核心解説
この問題は、
デュバル (Duvall) の家族発達理論における家族周期の各発達段階のうち、高齢期に配偶者を失った後の段階を問うています。
家族周期 (Family Life Cycle) は、結婚から夫婦の死亡に至るまでの一連の段階を指し、各段階で家族が達成すべき発達課題が存在します。この理論を理解することが、家族看護の基本となります。
1.
核心概念の分析 (Key Concept): デュバルの家族周期は8段階から構成されます。新婚期、第1子誕生期(育児期)、教育期(就学前・学童期)、思春期・青年期、巣立ち期(子の独立)、中年期(充実期)、老年期(配偶者の死後の段階を含む)と続きます。
最重要! 問題文にある「高齢者が配偶者を失った後の段階」は、この理論の最終段階にあたります。
2.
正解の根拠 (Answer Rationale): 正解は「完結期」です。デュバルの理論では、配偶者の死から自分自身の死を迎えるまでの段階を
完結期 (Retirement to Death) と呼びます。この段階の主な発達課題は、配偶者の喪失に対する適応、死を受容し、自己の人生を統合することです。
3.
誤答の分析 (Distractor Analysis):
- ②番の「教育期」:
混同注意! これは子どもの就学期(小学校入学前後)に相当する段階であり、高齢期ではありません。子どもの教育が主要な発達課題となります。
- ③番の「充実期」: これは中年期(子の独立後、夫婦二人の生活に戻る時期)を指す場合が多く、高齢で配偶者を失った後の段階とは異なります。夫婦の絆を再構築することが課題です。
- ④番の「分離期」: デュバルの家族周期の用語には「分離期」は存在しません。類似用語として「巣立ち期(Launching Center)」がありますが、これは子どもが独立する段階であり、高齢期ではありません。
4.
関連概念の整理 (Related Concepts): デュバルの理論と類似した理論として、
ハビガースト (Havighurst) の発達課題や
エリクソン (Erikson) の発達段階があります。エリクソンの老年期の課題は「統合 vs 絶望」であり、完結期の「人生の統合」という概念と関連します。また、
ロウ (Rowe) とカーン (Kahn) の成功老化 (Successful Aging) の概念も、この段階のQOL向上に役立ちます。
概念整理: デュバルの家族周期は、結婚から家族の消滅(夫婦の死亡)までのプロセスを捉えます。特に高齢期は「老年期(完結期)」と呼ばれ、配偶者の喪失や自身の健康悪化への適応が中心課題です。この段階では、家族看護の視点から、残された高齢者の心理的支援や社会的孤立の予防が重要となります。
一目で比較!:
| 発達段階(日本語) | 英語表記 | 主な発達課題 |
| 完結期 | Retirement to Death / Aging Family | 配偶者の喪失への適応、死の受容、人生の統合 |
| 充実期(中年期) | Middle-Aged Parents | 夫婦関係の再構築、老後の準備 |
| 教育期 | Family with School-Age Children | 子どもの教育、社会性の発達支援 |
| 巣立ち期(分離期ではない) | Launching Center | 子どもの独立、親役割の変化への適応 |
看護過程ポイント:
-
アセスメント: 高齢患者が配偶者を亡くした直後か、ある程度時間が経過しているか、家族のサポート体制や社会資源(訪問看護、デイサービスなど)の活用状況を評価します。
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看護診断 (Nursing Diagnosis):
悲嘆 (Grieving)、
孤独リスク状態 (Risk for Loneliness)、
セルフケア不足 (Self-Care Deficit) などが優先されます。
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看護介入: 傾聴と共感、遺族ケア(グリーフケア)、地域の高齢者サロンや介護予防事業への参加促進、介護保険サービスの導入検討(訪問介護など)を行います。
暗記のコツ: 「完結期=『完』(終わり)+『結』(締めくくる)=人生の最終段階」と覚えましょう。デュバルの8段階は「新→育→教→思→巣→充→老→完」と頭文字で連鎖させると記憶しやすいです。
国試頻出ポイント: デュバルの家族周期は、各段階の名称とその発達課題をセットで問われることが多いです。特に「完結期」と「充実期(中年期)」の混同、「教育期」と「巣立ち期」の混同に注意してください。事例問題では、高齢者の健康状態や家族関係から、現在どの発達段階にあるかをアセスメントさせる出題がなされます。
出題パターン注意!: 単純な名称選択だけでなく、「ある高齢女性が夫を亡くし、喪失感から食事が摂れず体重減少がみられる。この家族が該当する発達段階はどれか」といった状況設定問題に発展することがあります。この場合、
完結期 を選び、その後の看護介入として
グリーフケア(悲嘆ケア) の優先順位を問う問題が考えられます。