核心解説
この問題は、
溶連菌感染後急性糸球体腎炎 (Poststreptococcal Acute Glomerulonephritis, PSAGN) の急性期看護計画を問うています。扁桃炎罹患後に発症した糸球体腎炎では、
免疫複合体 (Immune Complex) の沈着により糸球体が炎症を起こし、濾過機能が低下します。その結果、水分とナトリウムが体内に貯留し、
高血圧 (Hypertension)、
浮腫 (Edema)、
乏尿 (Oliguria)、血尿 (Hematuria) が出現します。急性期に最も警戒すべきは、高血圧による
高血圧性脳症 (Hypertensive Encephalopathy) や心不全 (Heart Failure) への進展です。したがって、安静を保ちながらも、
最重要!血圧の変動を捉えるためにこまめな血圧測定が必須となります。
正解の根拠 (Answer Rationale)
選択肢②「1日3回の血圧測定を行う」が正解です。Aちゃんの入院時血圧は130/80mmHgで、これは7歳女児の年齢別正常血圧(およそ収縮期100~115mmHg程度)と比較して
明らかな高値です。急性糸球体腎炎では、高血圧が急激に進行し、頭痛、嘔吐、けいれん、意識障害を伴う高血圧性脳症を引き起こすリスクがあります。定時(例:1日3回)の血圧測定により、血圧の推移をアセスメントし、急激な上昇を早期発見することが看護師の最も重要な役割の一つです。
誤答の分析 (Distractor Analysis)
混同注意! ①「水分摂取を促す」は誤りです。急性期は腎臓の濾過能が低下し、体内に水分が貯留している状態です。水分を積極的に摂取させることは浮腫や高血圧を悪化させ、心不全や高血圧性脳症のリスクを高めるため
禁忌です。むしろ、
水分出納バランス (Fluid Balance) の厳密な管理が必要であり、医師の指示に基づいた水分制限が行われることが一般的です。
③「食事の持ち込みを許可する」は誤りです。急性糸球体腎炎では、
食塩制限 (Salt Restriction) と水分制限を含む特別な食事療法が必要です。家庭からの食事では塩分や水分量のコントロールが難しく、病状の悪化につながるため許可すべきではありません。
④「腰部に消炎鎮痛薬を貼用する」は誤りです。この問題文には腰痛の記載はありません。また、急性糸球体腎炎における疼痛管理は必要ありません。不要な薬剤は副作用のリスクを生むだけでなく、腎排泄の薬剤であれば腎機能低下時に蓄積する危険性もあります。
関連概念の整理 (Related Concepts)
急性糸球体腎炎の看護は、病態生理に基づいた観察項目の優先順位が鍵です。高血圧と浮腫の管理、乏尿・血尿の観察、安静度の遵守、食事療法(塩分制限・水分制限・たんぱく質制限の程度は病状による)の理解と指導が必要です。特に小児では急激な経過をたどることもあり、安静の徹底とバイタルサインの頻回測定が基本となります。
概念整理:
溶連菌感染後急性糸球体腎炎 (PSAGN) は、扁桃炎などの溶連菌感染後に免疫複合体が糸球体基底膜に沈着し、糸球体のびまん性炎症を引き起こす疾患。急性期は
糸球体濾過量 (GFR) の低下により、水・Na貯留 → 高血圧・浮腫・乏尿。血尿、蛋白尿も特徴。
一目で比較!:
| 疾患 | 病態 | 看護の優先事項 |
|---|
| 急性糸球体腎炎 (PSAGN) | 免疫複合体沈着による糸球体炎症・GFR低下 | 高血圧管理・安静・水分電解質バランス |
| ネフローゼ症候群 (Nephrotic Syndrome) | 糸球体基底膜障害による高度蛋白尿 | 浮腫管理・感染予防・栄養管理(高蛋白食) |
看護過程ポイント:
アセスメント:血圧・体重・浮腫・尿量・尿の性状(肉眼的血尿の有無)の経時的評価。高血圧性脳症の前駆症状(頭痛、嘔気、視覚異常)。
看護診断:『体液過剰』『高血圧に関連した脳血管障害のリスク状態』『活動不耐容』。
計画・実施:安静の確保(床上安静)、血圧測定頻度の設定、水分出納記録、食事療法の遵守。
評価:血圧が目標値に改善、浮腫の軽減、合併症(脳症・心不全)の発症予防。
暗記のコツ: 「急性糸球体腎炎の急性期は『水と塩分をためこんでいる』状態!だから→水分制限、塩分制限、安静。血圧測るのは脳症予防!」と覚えましょう。
国試頻出ポイント: 急性糸球体腎炎は、扁桃炎後の「潜伏期間(1~3週間)」と「三大徴候(血尿・浮腫・高血圧)」が頻出。特に小児の高血圧の基準値(年齢別パーセンタイル)と高血圧性脳症の予防がよく出題されます。
出題パターン注意!: 「急性期の安静度」や「水分制限量の設定」を問う単純知識問題から、実際にバイタルサインの異常値を示す事例問題(例:血圧が140/90mmHgに上昇した時の対応)に発展します。