核心解説
この問題は、
肺結核 (Pulmonary Tuberculosis) の疫学、感染経路、原因菌、発症機序、治療法に関する基本的な知識を問うています。結核は現在でも日本の重要な感染症の一つであり、その正確な理解は看護師国家試験において必須です。
1.
核心概念の分析 (Key Concept): 結核は
結核菌 (Mycobacterium tuberculosis) による感染症です。肺結核は結核全体の大部分を占め、主に
飛沫核感染(空気感染) によって伝播します。初感染後に発症する一次性結核と、過去の感染巣が免疫力低下により再活性化する二次性結核があります。治療では、多剤併用療法と服薬アドヒアランス向上のための戦略が重要です。
2.
正解の根拠 (Answer Rationale): 正解は
④ 二次性の発症は過去の感染の再活性化による と
⑤ DOTSが推奨される の2つです。
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最重要! ④について:成人の肺結核の多くは、小児期などに初感染し、体内に封じ込められた結核菌が、加齢、栄養不良、免疫抑制状態などによって
再活性化 することで発症します。これが二次結核(再活性化結核)です。
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最重要! ⑤について:
DOTS (Directly Observed Treatment, Short-course) は、医療従事者が患者の服薬を直接確認する戦略です。結核治療は長期にわたるため、服薬中断による薬剤耐性菌の出現を防ぐために世界保健機関(WHO)が推奨しており、日本でも広く実施されています。
3.
誤答の分析 (Distractor Analysis):
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混同注意! ①「結核の10%程度である」:これは誤りです。肺結核は全結核患者の約
80~85% を占めます。10%は肺外結核(リンパ節結核、骨・関節結核、粟粒結核など)の割合と混同しないようにしましょう。
- ②「感染経路は接触感染である」:結核の主な感染経路は
飛沫核感染(空気感染) です。患者の咳やくしゃみによって空気中に放出された微細な飛沫核(5μm以下)が、健常者の肺胞まで到達することで感染します。接触感染は誤りです。
- ③「肺アスペルギルス症と同じ原因菌である」:肺アスペルギルス症の原因は
アスペルギルス属 (Aspergillus spp.) という真菌(カビ)です。結核菌とは全く異なる微生物です。結核の治癒後に生じる空洞内にアスペルギルスが寄生する「
アスペルギローマ (Aspergilloma)」と呼ばれる状態は存在しますが、原因菌は別物です。
4.
関連概念の整理 (Related Concepts): 感染経路の分類を整理しましょう。結核は
飛沫核感染 の代表的疾患です。同じ飛沫核感染には
麻疹 (Measles) や
水痘 (Varicella) があります。一方、
飛沫感染(インフルエンザ、風疹など)や
接触感染(MRSA、ノロウイルスなど)と混同しないように標準予防策(スタンダードプリコーション)と経路別予防策をセットで覚えましょう。
概念整理: 結核(Tuberculosis)
| 項目 | 内容 |
| 原因菌 | 結核菌 (Mycobacterium tuberculosis)(抗酸菌) |
| 好発部位 | 肺(肺結核が80%以上) |
| 感染経路 | 飛沫核感染(空気感染) |
| 発症機序 | 一次性(初感染後すぐ発症) 二次性(再活性化)が大部分 |
| 治療の基本 | 多剤併用療法(イソニアジドINH、リファンピシンRFP、エタンブトールEB、ピラジナミドPZAなど) |
| 治療管理 | DOTS(直接服薬確認療法) |
| 感染対策 | 陰圧個室隔離、N95マスク着用 |
一目で比較!: 感染経路の比較
| 感染経路 | 主な疾患 | 予防策 |
| 飛沫核感染(空気感染) | 結核、麻疹、水痘 | 陰圧個室、N95マスク |
| 飛沫感染 | インフルエンザ、風疹、ムンプス | 個室、サージカルマスク |
| 接触感染 | MRSA、ノロウイルス、疥癬 | 手袋、ガウン、環境消毒 |
看護過程ポイント: 肺結核患者の看護
- アセスメント: 持続する咳、痰、血痰、微熱、体重減少(消耗症状)の有無。治療開始前の喀痰検査(塗抹、培養、PCR)の結果。
- 看護診断: 【感染症伝播リスク状態】【非効果的健康管理】【気道クリアランスの低下】など。
- 計画・実施: 空気感染対策(N95マスク、陰圧個室隔離)。患者への隔離の必要性と治療の重要性についての説明。DOTSの実施。服薬スケジュール管理と副作用モニタリング(肝機能障害、視力障害など)。栄養状態の改善。
- 評価: 喀痰検査の陰性化、症状の改善、確実な服薬継続、副作用の早期発見・対処。
暗記のコツ: 「結核は結核菌(抗酸菌)が原因。肺結核は全体の8割以上。感染経路は空気(飛沫核)感染。発症は再活性化がメイン。治療はDOTSで服薬確認!」と唱えましょう。
国試頻出ポイント: 感染経路(特に空気感染と飛沫感染の区別)、肺結核の症状(特に血痰や微熱などの消耗症状)、DOTSの目的(服薬アドヒアランス向上と薬剤耐性防止)、結核と非結核性抗酸菌症(NTM症)の違いが頻出です。
出題パターン注意!: 単純な知識問題に加えて、事例問題で「咳が続く患者への対応」「隔離が必要な感染症の判断」「喀痰検査の解釈」など、実践的な判断を問う問題が出題されます。