核心解説
この問題は、
医療事故 (Medical Accident) 発生直後の看護師の対応手順を問うています。医療事故対応の基本原則は「
患者安全の最優先確保」と「
事実の正確な記録・報告」であり、この2つが全ての基盤となります。また、事故後の物品は証拠として保全し、報告は状況にかかわらず直ちに上司に行う必要があります。
正解の根拠 (Answer Rationale)
正解は①番と②番です。
最重要! ①番:医療事故発生時、看護師の最優先行動は
患者の安全確保 です。バイタルサイン (Vital Signs) の確認、急変時の
救急蘇生 (BLS/ACLS) の実施、さらに誤投与薬剤の中和や拮抗薬の投与(医師の指示の範囲内で)を直ちに行います。患者の容体を最優先にアセスメントし、安全を確保することが全てに優先します。
②番:事故発生直後から、発生した時刻、状況、患者の反応、行った処置などを、客観的事実に基づいて
看護記録 (Nursing Record) に正確に残すことは、事後検証や法的対応、再発防止策の検討に不可欠です。後日記憶に頼るのではなく、その場で記録することが原則です。
誤答の分析 (Distractor Analysis)
③番:
混同注意! 投与に使用した薬剤の空アンプル、シリンジ、ルート類は、後の調査で投与量や投与経路を確認するための
重要な証拠物件 です。直ちに処分すると、事故原因の究明が不可能になります。必ず
廃棄禁止・保管 が原則です。
④番:
混同注意! 医療事故は患者の生命に直結する重大な事態であるため、上司(師長や当直医)への報告は
直ちに(遅滞なく) 行うことが必須です。患者の容態が落ち着くのを待っていては、組織的な対応が遅れ、被害が拡大する可能性があります。「報告は迅速に」が鉄則です。
⑤番:患者および家族への説明は、原則として、まず医師が行うべき責任があります。しかし、状況によっては医師がすぐに説明できない場合もあり、「原因が判明するまで一切説明しない」という対応は適切ではありません。患者の安全と不安軽減のため、看護師は
誠実に対応 し、医師が説明するまでの間も、経過や現在の処置について可能な範囲で説明することが望ましいです。
概念整理
| 段階 | 看護師の対応 | 具体的内容 |
|---|
| 第1優先 | 患者の安全確保 | バイタルサイン確認、救命処置、容体観察 |
| 第2優先 | 事実の記録・報告 | 記録の残存、物品の保管、上司への即時報告 |
| 事後対応 | 患者・家族への説明 | 医師が主体となり誠実に対応(看護師は補佐) |
看護過程ポイント
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アセスメント (Assessment): 患者のバイタルサイン、意識レベル、症状の有無、誤投与された薬剤の薬理作用(例: 降圧薬を誤投与した場合の低血圧リスク)を迅速に評価する。
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看護診断 (Nursing Diagnosis): 「
非効果的な健康維持 (Ineffective Health Maintenance)」や「
知識不足 (Deficient Knowledge)」ではなく、急性期では「
誤嚥リスク状態 (Risk for Aspiration)」や「
外傷リスク状態 (Risk for Injury)」などの身体的安全に関する診断が優先される。
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評価 (Evaluation): 患者の容体が安定したか、追加の処置は必要か、記録と報告は漏れなく完了したかを確認する。
国試頻出ポイント
このテーマは「医療安全対策」の一環として、必修問題および一般問題で頻出です。単なる知識問題としてではなく、「患者の安全を守るために看護師がまず何をすべきか」という状況判断能力を問う事例問題として出題されることが多いです。特に、「物品の処分」と「上司への報告」のタイミングは、誤った選択肢として頻出するので、必ず正しい手順を暗記しましょう。