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一般・状況設定問題
問題

Aさんの呼吸機能に関する数値で増加を示すのはどれか。

Aさん(57歳、男性)は、妻(50歳)と2人で暮らしている。21歳から喫煙習慣があり、5年前に風邪で受診した際に肺気腫と診断された。最近は坂道や階段を昇ると息切れを自覚するようになってきた。
解説
肺気腫などの慢性閉塞性肺疾患(COPD)では、肺胞の破壊と気道の閉塞によって息を十分に吐き出せなくなるため、肺の中に残る空気の量である「残気量」が増加し、肺の過膨張をきたします。1秒率は低下します。
同じテーマの次の問題インシデントレポートについて適切なのはどれか。2つ選べ。

詳細解説

核心解説 この問題は、慢性閉塞性肺疾患 (COPD) の一種である 肺気腫 (Pulmonary Emphysema) における呼吸機能検査の異常パターンを問うています。Aさんは、21歳からの喫煙歴があり、労作時の息切れ(呼吸困難 (Dyspnea))が出現しており、典型的なCOPDの病態を示しています。 1. 核心概念の分析 (Key Concept): 肺気腫 の病態生理の本質は、肺胞壁の破壊 とそれに伴う 末梢気道の虚脱 です。これにより、呼気時に気道が狭窄・閉塞し、肺内に空気が溜まりやすくなります。結果として、肺の過膨張 (Hyperinflation)残気量 (Residual Volume, RV) の増加 が生じます。 2. 正解の根拠 (Answer Rationale): 選択肢②の「残気量」が正解です。肺気腫では、肺胞の弾性収縮力が低下し、さらに気道が狭窄しているため、最大限に息を吐き出しても肺内に残る空気の量(残気量)が増加します。これが肺の過膨張の原因となり、増加 を示します。 3. 誤答の分析 (Distractor Analysis): - ① 混同注意! 「1秒率 (FEV1.0%)」は、1秒間にどれだけの息を吐き出せるかの割合です。気道閉塞があるCOPDでは、息を吐き出すのに時間がかかるため、低下 します。増加はしません。 - ③ 「1回換気量 (Tidal Volume, TV)」は、安静時に1回の呼吸で出入りする空気の量です。COPDでは呼吸数が増えることがありますが、1回換気量はむしろ正常範囲かやや減少傾向を示すことが多く、増加はしません。 - ④ 「動脈血酸素分圧 (PaO2)」は、動脈血中の酸素濃度を示します。肺気腫の進行により肺胞でのガス交換が障害されるため、低下 します(低酸素血症 (Hypoxemia))。増加はしません。Room air(室内気吸入下)でのPaO2低下は、病態の進行を示唆する重要な指標です。 4. 関連概念の整理 (Related Concepts): COPDの呼吸機能検査は、閉塞性換気障害のパターンを示します。閉塞性換気障害の代表的な指標は「1秒率の低下」と「残気量の増加」です。これに対し、肺線維症などでは拘束性換気障害(肺活量の低下)を示す点を鑑別しておきましょう。また、慢性気管支炎 (Chronic Bronchitis) と肺気腫はCOPDの2大疾患ですが、両者とも1秒率低下と残気量増加を示す共通点があります。

概念整理: 肺気腫 の呼吸機能は、閉塞性換気障害 を示し、「1秒率 (FEV1.0%):低下」、「残気量 (RV):増加」、「肺活量 (VC):正常〜低下」が特徴です。肺胞破壊により肺の弾性収縮力が失われ、空気をうまく吐き出せなくなります。

一目で比較!:
病態1秒率 (FEV1.0%)残気量 (RV)1回換気量 (TV)PaO2
肺気腫 (COPD)低下増加正常〜やや低下低下
肺線維症 (拘束性)正常〜増加正常〜減少低下低下


看護過程ポイント: アセスメントでは、呼吸機能検査の数値だけでなく、呼吸困難の程度(修正MRC息切れスケールなど)SpO2モニタリング咳嗽や喀痰の性状栄養状態(呼吸筋力に影響) を総合的に評価します。Aさんの「坂道や階段を昇ると息切れ」という情報から、日常生活動作 (ADL) に影響が出始めていることがわかります。看護介入としては、呼吸リハビリテーション(口すぼめ呼吸、腹式呼吸の指導)禁煙指導の強化薬物療法(気管支拡張薬)の服薬指導 が重要です。

暗記のコツ: 「COPD(肺気腫)=風船が伸びきって縮まないイメージ!」→ 風船の空気を一生懸命押し出そうとしても、ゴムが弱っているので、なかなか空気が出ていかず、風船の中に空気(残気量)がたくさん残ってしまいます。

国試頻出ポイント: COPDの呼吸機能検査の「増加」と「低下」の組み合わせは、毎年のように出題される基本中の基本です。特に「残気量増加」と「1秒率低下」のセットは必ず覚えてください。また、COPD患者の看護(体位、呼吸法、酸素療法、排痰法、栄養管理)も合わせて学習しておくと、事例問題で高得点が狙えます。

臨床シナリオ

臨床実践ガイド Aさんが外来や病棟に来た際、看護師はどのように呼吸状態を評価し、ケアを提供するのか、実際の流れをイメージしましょう。 - 臨床シナリオ (Clinical Scenario): Aさんが呼吸器内科外来を受診しました。問診で「最近、家の周りのちょっとした坂道で息切れがして、途中で休まないと歩けなくなりました」と話します。喫煙指数(ブリンクマン指数)は 21歳×30本/日×36年 = 22,680 と高値です。肺機能検査の結果、1秒率が45%と著明に低下し、残気量は予測値の150%に増加していました。医師からは「COPDのステージIII(重症)」と診断され、在宅酸素療法 (HOT) の導入を検討するように指示が出ました。 - 看護介入と判断戦略 (Nursing Intervention & Clinical Judgment): 最重要! まず バイタルサイン(SpO2、呼吸数、心拍数) を測定し、呼吸パターン(口すぼめ呼吸の有無、補助呼吸筋の使用) を観察します。SpO2が90%以下であれば、医師に報告し 酸素投与(指示の範囲内で、通常1~2L/分の経鼻カニューラ) を開始します。Aさんには、口すぼめ呼吸(息を吸うときは鼻から、吐くときは口をすぼめてゆっくり)腹式呼吸(横隔膜呼吸) の練習を指導します。また、禁煙の意思確認禁煙外来の紹介インフルエンザ・肺炎球菌ワクチンの接種勧奨 も行います。在宅酸素療法の導入にあたっては、Aさんと妻に 機器の使用方法、安全管理(火気厳禁)、外出時の携帯用酸素ボンベ について説明します。 - 患者安全・注意事項 (Patient Safety & Precautions): 注意! COPD患者への 高濃度酸素投与 は、禁忌 ではありませんが、CO2ナルコーシス(二酸化炭素麻酔) のリスクがあるため、酸素流量は 1~2L/分 の低流量から開始し、動脈血ガス分析 (ABG) でのPaCO2上昇 を注意深く観察する必要があります。また、転倒・転落予防(特に夜間のトイレ歩行時)や、呼吸器感染症の予防(手洗い、うがいの徹底)も重要な看護ケアです。

看護プロトコル: 観察項目: SpO2, 呼吸数, 呼吸パターン, 咳嗽, 喀痰の色・量・性状, 意識レベル, バイタルサイン。報告基準 (SBAR): S「Aさん、労作時息切れが増悪」B「COPD重症、肺機能検査で残気量増加」A「SpO2 88%、呼吸数28回/分、口すぼめ呼吸あり」R「酸素投与量の増量指示と動脈血ガス分析のオーダーをお願いします」。記録: 呼吸状態の経時的変化、看護介入(呼吸法指導、酸素投与)の内容と患者の反応、患者教育の実施内容。

先輩看護師の一言: 「COPDの患者さんは『息が苦しい』という症状に常に恐怖を感じています。看護師は、機器の数値だけでなく、『息がしやすい姿勢(前傾座位など)はありますか?』『何をすると息切れが楽になりますか?』と患者さんの経験を聞き出すことが大切です。患者さんが自分でコントロールできる方法(口すぼめ呼吸など)を一緒に見つけてあげてください。国試でも、患者さんの『できない』を『どう支援するか』という視点が問われますよ!」
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