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一般・状況設定問題
創傷処置について適切なのはどれか。
1
ドレッシング材は創部の辺縁に合わせて貼付する。
2
肉芽形成の時期は強い水圧をかけて洗浄する。
3
感染徴候のない創傷の消毒は不要である。
✓ 正解
4
テープは皮膚から垂直方向に剥がす。
解説
近年の創傷管理では、細胞毒性をもつ消毒薬は組織の治癒を阻害するため、「感染徴候のない創傷に対しては消毒は不要」であり、生理食塩水や水道水による十分な洗浄が推奨されています。テープは皮膚と平行に剥がします。
同じテーマの次の問題 インシデントレポートについて適切なのはどれか。2つ選べ。 この問題が収録された問題集 【合格ライン突破】 過去問5年分 本気の実戦問題 KRW 20,000
核心解説
この問題は、創傷処置 (Wound Care) の基本原則、特に「創傷治癒に最適な環境を整えるための最新エビデンス」を問うています。
核心概念の分析 (Key Concept) : 創傷管理は、従来の「乾燥させて消毒する」という考え方から、湿潤環境での治癒促進 (Moist Wound Healing) へとパラダイムシフトしています。消毒薬には 細胞毒性 (Cytotoxicity) があり、新生肉芽組織や上皮化を阻害するため、感染がなければ使用すべきではありません。
正解の根拠 (Answer Rationale) : ③「感染徴候のない創傷の消毒は不要である」が正解です。最重要! 最新のガイドラインでは、感染徴候(発赤・腫脹・熱感・疼痛・膿性分泌物)がない清潔な創傷は、生理食塩水や水道水による 洗浄 (Irrigation) のみで管理し、消毒薬は使用しないことが標準ケアとなっています。
誤答の分析 (Distractor Analysis) :
① ドレッシング材は創部の辺縁に合わせて貼付する:混同注意! ドレッシング材は、創部の大きさよりも 周囲皮膚に約2cm程度の余裕 を持たせて貼付します。創部の辺縁にぴったり合わせると、ドレッシングが剥がれやすく、また創部からの浸出液が漏れる原因となります。
② 肉芽形成の時期は強い水圧をかけて洗浄する:混同注意! 肉芽形成期は、新しい毛細血管と結合組織がデリケートに成長している時期です。強い水圧(高圧洗浄)は、この脆弱な組織を損傷するため禁忌です。洗浄は 低圧洗浄 (Low-pressure Irrigation) で優しく行います。
④ テープは皮膚から垂直方向に剥がす:混同注意! テープの剥離は、皮膚を傷めないために 皮膚と平行 (Horizontal) に、つまり皮膚の面に沿ってゆっくり剥がすのが正解です。垂直方向に剥がすと 表皮剥離 (Skin Tear) を起こしやすくなります。
関連概念の整理 (Related Concepts) : 創傷治癒のプロセス(炎症期 → 増殖期[肉芽形成期]→ 成熟期[上皮化期])と各期に適した創傷被覆材(ハイドロコロイド、フォーム材、アルギン酸塩、ハイドロファイバーなど)の選択基準も併せて学習しましょう。特に、感染創 (Infected Wound) と 汚染創 (Contaminated Wound) の管理の違いは頻出です。
概念整理 : 創傷管理の基本原則 (Wound Management Principles)
- 創傷治癒の理想的な環境 : 湿潤環境、適切な温度・pH、清潔(感染制御)
- 消毒薬の細胞毒性 : ポビドンヨード、クロルヘキシジン、アルコールはすべての細胞に毒性があり、新生組織を破壊する。
- 洗浄の目的 : 異物、細菌、壊死組織、過剰な浸出液を除去する。消毒ではない。
一目で比較! : 創傷管理の新旧比較
項目 旧来の考え方 最新エビデンス(湿潤療法) 創の環境 乾燥 湿潤 消毒 すべての創傷に必須 感染徴候がある場合のみ 洗浄液 消毒液 生理食塩水 or 水道水 被覆材 ガーゼ(乾燥) 閉鎖性ドレッシング材
看護過程ポイント : アセスメントと介入の連携
- アセスメント : 創傷の種類(切創・挫創・熱傷・褥瘡)、部位、大きさ(長径×短径×深さ)、色調(赤:肉芽、黄:スラフ、黒:壊死)、滲出液の性状(色・量・臭い)、周囲皮膚の状態、疼痛の有無。
- 看護診断 (Nursing Diagnosis) : 「皮膚統合性の障害 (Impaired Skin Integrity)」「感染リスク状態 (Risk for Infection)」「急性疼痛 (Acute Pain)」
- 計画・実施 : 感染徴候の有無を確認 → 生理食塩水で低圧洗浄 → 創部に合ったドレッシング材を選択(例:滲出液が多い→アルギン酸塩、中等量→フォーム材、少ない→ハイドロコロイド)→ テープは皮膚と平行に固定。
暗記のコツ : 「消毒は感染サインの時だけ!」
「赤ちゃん(肉芽)はデリケート。消毒薬という強い薬は使わない」と覚えましょう。感染サインは5大徴候 (5 Cardinal Signs) :発赤 (Rubor)、腫脹 (Tumor)、熱感 (Calor)、疼痛 (Dolor)、機能障害 (Functio Laesa)。
国試頻出ポイント : 「創傷管理の原則」は毎年出題される核心テーマ!
特に「感染徴候のない創傷に消毒は不要」「ドレッシング材の適応」「テープの剥離方向」は、事例問題(褥瘡の処置、術創の管理など)と組み合わせて頻出です。「なぜ消毒が不要か」を細胞毒性の観点から説明できるようにしておきましょう。
出題パターン注意! : 状況設定問題への発展
「術後3日目の創部。発赤や排膿はない。ガーゼ交換時にポビドンヨードで消毒している。この処置に対する看護師の判断として適切なのは?」→「消毒を中止し、生理食塩水での洗浄に変更する」が正解になります。
臨床実践ガイド
臨床シナリオ (Clinical Scenario) : あなたは外科病棟の新人看護師です。70代女性、大腸癌術後5日目の患者さんの創部交換を先輩看護師と一緒に行うことになりました。創部は清潔で、発赤や腫脹はなく、少量の漿液性浸出液が認められます。患者さんは「傷が痛い」と訴えています。先輩看護師から「この創は感染徴候がないから、消毒はしないで生理食塩水で洗って、新しいガーゼを当てておいて」と指示がありました。
看護介入と判断戦略 (Nursing Intervention & Clinical Judgment) :1. 観察 (Observation) : まず、創部の観察を徹底します。創のサイズ(治癒に向かって縮小しているか)、色調(赤い肉芽がきれいに盛り上がっているか)、滲出液の量と性状(漿液性で少量か)、周囲皮膚の状態(発赤・熱感の有無)、そして患者さんの疼痛の強さ(Numerical Rating Scale: NRSで評価)を確認します。 2. アセスメント (Assessment) : 感染徴候がないことを確認し、創傷は 正常な治癒過程(増殖期) にあると判断します。消毒は不要で、湿潤環境を保つために適切な被覆材の選択が重要です。今回のように滲出液が少量であれば、創部を保護する目的で ハイドロコロイド材 や 薄型フォーム材 の使用も検討します(ガーゼは乾燥しやすく、創部に癒着しやすいため、最近はあまり推奨されません)。 3. 報告・介入 (Report & Intervention) : 先輩看護師の指示に従い、生理食塩水での低圧洗浄 を行います。洗浄後は、創部に合ったドレッシング材を選択し、皮膚と平行にテープを貼付 します。疼痛に対しては、処方された鎮痛薬の内服を促すか、医師に報告します。 4. 評価 (Evaluation) : 処置後、患者さんの痛みが軽減したか、ドレッシング材がずれていないかを確認します。次回の交換時までに滲出液がドレッシング材から漏れていないか、感染徴候が出現していないかを観察するよう記録します。
患者安全・注意事項 (Patient Safety & Precautions) : 最重要! ① 感染予防 :創部へのアプローチ前後は必ず手指消毒(アルコール擦式)を行う。無菌操作を厳守する。② アレルギー確認 :ドレッシング材やテープによる 接触皮膚炎 (Contact Dermatitis) のリスクがあるため、使用前に患者さんにアレルギーの有無を確認する。③ 誤った処置の防止 :消毒薬(特にポビドンヨード)を創部に直接使用するのは、感染がない限り避ける。
看護プロトコル : 創傷処置の観察・報告・記録 - 観察項目 : 創の部位、サイズ(長径×短径×深さ)、色調、滲出液の性状・量、周囲皮膚、疼痛、患者さんの全身状態(発熱の有無)。 - 報告基準 (SBAR) : - S (Situation): 「〇〇さん、術創部の交換をしました。」 - B (Background): 「術後5日目、感染徴候はありません。」 - A (Assessment): 「創は正常な治癒過程にあると判断しました。滲出液は少量です。」 - R (Recommendation): 「特に問題はないため、処置は標準的な洗浄と被覆で継続します。疼痛が続くようであれば鎮痛薬の処方を検討してください。」 - 記録のポイント : 観察所見、実施した処置の内容(洗浄液の種類・使用したドレッシング材)、患者さんの反応、今後の観察計画。
先輩看護師の一言 : 「『消毒しない』という判断は、決して手を抜いているわけではありません。 創傷治癒のメカニズムを理解した、『患者さんの体に優しい』最新のエビデンスに基づくケアなんです。国試でも『なぜ消毒が不要か』を細胞毒性の視点で説明できることが求められています。現場では、古い考え方の医師や先輩もいるかもしれませんが、『この創には感染がないので、消毒は組織障害を引き起こす可能性があります』と、根拠を持って提案できる看護師になりましょう!」
創傷治癒 (Wound Healing) — 組織損傷後の修復過程で、炎症期、増殖期(肉芽形成期)、成熟期(上皮化期)の3段階に分けられる。湿潤環境が治癒を促進する。細胞毒性 — 消毒薬などが細胞に対して毒性を示し、新生肉芽組織や上皮細胞を障害する性質。感染徴候のない創傷への消毒は不要な根拠となる。感染徴候 (Signs of Infection) — 創部の局所的反応で、発赤・腫脹・熱感・疼痛・膿性分泌物の5大徴候。これらの有無が消毒の適応を判断する基準となる。ドレッシング材 (Dressing Material) — 創傷を被覆し、湿潤環境を保ち、外部からの汚染を防ぐための医療材料。滲出液の量や創の状態に応じて種類を選択する。湿潤環境 (Moist Environment) — 創傷治癒に最適な環境で、乾燥を防ぎ、細胞の遊走や増殖を促進する。ガーゼによる乾燥管理から、閉鎖性ドレッシング材による湿潤管理へと標準が変わった。
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