核心解説
この問題は、
先天性食道閉鎖症 (Congenital Esophageal Atresia) 術後の急性期看護における、吻合部保護の原則を問うています。
最重要! 出生当日に
気管食道瘻切断と食道端々吻合術 が行われたばかりの状態です。術後2日で吻合部は非常に脆弱であり、
縫合不全 (Anastomotic Leakage) のリスクが最も高い時期です。このリスクを回避するための具体的な看護技術を理解することが鍵となります。
正解の根拠 (Answer Rationale):
最重要! ④「唾液の吸引時には吸引チューブの挿入を吻合部の手前までにする」が適切です。食道吻合部は唾液や胃液の接触、物理的な刺激によって容易に損傷します。経鼻的あるいは経口的に吸引チューブを挿入する際、先端が吻合部を通過したり接触したりすると、吻合部に裂開や出血を引き起こす危険性があります。そのため、事前に医師から指示された挿入長さ(例:口唇から吻合部手前までの距離)を厳守し、それ以上深く挿入しないようにすることが絶対条件です。
誤答の分析 (Distractor Analysis):
① 頸部を伸展させた体位は
混同注意! 吻合部に張力がかかり、縫合不全を誘発するため禁忌です。術後は頸部を軽度屈曲または中間位に保ち、吻合部への緊張を避けます。
② 摂食嚥下機能の獲得支援は、長期的な目標であり、術後2日の
急性期 では優先順位が低いです。まずは吻合部の安静と全身状態の安定が最優先です。
③ 親が自由に抱っこするのは、胸腔ドレーンや人工呼吸器回路のトラブル、体位による吻合部への負荷などのリスクが高く、見守るだけでは不適切です。術後急性期は、医療者による安全な抱っこ指導(例:胸腔ドレーンやルート類の取り扱い、体位の注意点)と援助が必要です。
関連概念の整理 (Related Concepts):
先天性食道閉鎖症 (EA) と気管食道瘻 (TEF) の病型分類(Gross分類)を押さえましょう。この症例のように下部に瘻孔があるタイプが最も多く(Gross C型)、根治術として胸腔鏡下または開胸による瘻孔閉鎖+端々吻合が行われます。術後合併症として最も注意すべきは
縫合不全 と
吻合部狭窄 です。縫合不全予防には、上記の吸引操作の他に、胃瘻からの減圧、頸部屈曲位の保持が重要です。
概念整理:
先天性食道閉鎖症術後の吻合部保護食道吻合部は、物理的刺激(吸引チューブ、経鼻胃管)、内圧上昇(唾液・胃液の貯留)、張力(頸部伸展)に弱い。これらのリスクを回避する看護介入が急性期は最優先される。
看護過程ポイント:
- アセスメント: 唾液の量・性状、呼吸状態、胸腔ドレーン排液の性状(唾液や乳汁の混入がないか=縫合不全の徴候)、全身状態(発熱、炎症反応上昇)。
- 看護診断: 「吻合部縫合不全のリスク状態」「誤嚥のリスク状態(唾液・胃内容物)」「非効果的気道クリアランス」
- 計画・実施: 吸引は必要時のみ、決められた長さを超えない。口腔ケアを丁寧に行い、唾液による咽頭刺激を軽減する。胃瘻は開放とし、胃内容物の逆流を予防する。
- 評価: 吻合部縫合不全(発熱、呼吸状態悪化、胸腔ドレーンからの唾液・乳汁排出)の兆候がないか継続的に観察する。
国試頻出ポイント: 先天性食道閉鎖症術後の合併症予防は毎年と言って良いほど出題される頻出テーマです。特に「吸引時の挿入長さ」と「体位(頸部屈曲)」の2点はセットで覚えましょう。
出題パターン注意!: 本問のような単純な知識問題に加え、状況設定問題(事例問題)で「術後◯日目、唾液が多くSpO2が低下した。看護師の対応として適切なのはどれか」のような形で出題されることもあります。