核心解説
この問題は、
肺癌 (Lung Cancer) 患者の術前アセスメントとして、入院時の所見を正しく解釈できるかを問うています。特に、呼吸機能検査の結果を読み解き、
拘束性換気障害 (Restrictive Ventilatory Impairment) と
閉塞性換気障害 (Obstructive Ventilatory Impairment) を鑑別する能力が鍵となります。
正解の根拠 (Answer Rationale)
呼吸機能検査において、
最重要! %肺活量 (%VC) は肺の拡張・収縮能を示し、正常値は
80%以上 です。本患者は
76% と低下しており、
拘束性換気障害 を示しています。一方、
1秒率 (FEV1%) は気道閉塞の指標で、正常値は
70%以上 ですが、本患者は
73% と正常範囲内であり、閉塞性換気障害は否定されます。
誤答の分析 (Distractor Analysis)
混同注意! ①頸部リンパ節の腫脹は、肺癌のリンパ行性転移を示唆する重要な所見ですが、本症例はT1N0M0(リンパ節転移・遠隔転移なし)と診断されているため、認められない可能性が高いです。③低栄養は、血清アルブミン値
4.2g/dL(正常: 3.8-5.3g/dL)が正常であり、否定されます。④貧血は、ヘモグロビン値
15.6g/dL(正常: 13.5-17.5g/dL)が正常であり、否定されます。
関連概念の整理 (Related Concepts)
拘束性換気障害は、肺実質疾患(間質性肺炎、肺線維症など)、胸郭疾患(胸膜癒着、脊柱後彎症など)、神経筋疾患などが原因で、肺活量が低下します。閉塞性換気障害は、気管支喘息、COPDなどで1秒率が低下します。本症例のように肺癌手術前には、術後合併症(無気肺、肺炎)のリスクを評価するため、呼吸機能検査は必須です。
概念整理:
呼吸機能検査 (Pulmonary Function Test) は、%VC(肺活量の対標準値)とFEV1%(1秒率)の2つをセットで評価します。%VC低下=拘束性、FEV1%低下=閉塞性と覚えましょう。
一目で比較!:
| 項目 | 拘束性換気障害 | 閉塞性換気障害 |
|---|
| 定義 | 肺の拡張制限 | 気道の狭窄・閉塞 |
| 主な原因 | 肺線維症、胸水、肥満 | COPD、気管支喘息 |
| %VC | 低下 | 正常 or 軽度低下 |
| FEV1% | 正常 or 上昇 | 低下 |
| 代表疾患 | 間質性肺炎、肺切除後 | 慢性気管支炎、肺気腫 |
看護過程ポイント:
アセスメントでは、%VC 76%の低下が肺癌による腫瘍の圧排か、加齢や喫煙歴によるものかを評価します。
計画では、術後の呼吸理学療法(腹式呼吸、咳嗽、早期離床)の指導を強化し、無気肺や肺炎を予防します。
暗記のコツ: 「
拘束=VC低下、閉塞=FEV1%低下」と覚えましょう。「%」がつくFEV1%は気道の「率」の問題、%VCは肺の「容量」の問題とイメージすると区別しやすいです。
国試頻出ポイント: 呼吸機能検査の数値と病態の紐付けは必修問題で頻出です。特に、
%VC と
FEV1% の正常値(80%以上、70%以上)は確実に暗記しましょう。また、肺癌の術前評価として、これらの数値が手術リスク(肺切除範囲の決定)にどう影響するかも問われます。
出題パターン注意!: この問題は「数値から病態を選ぶ」基本パターンですが、発展問題では「拘束性換気障害がある患者の術後看護で最も注意すべき合併症は?」という形で、
無気肺 (Atelectasis) や
呼吸器感染症 の予防策が問われることが多いです。