ、寂しさ)に寄り添わず、ただ励ますだけの対応は適切ではありません。
②番:「好きなだけテレビや動画を観ていいよ」は、床上安静の制限を守るという観点では間違いではありませんが、受動的な活動のみを推奨しており、気分転換やストレス解消には限界があります。また、過度な視聴は睡眠リズムや生活リズムを崩す可能性もあり、バランスが重要です。最も適切な選択肢ではありません。
④番:「夕食後もお母さんに付き添ってもらおう」は、母親の面会時間を延長する提案です。しかし、問題文では母親はすでに昼食後から夕食まで面会しており、
家族の負担も考慮する必要があります。また、患児の自立性や生活リズム、病棟ルール(面会時間)も考慮すると、夕食後まで付き添いを依頼することは適切とは言えません。母親の疲労も蓄積している可能性があります。
概念整理:
溶連菌感染後急性糸球体腎炎 (PSAGN) の看護
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病因: A群β溶血性連鎖球菌感染(扁桃炎など)後に生じる免疫複合体が糸球体に沈着。
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3大主徴: 浮腫(眼瞼など)、高血圧、肉眼的血尿(コーラ色尿)。
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看護の基本: 安静(特に急性期の床上安静)による腎血流量維持と血圧管理。水分・塩分制限(指示に応じて)。食事療法(低塩食、低たんぱく食)。
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回復期の課題: 安静の継続によるストレス(特に小児では退屈、孤独、発達への影響)。遊びや学習の保障。
一目で比較!:
| 状況 | 適切な対応 | 不適切な対応 |
| 安静指示あり+ストレスあり | 安静を保ったまま気分転換(例:ベッドごとプレイルーム) | 安静を解除する励まし(「早く退院」) |
| 安静指示なし(制限解除) | 段階的な活動開始、遊びや学習の再開 | 過度な安静の継続 |
| 家族面会中の患児 | 面会時間の範囲内での関わり、家族の負担軽減 | 無制限な面会延長依頼 |
看護過程ポイント
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アセスメント: 安静度の遵守状況、バイタルサイン(特に血圧)、尿量・尿所見、浮腫の程度。患児の心理状態(イライラ、寂しさ、退屈)。
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看護診断: 「活動耐性低下:安静制限による」「遊びとレクリエーション不足:入院環境による」「コーピング(対処)の非効果的:長期安静によるストレス」
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計画・介入: ベッドサイドでできる遊び(塗り絵、パズル、読書)の提供。安静を守れる範囲での環境調整(プレイルームへの移動、窓際へのベッド移動)。家族(特に母親)への協力依頼と負担軽減。
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評価: ストレス軽減の兆候(表情の改善、イライラの減少)。安静度の遵守。合併症(高血圧、心不全)の予防。
暗記のコツ
「
PSAGN(ポスト・ストレプトコッカス・AGN)」は「
3主徴(浮腫・高血圧・血尿)+安静第一」と覚えましょう。安静は「身体を休めるため」ではなく「
腎臓への血流を保ち、血圧を下げ、心臓を守るため」です。この病態生理が頭に入っていれば、安静を守る介入の優先順位が自然と理解できます。
国試頻出ポイント
- 急性糸球体腎炎では、急性期の安静度管理と回復期の段階的な活動再開が頻出です。
- 「床上安静」という指示が出ている場合、どのような看護介入が適切かを問う問題が出ます。
混同注意! 安静を保つこととストレスを緩和することは矛盾しません。「安静の中でできる遊び」「環境調整」「家族への支援」という3つの視点で考えましょう。
- 状況設定問題では、患児の年齢(学童期)に応じた発達段階の考慮も必要です(遊びの重要性、友人との分離不安など)。
出題パターン注意!
「Aちゃん(7歳)が床上安静中でイライラしている。看護師の対応として適切なのはどれか。」という単純な知識問題から、「Aちゃんが『もうベッドにいるのは嫌だ!』と言って泣き出した。この時の看護師の対応で最も適切なのはどれか。」という状況設定問題へ発展します。常に「安静度」と「心理的支援」の両軸で考えましょう。